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二年生の一学期
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南が愁いを感じた様子の瞳を祖母に向けた。
「こんなに大変なんじゃ、本当に一人じゃ農家は続けらんないね。小さいころにもぎたてのキュウリやいちご食べたことあるけど、あの味は格別だったよ。東京で食べた果物も野菜も、ここで食べたものになんか敵わないもん」
「それはうれしいねぇ」おばあちゃんが深く微笑む。
「いつかは、裏の畑も売っちゃうの?」
おばあちゃんの顔から笑みが途絶えた。一瞬静止した腕を動かしてお茶を注ぎ続ける。そしてまた微笑んだ。
「どうだろうねぇ。五年……十年は続けたいと思うけれど、もう七十超えているから、いつまでもつか分からないねぇ」
みんなにお茶を配って、おばあちゃんが続ける。
「まあ、おいおいどうするか考えるよ。こういうしんみりした話はもう終わりにして、さあ、まだ足りなければ、おまんじゅうも召し上げれ」
奈緒は、待ってましたとばかりに手を出して、おまんじゅうを口へと運んだ。
そしてすぐに、「あと、東京みやげ。東京みあげ」と、リスみたいな瞳を爛々と輝かせて、赤ちゃん言葉を繰り返す。
「なに言ってるの? 帰ったら食べれるんだから、がまんがまん」南がたしなめる。
「やだ違うっ。みんなで食べま しょうねって 約 束 したでしょ。かりんとうせんべー。せんべー。みんなで一緒に、“荏原中延銀座”で、選んで。ねぇっ」
「言ってない。それに、戸越銀座商店街。
出さなくていいよ、おばあちゃん。この子、甘いもの食べすいだから」
お茶を啜りながら、春樹が口を挟んだ。
「ただそれ、埼玉銘菓なんです、実は。深谷だったかな。黒胡椒煎餅とネギ味噌煎餅もおんなじで。でも美味しいので、ぜひお一人でどうぞ」
その言葉に歯噛みした奈緒は、彼をぺしゃりと叩いたが、当たらなかったので、とっても恨めしそうに、「きーっ」、という顔をした。
「こんなに大変なんじゃ、本当に一人じゃ農家は続けらんないね。小さいころにもぎたてのキュウリやいちご食べたことあるけど、あの味は格別だったよ。東京で食べた果物も野菜も、ここで食べたものになんか敵わないもん」
「それはうれしいねぇ」おばあちゃんが深く微笑む。
「いつかは、裏の畑も売っちゃうの?」
おばあちゃんの顔から笑みが途絶えた。一瞬静止した腕を動かしてお茶を注ぎ続ける。そしてまた微笑んだ。
「どうだろうねぇ。五年……十年は続けたいと思うけれど、もう七十超えているから、いつまでもつか分からないねぇ」
みんなにお茶を配って、おばあちゃんが続ける。
「まあ、おいおいどうするか考えるよ。こういうしんみりした話はもう終わりにして、さあ、まだ足りなければ、おまんじゅうも召し上げれ」
奈緒は、待ってましたとばかりに手を出して、おまんじゅうを口へと運んだ。
そしてすぐに、「あと、東京みやげ。東京みあげ」と、リスみたいな瞳を爛々と輝かせて、赤ちゃん言葉を繰り返す。
「なに言ってるの? 帰ったら食べれるんだから、がまんがまん」南がたしなめる。
「やだ違うっ。みんなで食べま しょうねって 約 束 したでしょ。かりんとうせんべー。せんべー。みんなで一緒に、“荏原中延銀座”で、選んで。ねぇっ」
「言ってない。それに、戸越銀座商店街。
出さなくていいよ、おばあちゃん。この子、甘いもの食べすいだから」
お茶を啜りながら、春樹が口を挟んだ。
「ただそれ、埼玉銘菓なんです、実は。深谷だったかな。黒胡椒煎餅とネギ味噌煎餅もおんなじで。でも美味しいので、ぜひお一人でどうぞ」
その言葉に歯噛みした奈緒は、彼をぺしゃりと叩いたが、当たらなかったので、とっても恨めしそうに、「きーっ」、という顔をした。
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