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二年生の一学期
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奈緒が相槌を打つ。
「うん。今だってひどい仕打ち 受けてる真っ最中だもんね。なんでもTシャツとか、“すてっかぁ”の物販、禁止にされたらしいって」
「まあ、あれはカツアゲの一種で間違いなかったから、仕方ねぇんじゃね?」春樹が笑う。
南は、奈緒の左側に足を開いた体育座りで壁にもたれると、話を続ける。
「しっかし気に食わないよねあの女は……転んでもただでは起きないっていうかなんというか、逆境を逆に利用して、うまいこと自分の手柄にしちゃったみたいでムカつく」
「そういえば――」と奈緒が口を開いた。
「――大騒ぎで探してくれたって、瑠衣ちゃんが 教えてくれた」
「うん、あの時はほんと必死だったから」
顔を両手で覆うと上下に指を擦りつけて、瞳とひたいをマッサージした。
「B組のやつから、奈緒がウィップスと一緒にいるとこ見たって聞いたから、もしやと思って学校探し回ったんだけど、あいつらがいそうな場所にはどこにもいなくて、ダンス部も覗いたけど来ていないって言うから、ほんと焦ったよ。高木の気づきがあって、ひだまりあとにしたけど、ほんとに大丈夫なの? って苛立ちばかり募るし。とっても不安だった」
四階にある五反田の改札抜けて、先頭を走る春樹に続いて左に曲がると、すぐさまエスカレーターに飛び乗って三階へと走り下りていき、正面の開いたガラス扉から外に出たと言う。
「歩道橋を歩く人たちを縫うようにすり抜けて走ってた時に高木が、やっべぇ、どこだっけ、とか叫びながら階段を駆け下ていくから、わたし、はぁ⁉ って思ったよ。NR[日丸鉄道:にちまるてつどう]の前を速攻で横切って信号を渡って左折して、高架下を抜けて反対側に来ると、またも左の信号を渡って五反田駅に戻るじゃん。そんな高木の背中って、明らかに焦りの色が汗とともに滲んでいたんだもん。本気で吐くかと思うほど緊張したよ。人が行き交う中で、駅の構内から、うわんうわんと響くアナウンスが、なんだか不安を誘うしさ。いつまでも喧騒は居残るのに、四方八方を埋め尽くした雑踏がホログラムのように過ぎ去っていくの。まるで誰もが水族館で泳ぐ回遊魚のように無表情で、声も発せず流れすぎていく感じ」
「うん。今だってひどい仕打ち 受けてる真っ最中だもんね。なんでもTシャツとか、“すてっかぁ”の物販、禁止にされたらしいって」
「まあ、あれはカツアゲの一種で間違いなかったから、仕方ねぇんじゃね?」春樹が笑う。
南は、奈緒の左側に足を開いた体育座りで壁にもたれると、話を続ける。
「しっかし気に食わないよねあの女は……転んでもただでは起きないっていうかなんというか、逆境を逆に利用して、うまいこと自分の手柄にしちゃったみたいでムカつく」
「そういえば――」と奈緒が口を開いた。
「――大騒ぎで探してくれたって、瑠衣ちゃんが 教えてくれた」
「うん、あの時はほんと必死だったから」
顔を両手で覆うと上下に指を擦りつけて、瞳とひたいをマッサージした。
「B組のやつから、奈緒がウィップスと一緒にいるとこ見たって聞いたから、もしやと思って学校探し回ったんだけど、あいつらがいそうな場所にはどこにもいなくて、ダンス部も覗いたけど来ていないって言うから、ほんと焦ったよ。高木の気づきがあって、ひだまりあとにしたけど、ほんとに大丈夫なの? って苛立ちばかり募るし。とっても不安だった」
四階にある五反田の改札抜けて、先頭を走る春樹に続いて左に曲がると、すぐさまエスカレーターに飛び乗って三階へと走り下りていき、正面の開いたガラス扉から外に出たと言う。
「歩道橋を歩く人たちを縫うようにすり抜けて走ってた時に高木が、やっべぇ、どこだっけ、とか叫びながら階段を駆け下ていくから、わたし、はぁ⁉ って思ったよ。NR[日丸鉄道:にちまるてつどう]の前を速攻で横切って信号を渡って左折して、高架下を抜けて反対側に来ると、またも左の信号を渡って五反田駅に戻るじゃん。そんな高木の背中って、明らかに焦りの色が汗とともに滲んでいたんだもん。本気で吐くかと思うほど緊張したよ。人が行き交う中で、駅の構内から、うわんうわんと響くアナウンスが、なんだか不安を誘うしさ。いつまでも喧騒は居残るのに、四方八方を埋め尽くした雑踏がホログラムのように過ぎ去っていくの。まるで誰もが水族館で泳ぐ回遊魚のように無表情で、声も発せず流れすぎていく感じ」
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