FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

第二百二十八話 回想

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 しばらく沈黙が続いた。遠くで聞こえる人々が行き交う音が、割れた窓から入ってくる。
 薄明りの中でも分かるほどの白い息が、南の薄紅色の唇からふわっと出た。
「逃げよう。今ならここから出られる。玄関の鍵は閉められていない」
 奈緒が心配そうに身を縮こませた。
「でも、そんなことしたら、あの二人が殴られちゃうよ。だから、迷惑が掛からないような方法考えなきゃ」
「そんな流ちょうなこと言ってられる状況じゃい。下手したら殺されちゃう」
「理沙ちゃんたちはそんなことしない」
「二人がしなくても、ブチャがする。いや、ブチャにさせられる」
 小声でのやり取りに紛擾感が加わりだした頃、二人が帰ってきた気配がした。部屋の前で足音が二手に分かれる。すぐに玄関ドアがひらいて、理沙だけが南の元へ戻ってきた。萌音はブチャの所へとたばこを届けに行ったのだろう。
 靴のまま室内に上がったソバージュ少女は意外そうに二人を見やって、キッチンスペースで立ち尽くす。
 しばらくして戻ってきた萌音が同じような反応を見せながら、振り向いた理沙に静かに近づく。
「ん」
 そう鼻から息を吹いて、四つ折りにした五千円札を密かに手渡す。
「どうしたの、これ」
「さっきの、四万だったのを三万だってうそついて、隠しといたの。それ戻る前に崩してきてた。5‐5な」
「ありがと」理沙は、そう言って、それをローファーの中敷きの下に入れた。「今度はわたしが頑張るから」
「うん、任せた」
 幼児体系のソバージュ少女が、水色に光るソフトパッケージの銀紙を破りながら奈緒たちによってきて、左手をシェイクして上手いことたばこを一本飛び出させると、それを咥えてニカッと笑う。
「南も変わったよね、口汚くないし、喋れるし、しかもミニスカじゃないし」
「喋れるってなによ」南が、ムスッと表情を曇らせる。
「暴力が言葉代わりだったでしょ、昔は。喋れる言葉って言ったら、殺すぞと死ねの二つだけだったじゃない、あとウラァって唸り声。ねぇ」






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