FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

🍭

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 少し不細工な塊に見えるツークシュピッヒェンを飲み込んで、務が思い出したように「そういえば、」と言葉を漏らす。
「もう少し寒い時期になったら、ストロベリータイムや和栗のディッシュとか、豪華なパンが出てくるから、年が明けたらまた来るといいよ」
「うん、そうするー」叫んだ奈緒が、「ちょっと待って、ちょっと待って」と慌てながら、メモ用紙として持ってきた広告の切れ端に鉛筆の線を走らせる。務は、丁寧に冬のメニューを説明した。
 三人は、ずっと長いことおしゃべりに興じていたが、仲直りのことは話題に上らないまま会話が尽き始めた。疎らな言葉の合間を縫ってパンを頬張っていた奈緒が、ぐびぐびぐびとカフェラテを呷ってから立ち上がり、会話を終焉させるほうに話を進める。そして別れ際、挨拶を告げようとした務に、何かについて念を押す。
「あれ、あれを して くださいね」
「あれ?」
「あれ。もーぉだめ。あ~あぁ、もうだめだぁ~…もう、言葉が でない。 お休み 気をつけて “つなさいね”。これではいいのかな? うん、もう、いいやね。たぶん つけて くださいね」
 奈緒は、「それではまた」と丁寧に頭を下げて、南と共に務と別れた。見送る彼に手を振りながら。
 商店街に出るまでのさなか振り返って務へともう一度手を振ったこの子は、正面に視線を戻す途中で嬌声を上げた。
「あ、“タピポコ”飲みたい」
「だめ、甘いのとりすぎ。さっき食べたやつ、全部おやつの甘いやつだったじゃん」
「“たろ焼き”は違うよ」
「おんなじだよ」
「あ、こりぇこりぇっ」
 写真を指さして膝を跳ねる。指の先は、ごっつい山盛りのタピオカミルクティーを指し示していた。
「“まおー”。グサッて刺して飲みたい。グサッて刺して」
 ストローを握ったしぐさで、左手を上下に振る奈緒の訴えをしりぞけた南は、この子の体を押さえ込んで、無理やり商店街へと入って行く。
「ああ~ん、“まおーぉーぅ”」艶めかしい声を発して名残惜しそうに振り返る奈緒は、恨みがましい視線をもって南の黒星に信号を送って無言で訴えつつ、強引に束縛する腕に渋々従った。
 この日、吸血蝙蝠のような表情で度々南を睨みつける奈緒は、一日機嫌が悪い様相を呈していたが、電車に乗るころには機嫌を直して笑っていた。「おうちにバナナがあるの」と言いながら。









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