FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

第二百三十七話 手袋

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 南が感嘆した。
「倒れたの、確か一月の受験直後だよね。三月にはリハビリしてたんだ」
「うん、もっと早かったと思う。記憶はないけど、目が覚めてからすぐだって聞いた」
 何度も黙読を繰り返す南が三嘆して、称賛の言葉を惜しげもなく述べて最後に、
「ここから今の奈緒にまで来たんだ。ほんの数年で」
と言葉をかみしめるように一人ごちる。
「ううん、初めはなんにも分からなかった。でも、教えてもらってるうちにだんだんと出来るようになって、正解したら褒めてもらえるようになって、楽しくなったの。そしたら、わーいで、やったぁ、 だったわよ」
「目が覚めた時の記憶もあるの?」
「うん、あるよ。目が覚めた時の記憶、あ る よ。でもすぐあれだわよ」
 そう言って目をつむり、頭を横に傾げて眠ったふりをした。南が言葉を返さずに見つめてくるばかりだったので、奈緒が考え込んで一人で話を続ける。
「全然分からないところを、こうやって……なに? 例えば、バナナ。バナナ、ほんとはやっちゃいけないのよ。いけないっていうか、なんとかかんとかが」
「先生が?」
「ううん」
「お母さんとかお父さん?」
「ううん」
 首を振るった奈緒が続ける。
「なにしろ、あ、っていうのもないからね。あいうえお、そういうのもないの。でもはじめのほうは、もうよく分かんない。最後のほうは覚えてる。ただの普通の入院でした」
「それから日々表現してきた作品なんだね。ここにあるものみんな」
「うん。でも変なのもある。今見るとなに描いたか分からないから、あらら、なにかしらって疑問に 思う。それより、約束のカフェ。二学期、お疲れさまでしたって、し ま しょ」
 
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