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三年生の一学期
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茜が顔を近づけて奈緒の双眸をのぞき込んで、にっこりと笑う。
「一年の時は気がつかなかったけど、ほんとすごいバイタリティーだったよね、廣飯さんって。福祉の精神に富んでたし。成瀬さんは、ほんと運がいいよ。入学したての頃にすぐ廣飯さんと友達になれて。あんなに親身になって考えてくれたり動いてくれたりする友達なんて、そうそういないし」
真叶が、物悲しそうな瞳をした。
「あなたの言うことは、耳に痛いわね。わたしたち友達が、あの子にちゃんと寄り添えていたなら、こんなことにならなかったかもしれないのに。変わらないといけないような人たちがそのままのさばって、いてもらわなければならない人が去ってしまわなければならない環境ってどうなのかしらね。個人のためにも全体のためにもならないのに。それが分からないのかしら、みんなは」
言い終わって、真叶が奈緒の後ろの席の黒目がちな少女を見下ろす。委縮した様子で見上げていた麗は、思わず視線を逸らしたが、生徒会長はかまわず続ける。
「茅根さんもお願いね、仲いいんだから。成瀬さんが卒業できるかどうかは、いつもそばにいる友達にかかっているんだからね」
答えない麗に更に言い聞かせて、最後に「ねっ」、と付け加える。右肘をついて身をよじり、渋々といった様子の三番目に座る少女が「ん」、と返事をするのを待ってから、真叶が三人を個別に見渡した。左のこめかみに流れたフロントバングに反射した蛍光灯の光が、毛先に向かって流れていく程度の時間をおくと、「それじゃあ成瀬さん、体育祭の練習にはちゃんと出るのよ、もう始まっているんだから。一緒に卒業しようね、わたしたち」と言って、席に戻っていく。
少し呆けた感じで彼女を見送った麗が、最後に言われた言葉を反芻するかのように小さく独白する。
「そうだよね、友達だもんね」
奈緒は聞こえていなかったのか、正面を向いて、「まあいいやね、とりあえずなんとなくサボろう」と、茜に呟く。背中にかけられた「雨降って中止になっちゃえ」という言葉には、やんややんやと喜んだ。
「一年の時は気がつかなかったけど、ほんとすごいバイタリティーだったよね、廣飯さんって。福祉の精神に富んでたし。成瀬さんは、ほんと運がいいよ。入学したての頃にすぐ廣飯さんと友達になれて。あんなに親身になって考えてくれたり動いてくれたりする友達なんて、そうそういないし」
真叶が、物悲しそうな瞳をした。
「あなたの言うことは、耳に痛いわね。わたしたち友達が、あの子にちゃんと寄り添えていたなら、こんなことにならなかったかもしれないのに。変わらないといけないような人たちがそのままのさばって、いてもらわなければならない人が去ってしまわなければならない環境ってどうなのかしらね。個人のためにも全体のためにもならないのに。それが分からないのかしら、みんなは」
言い終わって、真叶が奈緒の後ろの席の黒目がちな少女を見下ろす。委縮した様子で見上げていた麗は、思わず視線を逸らしたが、生徒会長はかまわず続ける。
「茅根さんもお願いね、仲いいんだから。成瀬さんが卒業できるかどうかは、いつもそばにいる友達にかかっているんだからね」
答えない麗に更に言い聞かせて、最後に「ねっ」、と付け加える。右肘をついて身をよじり、渋々といった様子の三番目に座る少女が「ん」、と返事をするのを待ってから、真叶が三人を個別に見渡した。左のこめかみに流れたフロントバングに反射した蛍光灯の光が、毛先に向かって流れていく程度の時間をおくと、「それじゃあ成瀬さん、体育祭の練習にはちゃんと出るのよ、もう始まっているんだから。一緒に卒業しようね、わたしたち」と言って、席に戻っていく。
少し呆けた感じで彼女を見送った麗が、最後に言われた言葉を反芻するかのように小さく独白する。
「そうだよね、友達だもんね」
奈緒は聞こえていなかったのか、正面を向いて、「まあいいやね、とりあえずなんとなくサボろう」と、茜に呟く。背中にかけられた「雨降って中止になっちゃえ」という言葉には、やんややんやと喜んだ。
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