FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

第二百十九話 いじめ再発

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「きりーつ、礼」日直の声が響く。
 クラス中の生徒が立ち上がってお辞儀をする中、座ったままの奈緒が、ポケットからハンカチを取り出して、じゅるじゅると口元を鳴らしてから薄紅色の唇を拭う。
 瞬間、真後ろに座る鏡花が涙堂を力ませた。遅れて立ち上がったこの子が教室をあとにしようとする先生にお辞儀をする姿を、顔を歪めて睨みつける。そして座ると同時に、「チッ」と舌打ちした。こぶしを握り締めてわなわなさせている。
 遅れて座ったこの子の身がのけ反った。間を置かず後ろの彼女が、シャーペンの金属でできた先端パイプでこの子の背中をぐりぐりとえぐったからだ。
 背中をつつかれた奈緒が恐る恐る振り返ると、獲物の足をすくませるために唸る狼のような眉間でねめつける鏡花が呟く。
「口の中、ばい菌だらけだって知ってる? 大風邪の蔓延がようやく治まりかけてんのに、変な病気うつさないでよね」
「そんな」
「それに授業中うるさい」
「喋っていませんよ」奈緒が、微力ながらも力を込めて言い返す。
「うそつくなよ、独り言多すぎるよ。自覚してくんない? 喋りながらなにかするのほんとやめて」
 奈緒が、怯えながらも微かに憤った様子を見せて、横を向いて座り直し、ハンカチを握りしめる。

 ――脳みそが半分無い。神経がマヒしてて、口が閉じられない。でも、少しずつよくなってきて います。よだれを垂らさないといいなって思い ます。この世には、生まれつきとか、 理不尽な事件とか、不慮の事故とかに遭って、障がいを持ってしまった人だって いるのです。そういうわたしも、病気になってしまって、このようになってしまったのよ。なりたくて なったんじゃないの。自分じゃどうしようも ないの。喋るのだって、言ってやらなきゃ、どうしていいか分からない。それ、分かってくれても いい じゃない――

 奈緒は勇気を出して一生懸命話したはずなのに、初めて笛を吹く人が吹いたフルートのような空気の抜ける声しか出なかった。
 前の席の早苗が、鬼の首を取ったかのような顔で振り向いた。
「あっれぇ~? 偏食すぎて血管切れたって言ってなかったっけ?」
 奈緒は、意表を突かれた様子でシドロモドロとしだすと、瞳を白黒させながら、何度も言葉を詰まらせる。 
 うまく言い返せないのを見てか、鏡花の周りに集まってきた数人の女子の口から悪口雑言がわらわらと湧いて出てきた。孫凛以外は、このクラスの者ではない。





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