FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

🐿️

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「三月いちにちはなにしているの?」突然奈緒が話題を変える。
「三月?」
「うん、こないだ、こないだっていうか、三月いちにち」
「そんな先の話、分かんないけど……」南が考える。
「なんで? 十二月の三月いちにち、わたしはおそばを食べるよ」
「ああ、三十一日、大みそか?」
「そう」
「うちはおそばかうどん食べるよ。緑か赤いやつ」南が何気に答える。
「わたしは日本に生まれて 本当に 幸せ」しみじみ言って「お湯入れるだけでおいしい。赤いのを食べると、生きててよかったって思う」と続けた。
「だよね」
 大晦日を想像したのか、奈緒がまったりとした笑みを湛える。
「わたしは、必ずわがまま言って、海老天買ってもらう。おっきいやつ」
「奈緒らしい。今からもう心は大晦日だね」南はそう答えて、奈緒のニット帽をポフポフと叩く。
 ヘルメットのほうが安全そうでいいのにと言いたげな面持ちに気がついたのか、この子が一言伝えるように呟く。
「あんまり障がい感あるのはいやなのよね。ファッションセンスがないもの」
「確かに。前に見た昔の私服はオシャレだったもんね」
「また、ああいうのが着たいわけではないの。着たくないって言ったらうそになるけれども。体がこんなだと、似合うものも似合わないし。だからといって、わたしは障がい者ですって格好したら、本当に障がい者になって しまう。気持ちが枯れたら、“そ れ こ ろ が”障がい者だから。でも わたしは、これは個性でありたいの。自分は障がい者だって気持ちが 時々 芽生えてきて、なんでも消極的になることが ある けれど、ヘルメットとかかぶったり、補助具とか使ったら、その度に、わたしは障がい者なんだって思い知らされてしまうでしょう? そんなのいや。 だって、気が滅入ってしまうもの。ぜったいにつけないと危険な人は 必要だけども、そうじゃなければ、つけないでいいと思う。だって健常者と障がい者を分け隔てるものってなーに? わたしはわたし。以前も今も、心はみんなと同じ。みんなが、心の垣根をなくして 仲良くしてくれた なら、わたしはなにもかもを忘れて、楽しくなれる。ふと、おも、おも、 思い出すと、 障がいがあることを忘れて楽しんでる時も あ り ま す。わたしは、そんな わたしで いたいです」







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