エスパー&ソーサラー

緒方宗谷

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ゴブリン

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 四方から振り下ろされる棍棒をシルバーグレードでかわしながら、パニックを起こしたサラを落ち着かせようと、ラングが声を張り上げて呼びかける。その声が聞こえたのか聞こえなかったのかは分からないが、サラは精霊呪文を唱え始める。それと平行して軽やかに舞いだした。
 「『風の精霊よ』力をかし・・べっ!!」
 「何やっているんだ! サラ殿!!」
 「だってここ、木が多すぎるんだもん!!」
 呪文の途中で頭を打ったサラは星がクルクル回る頭を押さえ、必死に涙がこぼれるのをこらえる。 
 「ゴププププッ」
 「あ~! 笑った! こいつ、わたしを見て笑ったよぉ~!! 悔しい~!!」
 ゴブリンなんかにバカにされ、やりきれなさとその悔しさから、頭を押さえたまま地団駄を踏んだ。その後ろへコソコソと周ってきたゴブリンがサラとの距離を縮め、棍棒を振り上げる。
 「サラ殿!! 後ろ!!」
 その声に振り向くとゴブリンの醜い顔がアップで視界に入り、びっくりして倒れこむ。それでもサラは、容赦なく振り下ろされる棍棒が自分にあたる前になんとか呪文を唱えることができた。
 「ひゃ~っ『風の精霊よ』わたしを助けて~!!」
 サラの言葉に反応し、棍棒から身を守るようにかざした右手から勢いよく吹き上がった風かサラを包み込む。棍棒は風の結界にぶち当たって粉々に粉砕され、同時に棍棒を持つゴブリンの両腕から全身までも切り刻んでいく。
 球体の風の結界は血しぶで真っ赤に染まった。結界が消えていく過程で、すりむいた手足、タンコブも治していく。助けに駆け寄ったラングの傷も癒していった。
 ゴブリンは魔法などを使えないため接近戦を得意とするはずだが、なぜか距離をとって戦おうとしている。ラングはシルバーグレードを下段に構え、気合を入れるように叫びながら突っ込む。身構えるゴブリンの前で足を踏みしめ、大きくシルバーグレードを振り上げて、棍棒で防御するゴブリンめがけて振り下ろした。その刃は棍棒を真っ二つにして、左肩から腹部にかけて切り裂いた。傷口から音を立てて血が噴出し、ラングの右半身を赤く染める。
 ラングが前に出る度に、ゴブリンの本隊は後方に引いていく。攻撃を仕掛けてくるのは数匹のゴブリンだけだ。それでもラング1人でさばくのはキツく、死角をついて度々棍棒が襲い掛かかる。
 ラングが裁ききれないゴブリンを倒すのは、サラの役目だ。ファイアチェイスを唱えると、構えた手のひらに火の玉が出現し、その火の玉が子を産むように更に多くの火の玉へと分裂し、ゴブリンめがけて飛んでいく。たまにファイアチェイスを避ける者がいたが、火の玉は方向を変え一瞬でゴブリンを焼き払う。
 30匹程度かと思われていたゴブリンは思ったより多く、もう50匹以上は倒していた。にもかかわらず周りを見ると、明らかに倒した数を上回るゴブリンが棍棒を構えウヨウヨしている。中には錆びてはいたものの鉄か銅の剣や斧を持つものまで現れた。いつ終わるかわからない戦闘の中、2人に疲労が見え始めた。


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