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二年生の二学期
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すると彼女は、本能的に動揺や不安を消し去ろうとするような笑いを、鼻から吹き出す。
「んなことあるわけないじゃん。うわさはわたしの耳にも入ってきてるけど、嘘半分だよ。はいはい。正直に告白しますと、たばこも吸ったことあるし、お酒も飲んだことありますよーだ」
観念した様子ながらも、話をはぐらかしたそのテンションのまま続ける。
「でも信じて。補導も逮捕もされてないのが証拠。べつに捜索願だって出てないよ、だって家や親せきんちにいたんだから。学校だって騒いでないでしょ。それはうちに電話して事情を把握してたからよ。高木は知ってるでしょ、うちのお父さん、体調悪いの」
「……ああ」春樹が虚空を見やる。「おれもつっちーも心配してたんだよ。一年の時スクーター盗んだやつらが、報復にでも来たんじゃないかって。マジおっかなかったもんな、あの二人。蛇に睨まれたカエルって言葉の意味がよく分かった一件だったぜ」
奈緒が、意気がこもった言葉を発する。
「南ちゃんは大丈夫だよ。うわさでは昔ボンタン履いてたみたいだけど、今は立派な女子高生だから」
南が顔をしかめた。
「だからわたし、ボンタンなんて穿いたことないよ。いったいいつの時代の人よ」
「つっぱり」
「もうそれ現代じゃないよ。七十年代だよ、きっと」
「七十年代に失礼な人ね。いつの時代だと思ってるのよ」
「七十年から七十九年。わたしたちの両親まだ生まれたか生まれてないかって時代だと思うよ」
「あなた、男の勲章まで捨ててしまったのね」
「女だっつーの」
「でも、南ちゃんがつ、つ、つ……つっぱりだったって、みんな期待してるのよ」
南が辺りを見渡すと、誰もが俯く。
「一応聞くけど、どんな期待?」
一瞬考え込んだ奈緒が、視線を宙に向けてから、たくさんのスーパーボールが弾けたような笑みをさく裂させて身を乗り出し、南の相貌をのぞき込む。
「うわぁ、絶滅危惧種だぁ、って感じに」
たいそう小ばかにした諧謔さで言い放つ少女に、諦観じみた視線を傾けた南がため息をついた。
「そんなことだろと思ったわよ」
どこからともなくちらほらと、「くすり」という鼻笑いが聞こえた。
お昼休みの教室は、二人にとってそれほど居心地の悪いものではなかった。奈緒が面白おかしく紛擾劇を展開したせいか、南の悪行は冗談めいた霞の中に漂う程度で、嫌悪して拒絶する生徒はあまり現れなかったし、この子に対しては、不良のけんかに巻き込まれてひどい目にあったという同情が集まったので、あまり友達が減った様子もなかった。
「んなことあるわけないじゃん。うわさはわたしの耳にも入ってきてるけど、嘘半分だよ。はいはい。正直に告白しますと、たばこも吸ったことあるし、お酒も飲んだことありますよーだ」
観念した様子ながらも、話をはぐらかしたそのテンションのまま続ける。
「でも信じて。補導も逮捕もされてないのが証拠。べつに捜索願だって出てないよ、だって家や親せきんちにいたんだから。学校だって騒いでないでしょ。それはうちに電話して事情を把握してたからよ。高木は知ってるでしょ、うちのお父さん、体調悪いの」
「……ああ」春樹が虚空を見やる。「おれもつっちーも心配してたんだよ。一年の時スクーター盗んだやつらが、報復にでも来たんじゃないかって。マジおっかなかったもんな、あの二人。蛇に睨まれたカエルって言葉の意味がよく分かった一件だったぜ」
奈緒が、意気がこもった言葉を発する。
「南ちゃんは大丈夫だよ。うわさでは昔ボンタン履いてたみたいだけど、今は立派な女子高生だから」
南が顔をしかめた。
「だからわたし、ボンタンなんて穿いたことないよ。いったいいつの時代の人よ」
「つっぱり」
「もうそれ現代じゃないよ。七十年代だよ、きっと」
「七十年代に失礼な人ね。いつの時代だと思ってるのよ」
「七十年から七十九年。わたしたちの両親まだ生まれたか生まれてないかって時代だと思うよ」
「あなた、男の勲章まで捨ててしまったのね」
「女だっつーの」
「でも、南ちゃんがつ、つ、つ……つっぱりだったって、みんな期待してるのよ」
南が辺りを見渡すと、誰もが俯く。
「一応聞くけど、どんな期待?」
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「うわぁ、絶滅危惧種だぁ、って感じに」
たいそう小ばかにした諧謔さで言い放つ少女に、諦観じみた視線を傾けた南がため息をついた。
「そんなことだろと思ったわよ」
どこからともなくちらほらと、「くすり」という鼻笑いが聞こえた。
お昼休みの教室は、二人にとってそれほど居心地の悪いものではなかった。奈緒が面白おかしく紛擾劇を展開したせいか、南の悪行は冗談めいた霞の中に漂う程度で、嫌悪して拒絶する生徒はあまり現れなかったし、この子に対しては、不良のけんかに巻き込まれてひどい目にあったという同情が集まったので、あまり友達が減った様子もなかった。
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