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三年生の一学期
第二百四十五話 新学年
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年度が替わって四月、奈緒は三年生に進級した。初日に取り行われた始業式を終えて、一つ下の四階にある3‐Cの教室にみんなが戻ってくると、窓際の最前列に座る男子から順々に自己紹介をしていくことになった。期待に胸を膨らませる生徒たちが目をキラキラ輝かせながら、それぞれが行う思い思いの挨拶に耳を傾ける。見知った顔同士だが、なぜかみんなはにかんでいた。
四列二番目の奈緒の番になって、この子は満を持して立ち上がる。そして、はきはきとした口調の赤ちゃん言葉で、ゆっくりと自分の名前、性別、病気のこと、趣味、好きな食べ物を述べていく。
「――あと、よだれをたらしますが、どうぞごひいきに。それではよろしくお願い い‐たしまする」
奈緒を見上げて聞いていた前に座る川島茜がほほ笑むと、口調をまねて言った。
「あなたはどこかの麿様ですか?」
「わたしはどこかの麿様ですか?」
奈緒は、なぜか含み笑いを浮かべて嬉しそうに答えた。それを見たクラスメイトの間から、散発的な笑いが起こる。
最後はふしぎな会話になって照れながら着席したが、自己紹介は上々だった。この子は、笑いが静まるのを待って、クラス全体に伝えるように、声のボリュームを上げる。
「一年生の時、、、二年生の時、、、お友達と 離ればなれは 悲しいですが、新しいお友達の 予感が し ま す。……ああ、もう言葉が出ない。仲良く――仲良く、、、してくださいっ」
方々にぺこりと頭を下げる姿に向かって、みんなが拍手を送る。
全員の自己紹介が終わると最後に、英語を担当する担任の女教師、長谷川こあらが、鼻にかかった甘い声で三年生としての心得を伝授し、大学受験や就職に向けて身を引き締めるようにと述べた。生徒たちが「はい」と声をそろえると、奈緒が艶めかしく胸を机につけて縁に掴まり、笑顔を振りまく。
「今年は修学旅行があるので、楽しみですっ」
クラス中が、一瞬にしてしんと静まり返った。
四列二番目の奈緒の番になって、この子は満を持して立ち上がる。そして、はきはきとした口調の赤ちゃん言葉で、ゆっくりと自分の名前、性別、病気のこと、趣味、好きな食べ物を述べていく。
「――あと、よだれをたらしますが、どうぞごひいきに。それではよろしくお願い い‐たしまする」
奈緒を見上げて聞いていた前に座る川島茜がほほ笑むと、口調をまねて言った。
「あなたはどこかの麿様ですか?」
「わたしはどこかの麿様ですか?」
奈緒は、なぜか含み笑いを浮かべて嬉しそうに答えた。それを見たクラスメイトの間から、散発的な笑いが起こる。
最後はふしぎな会話になって照れながら着席したが、自己紹介は上々だった。この子は、笑いが静まるのを待って、クラス全体に伝えるように、声のボリュームを上げる。
「一年生の時、、、二年生の時、、、お友達と 離ればなれは 悲しいですが、新しいお友達の 予感が し ま す。……ああ、もう言葉が出ない。仲良く――仲良く、、、してくださいっ」
方々にぺこりと頭を下げる姿に向かって、みんなが拍手を送る。
全員の自己紹介が終わると最後に、英語を担当する担任の女教師、長谷川こあらが、鼻にかかった甘い声で三年生としての心得を伝授し、大学受験や就職に向けて身を引き締めるようにと述べた。生徒たちが「はい」と声をそろえると、奈緒が艶めかしく胸を机につけて縁に掴まり、笑顔を振りまく。
「今年は修学旅行があるので、楽しみですっ」
クラス中が、一瞬にしてしんと静まり返った。
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