725 / 838
二年生の二学期
🖼️
しおりを挟む
瞬息の間を置いて、春樹が落ち着いたノイズ交じりの声を奏でた。
「なにがあったか聞いていい?」
「階段から転がり落ちました」
眉をひそめて、は? とても言いたげな懐疑的視線をこの子に送る彼に、南が真剣な眼差しで頭を一回横に傾け、彼の視線を奪う。
「そう。わたしが助けようとしたんだけど、この子に引っ張られちゃって、自分まで巻き込まれた」
「ごろごろごろーって、ね」
奈緒がそう言って南に頷くと、彼女も「うん」と頷き返す。
信じられない様子の春樹が、二人の表情を探る。
「うそくせー。そんなのいったい誰が信じんだよ、誰も信じねーだろ。そもそもそんなになるまで落ちれる階段なんてあんの? 何千段あったら、そんな大惨事な顔になれるわけ?」
間髪入れずに、奈緒が答える。
「あるよ、ほら、あそこの階段」
「あそこってどこ?」
「あそこ。わかんないけど」と南を見る。
彼女は「えーと」と考えた様子を見せたので、この子が代わりに、昨日の帰り道で示し合わせた通りの話を伝える。
「名前、なんて言ったけ? あのデパート。“エレベンタ”が、なかなか来なくて、南ちゃんが、動く 階段で 行こうって言うから、足 腰鍛えるために、動かない階段から行きましょうって、わたしが言ったら、そのままごろごろーって」
「そう。ごろごろーって」南がこの子の口調を真似る。
春樹が小声になった。
「南が[登校]拒否ってたことと、なんかカンケーあんじゃね?」
「ないよ」奈緒と南が声をそろえる。
春樹が面白がっているように笑う。
「なんか、行方不明説出てんだけど」
「ふっ、訊かないで。わたしも一人になって人生を考えたくなる年頃の時もあんのよ」南が遠い目をした。
「俺はまた悪い仲間とつるんで、なにかしでかしたんじゃないかって考えているんですけど」と瞼を細めて、疑惑の眼差しを南に送る。
🐿️成瀬奈緒🍭
作画:緒方宗谷
「なにがあったか聞いていい?」
「階段から転がり落ちました」
眉をひそめて、は? とても言いたげな懐疑的視線をこの子に送る彼に、南が真剣な眼差しで頭を一回横に傾け、彼の視線を奪う。
「そう。わたしが助けようとしたんだけど、この子に引っ張られちゃって、自分まで巻き込まれた」
「ごろごろごろーって、ね」
奈緒がそう言って南に頷くと、彼女も「うん」と頷き返す。
信じられない様子の春樹が、二人の表情を探る。
「うそくせー。そんなのいったい誰が信じんだよ、誰も信じねーだろ。そもそもそんなになるまで落ちれる階段なんてあんの? 何千段あったら、そんな大惨事な顔になれるわけ?」
間髪入れずに、奈緒が答える。
「あるよ、ほら、あそこの階段」
「あそこってどこ?」
「あそこ。わかんないけど」と南を見る。
彼女は「えーと」と考えた様子を見せたので、この子が代わりに、昨日の帰り道で示し合わせた通りの話を伝える。
「名前、なんて言ったけ? あのデパート。“エレベンタ”が、なかなか来なくて、南ちゃんが、動く 階段で 行こうって言うから、足 腰鍛えるために、動かない階段から行きましょうって、わたしが言ったら、そのままごろごろーって」
「そう。ごろごろーって」南がこの子の口調を真似る。
春樹が小声になった。
「南が[登校]拒否ってたことと、なんかカンケーあんじゃね?」
「ないよ」奈緒と南が声をそろえる。
春樹が面白がっているように笑う。
「なんか、行方不明説出てんだけど」
「ふっ、訊かないで。わたしも一人になって人生を考えたくなる年頃の時もあんのよ」南が遠い目をした。
「俺はまた悪い仲間とつるんで、なにかしでかしたんじゃないかって考えているんですけど」と瞼を細めて、疑惑の眼差しを南に送る。
🐿️成瀬奈緒🍭
作画:緒方宗谷
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
