FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🐿️

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 慰めの言葉をかけなかった彼女は、代わりに無理して高揚したような声で一人ごちる。
「今、温かいお湯出してあげるからね」
 そう言って洗面台の蛇口を捻った。放出された水をそのままにして、オットマンを足で端にどけ、キャンプ用のに似た折りたたるロッキングチェアを両手で持ち上げて奈緒のもとに戻ってくると、この子を抱きかかえてそこに座らせる。そして、お湯の温度を確認してから、温かいその流れ落ちる透明な液体にタオルを晒してお湯を含ませ、何度か強く絞ると、奈緒のもとにゆっくり戻ってきた。
「あいつらのことは、コテンパンにシメてやったよ。もし足りないようなら、どっか呼び出してボコボコにしてやってもいいからね。こんなに可愛い奈緒を痛めつけるなんて、常軌を逸してるよ。いつもだったらエンジェルリングがくっきりと浮かぶほど輝く、しっとりとまとまった黒真珠色のきれいな黒髪なのに、それを台無しにしちゃって、ほんと信じらんない。すぐにきれいにしてあげるからね」
 そう言って、今は見るも無残で光沢のない木炭のような色をした髪を、撫でるように拭う。
「真っ白なワイシャツが台無し。まだそんなに着ていないんでしょ、パリッとしてるもんね。それなのに、こんなシミ作られちゃって、ウィップスのやつら、ほんとムカつく。ちゃんと弁償させてやろう。三着くらいは買わせてやんないとね」
 頭にかぶってべたついていた炭酸飲料が、綺麗に拭われていく。
「頬が赤い。どんだけひっぱたいたのよ、あいつら。今冷やしてあげるから待ってて」
 そう言って冷水に替えた蛇口の下に新しいタオルを晒して戻ってくると、それを頬にあてがって、まだ温もりが残る最初のタオルで、唇を拭う。
「っ――」奈緒がピクリと反応した。
 慌てた南がタオルを見ると、少し血がにじんでいる。
 今度は慎重に、タオルで奈緒の頬をそっと撫でる。砕け散ってしまいそうなほど薄いガラスの膜に触れるかのような手つきでこの子に触れる彼女は、とてもつらそうな表情をしていた。中学時代は不良だったから、ケンカのあとの無残な姿は見慣れているはずなのに。それだけ奈緒の姿が哀れに映ったのだろう。


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