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二年生の二学期
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恭介が突然身を起こし、膝行して迫ってくると、この子の肩を強く掴んで揺さぶりながら怒鳴った。
「子供がそんなこと言うんじゃねーよ。どんなだって、親が子供を迷惑だなんて思うわけねぇだろ。親だったら、誰でも生きていてくれるだけでありがたいって思ってくれるって。だから、お前も生きていただけでもありがたかったって思えよ。親不孝なこと言うな、思うな、当然やるんじゃねぇ」
奈緒がはにかんで「うん」と頷くと、「チッ」と舌打ちした恭介は、少し頬を赤らめて視線を逸らし、向こうを向いて左腕を枕に側臥する。
そんな彼を慈しむように奈緒が見つめて、微笑を浮かべた。
「南ちゃんは、分かってるよ。お父さんの気持ち。だってお父さんのこと 大好きだって いつも 言ってるもん。いつかお父さんみたいな コックさんになって、カフェレストラン開くって 言ってた。ないしょだけど」
心地よい姿勢を模索していた恭介の動きが、ぴたりととまる。
「そんなこと、あいつが?」
「うん。お父さんみたいになりたいって。あ、アル中のじゃないよ。“ちゅくる”ひと。ゴールデンウィークに黒 いそ 旅行しに 行った 時に、ひみつだけれども、南ちゃんとおばあちゃんの話 聞いちゃった。い ま だ に 立ち直れていないのはだらし…だらし…んだ…が、ん、ん、ん、‥いけれどって。でもお父さんのこと悪く言っていなかったよ。今でも娘のことを想ってくれていて、感謝 して ますよって」
そこで言葉を切って、「あっ」と叫んだ。
「お母さまのお仏壇に、手を合わせてない。あらら、わたし全部食べちゃった。ごめんなさい」
「大丈夫だって。故人はもの食えねぇから。知ってるか? 亡くなった人は、香りを食うらしいぜ。だから、香りが立つように包みなんかは開いてお供えしたほうがいいんだ。それでしばらく香りを楽しんでもらってから、みんなで食べるんだよ。だからだよ、お線香とか、香木とか、かおりの出るものよく使うのは」
「なるほど、じゃあバナナあげる、ちょっと剥いてあげる。いいよね、バナナ。いい香りでおいしいから」
そう言った奈緒が、テレビの左隣りにある小さな仏壇まで膝立ちで歩いていき、片手で不器用に剥いたバナナをお供えする。そして、ライターでろうそくに火を灯し、お線香を焚いて香炉に立て、静かに手を合わせた。
「子供がそんなこと言うんじゃねーよ。どんなだって、親が子供を迷惑だなんて思うわけねぇだろ。親だったら、誰でも生きていてくれるだけでありがたいって思ってくれるって。だから、お前も生きていただけでもありがたかったって思えよ。親不孝なこと言うな、思うな、当然やるんじゃねぇ」
奈緒がはにかんで「うん」と頷くと、「チッ」と舌打ちした恭介は、少し頬を赤らめて視線を逸らし、向こうを向いて左腕を枕に側臥する。
そんな彼を慈しむように奈緒が見つめて、微笑を浮かべた。
「南ちゃんは、分かってるよ。お父さんの気持ち。だってお父さんのこと 大好きだって いつも 言ってるもん。いつかお父さんみたいな コックさんになって、カフェレストラン開くって 言ってた。ないしょだけど」
心地よい姿勢を模索していた恭介の動きが、ぴたりととまる。
「そんなこと、あいつが?」
「うん。お父さんみたいになりたいって。あ、アル中のじゃないよ。“ちゅくる”ひと。ゴールデンウィークに黒 いそ 旅行しに 行った 時に、ひみつだけれども、南ちゃんとおばあちゃんの話 聞いちゃった。い ま だ に 立ち直れていないのはだらし…だらし…んだ…が、ん、ん、ん、‥いけれどって。でもお父さんのこと悪く言っていなかったよ。今でも娘のことを想ってくれていて、感謝 して ますよって」
そこで言葉を切って、「あっ」と叫んだ。
「お母さまのお仏壇に、手を合わせてない。あらら、わたし全部食べちゃった。ごめんなさい」
「大丈夫だって。故人はもの食えねぇから。知ってるか? 亡くなった人は、香りを食うらしいぜ。だから、香りが立つように包みなんかは開いてお供えしたほうがいいんだ。それでしばらく香りを楽しんでもらってから、みんなで食べるんだよ。だからだよ、お線香とか、香木とか、かおりの出るものよく使うのは」
「なるほど、じゃあバナナあげる、ちょっと剥いてあげる。いいよね、バナナ。いい香りでおいしいから」
そう言った奈緒が、テレビの左隣りにある小さな仏壇まで膝立ちで歩いていき、片手で不器用に剥いたバナナをお供えする。そして、ライターでろうそくに火を灯し、お線香を焚いて香炉に立て、静かに手を合わせた。
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