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二年生の二学期
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無言を持て余した様子の女子の名は、平家葵。奈緒とは一年生の時のクラスメイトで、バレー部。安奈とは仲が良かったはず。
「大丈夫? 夏休みの時から噂になっていたんだけれど、そんなことないよね。でももしそうなら、なんでも相談して。もし誰かになにかされているのなら、バレー部のみんなは断固として声を上げるよ。わたしたちじゃ心もとないかもしれないけれど、一年の時みたいに土屋君たちといじめに立ち向かおうよ」
土屋という言葉に、杏奈がピクリと反応する。その刹那、虚ろな視線を奈緒のほうに向かって漂わせてきた。
「ううん、大丈夫だよ。仕返しされたとか変な噂が流れているようだけれど、そんなこと全然ないから。そんな悪い子、この学校にいないもの」
「でも、元気なさそうだよ。なんかつらそうで見ていられないよ」
「ちょっと痛くって。でも自分でそんなことしたんじゃないから安心して。ただ、自業自得っていったらそうかも。今だから笑い話にできるけど、誤って三階にある自分の部屋のベランダから落ちちゃったの。ばかだよね、わたしって、あはははは。実はね、ベッドに横になって本読んでいたら、開いていた窓から大きな揚羽蝶が入ってきて、珍しいと思って追いかけたの。何度捕まえようとしてもひらりと身をかわされちゃって、全然ダメ。そうこうしているうちに、そのまま外に飛んで行ってしまって、あーあって思って一度は諦めたの。だけれど、ベランダでくるっと回って舞い戻ってくるように思えて。それ見て、捕まえられそうだったから、手を伸ばしたんだけれど無理で、また、ひらひら空に向かって飛んでいくの。それ見て見送るつもりでいたんだけれど、なぜかまだもたついていて、それがまたゆっくりだったものから、思わず身を乗り出しちゃった。それがいけなかったのね、つま先が滑ってそのまま転落しちゃった。あ、それになんか自殺だって噂されてるけど違うからね。そもそも三階から飛び降りたって死なないわよ。下は土のある花壇だったし、そこから外れても芝生だし。それと手首も大きな痣と擦り傷があるだけで、自傷とかじゃないから。治ったら見せてあげる。そんな傷痕なんかないって」
「え~、いいよべつに。わたしはそっちの心配はしていないから」
痛々しいほどまでに元気溌剌に話す杏奈の様子に、葵が微弱な笑みを返す。
この時は、誰も杏奈の説明を疑う者はいなかったようで、教室の中は夏休み前の雰囲気を取り戻した。
「大丈夫? 夏休みの時から噂になっていたんだけれど、そんなことないよね。でももしそうなら、なんでも相談して。もし誰かになにかされているのなら、バレー部のみんなは断固として声を上げるよ。わたしたちじゃ心もとないかもしれないけれど、一年の時みたいに土屋君たちといじめに立ち向かおうよ」
土屋という言葉に、杏奈がピクリと反応する。その刹那、虚ろな視線を奈緒のほうに向かって漂わせてきた。
「ううん、大丈夫だよ。仕返しされたとか変な噂が流れているようだけれど、そんなこと全然ないから。そんな悪い子、この学校にいないもの」
「でも、元気なさそうだよ。なんかつらそうで見ていられないよ」
「ちょっと痛くって。でも自分でそんなことしたんじゃないから安心して。ただ、自業自得っていったらそうかも。今だから笑い話にできるけど、誤って三階にある自分の部屋のベランダから落ちちゃったの。ばかだよね、わたしって、あはははは。実はね、ベッドに横になって本読んでいたら、開いていた窓から大きな揚羽蝶が入ってきて、珍しいと思って追いかけたの。何度捕まえようとしてもひらりと身をかわされちゃって、全然ダメ。そうこうしているうちに、そのまま外に飛んで行ってしまって、あーあって思って一度は諦めたの。だけれど、ベランダでくるっと回って舞い戻ってくるように思えて。それ見て、捕まえられそうだったから、手を伸ばしたんだけれど無理で、また、ひらひら空に向かって飛んでいくの。それ見て見送るつもりでいたんだけれど、なぜかまだもたついていて、それがまたゆっくりだったものから、思わず身を乗り出しちゃった。それがいけなかったのね、つま先が滑ってそのまま転落しちゃった。あ、それになんか自殺だって噂されてるけど違うからね。そもそも三階から飛び降りたって死なないわよ。下は土のある花壇だったし、そこから外れても芝生だし。それと手首も大きな痣と擦り傷があるだけで、自傷とかじゃないから。治ったら見せてあげる。そんな傷痕なんかないって」
「え~、いいよべつに。わたしはそっちの心配はしていないから」
痛々しいほどまでに元気溌剌に話す杏奈の様子に、葵が微弱な笑みを返す。
この時は、誰も杏奈の説明を疑う者はいなかったようで、教室の中は夏休み前の雰囲気を取り戻した。
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