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三年生の一学期
第二百五十九話 りんごパイ
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気を取り直した奈緒が、テンションを立て直して立ち上がった。
「わたしのせいで暗くなっちゃた。それにごめんね、この間はいやな思いさせちゃって」
「なんのこと?」二人が訊く。
「南ちゃんに呼び出されたんでしょ。わたしなんかやっぱりだめなんだね。誰かと仲良くしようとすると、誰かと誰かがけんかしちゃう。一年の時は南ちゃんたちとウィップスだったし、二年の時は、鏡花ちゃんたちとだったし。そして 今は、二人が迷惑を受けてる。そう考えると、やっぱりわたしなんかいないほうがいいのかなって、ちょっと心配になる。そうすれば、二人も南ちゃんも接点がなくて平穏なのになって」
言い終わるや否や、麗が少し語気を荒げる。
「そんなだからいじめられるんじゃないの? わたしたちは好きであなたといるんだよ。好きでっていうか、なんか人間関係で傷ついて寂しさを埋め合ってるっていうか、傷をなめ合うっていうのは、語弊があるかもしれないけれど、仲間になれるんじゃないかって思う。だから、ウリしてることも告白したし、一緒にしようって誘ってるの」
言い終わって悲しげに瞳を微かに潤ませ視線を逸らす。そして、弱々しく続けた。
「いやならいいけどね。縁切っても。恨まないよ。誰だって体売ってる子なんかと仲良くしたくないもんね」
「ううん、そんなことない。わたしは、二人と お友達でいたい。確かにウリとかはいけないことだと思うけど、普通に付き合う分には結構気が合う気がする」
「そうだよね。わたしもそう思う」
玲央名がそう言って鷹揚に微笑したので、奈緒は満面の笑みを浮かべたて返す。
「それでは、よてい どおり、いいこと思いついちゃった。これからお友達のしるしに、お菓子を食べましょう? 今日は金曜日だから、限定りんごパイが あ る の よ。おひとつおごってあげますよ」
「やったぁ」二人が喜ぶ。
奈緒が二人を連れ立ってやってきたのは、すぐそばにある小さなお菓子屋さんだった。
「わたしのせいで暗くなっちゃた。それにごめんね、この間はいやな思いさせちゃって」
「なんのこと?」二人が訊く。
「南ちゃんに呼び出されたんでしょ。わたしなんかやっぱりだめなんだね。誰かと仲良くしようとすると、誰かと誰かがけんかしちゃう。一年の時は南ちゃんたちとウィップスだったし、二年の時は、鏡花ちゃんたちとだったし。そして 今は、二人が迷惑を受けてる。そう考えると、やっぱりわたしなんかいないほうがいいのかなって、ちょっと心配になる。そうすれば、二人も南ちゃんも接点がなくて平穏なのになって」
言い終わるや否や、麗が少し語気を荒げる。
「そんなだからいじめられるんじゃないの? わたしたちは好きであなたといるんだよ。好きでっていうか、なんか人間関係で傷ついて寂しさを埋め合ってるっていうか、傷をなめ合うっていうのは、語弊があるかもしれないけれど、仲間になれるんじゃないかって思う。だから、ウリしてることも告白したし、一緒にしようって誘ってるの」
言い終わって悲しげに瞳を微かに潤ませ視線を逸らす。そして、弱々しく続けた。
「いやならいいけどね。縁切っても。恨まないよ。誰だって体売ってる子なんかと仲良くしたくないもんね」
「ううん、そんなことない。わたしは、二人と お友達でいたい。確かにウリとかはいけないことだと思うけど、普通に付き合う分には結構気が合う気がする」
「そうだよね。わたしもそう思う」
玲央名がそう言って鷹揚に微笑したので、奈緒は満面の笑みを浮かべたて返す。
「それでは、よてい どおり、いいこと思いついちゃった。これからお友達のしるしに、お菓子を食べましょう? 今日は金曜日だから、限定りんごパイが あ る の よ。おひとつおごってあげますよ」
「やったぁ」二人が喜ぶ。
奈緒が二人を連れ立ってやってきたのは、すぐそばにある小さなお菓子屋さんだった。
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