15 / 107
戦闘の後
2
しおりを挟む
「そういえばミリィさんって、どこの国から着たんですか?」
ラングの話が一段楽したとき、サラが質問してきた。
「サイコラークからよ。ガルディ港から大陸に入ったの」
ミリィの発言に2人はびっくりした。
「それじゃあ、クラフト公国から上陸したんですか!?」
「そーよー」
声量を上げたサラを涼しげに見ながら、ミリィは言った。
2人が驚くのも無理はない。クラフト公国は、魔術を武器に憎悪をもって戦う好戦的な軍事国である。悪魔崇拝者が多くて生贄目当ての誘拐事件が多発するなど治安も悪く、たいへん危険な国だ。
「1つ言いたいんだが――」とラングが口を開く。「遠回りの航海になってもサンシャインブルーを渡らずサンセットブルーを渡ってサフル・マタヤーナ王国に入って、国境沿いの大河を下ってから西衛砦から入国すれば、危険な古代樹の森に入らず都市エトルまで、すぐ行けたんじゃないかな?」
ラングは、サイコラークから一番安全な順路を説明した。
「ですよね? もしかして、知らなかったんじゃないですか? 計画も立てずに最短距離を驀進してきたとか?」
図星である。地図は簡単なものだけでちゃんとしたものは持っていないし、コンパスも持っていない。
大陸国家のライコラークは四方八方が海に囲まれているため、外国へ旅行するものは冒険家以外いない。国内の場合、国土中に幹線道路が張り巡らされ、地方道路が血管のように市町村を網羅している。
行ったことのない都市でさえ、そこへ繋がる幹線道路を馬にでも乗っていけば、地図がなくても迷わず行ける。基本的にサイコラーク人は、海外への旅に関する予備知識がない。また、テレキネスなどで危険を察知して大抵回避してしまうため、危機感がないのだ。
テレキネスは人々が思っているように心が読めるわけではないが、心の動きや周辺の環境の動きを感じ取ることができる。
神族が揮う神力、魔族が揮う魔力同様、人間には霊力がある。それを基盤において扱うサイキックは、神魔に対抗しうる最高の法術だ。魔術や神術のような物質世界では扱いにくい力を、わざわざ霊力を媒体として取り入れる必要がない。
他の法術に比べ、はるかにバラエティーにとんだ物質的、精心的な攻撃ができる。過去、たびたび勃発した対神魔戦争において中心的主導国として名をはせ、六百年前の降魔戦争でも、ベルゼバブ率いる悪魔軍を何とか撃退した。
旧世界を滅ぼした最終戦争に匹敵するほどの大軍を率いて降臨した、4百年前の天使降臨の際にも、国土の9割が焦土と化す大敗をであったものの、通称エスプス呼ばれるサイコラークの軍隊は、最高位天使長・大天使ミカエルから人間たちを守りぬいた。
もちろん、最終戦争で神族が魔族に敗れ、四大天使のうちミカエル以外が封印されてしまっていたことと、世界諸国の活躍もあったわけだが――。
歴史に残る活躍をした、エスパー・サイキッカー・サイコマスター・サイコファイター・サイコソルジャー・サイコウォリアー、もっとも高位なサイコナイト・サイキックナイトなどの英雄たちの血統が、ミリィの中に流れているのだ。
ラングの話が一段楽したとき、サラが質問してきた。
「サイコラークからよ。ガルディ港から大陸に入ったの」
ミリィの発言に2人はびっくりした。
「それじゃあ、クラフト公国から上陸したんですか!?」
「そーよー」
声量を上げたサラを涼しげに見ながら、ミリィは言った。
2人が驚くのも無理はない。クラフト公国は、魔術を武器に憎悪をもって戦う好戦的な軍事国である。悪魔崇拝者が多くて生贄目当ての誘拐事件が多発するなど治安も悪く、たいへん危険な国だ。
「1つ言いたいんだが――」とラングが口を開く。「遠回りの航海になってもサンシャインブルーを渡らずサンセットブルーを渡ってサフル・マタヤーナ王国に入って、国境沿いの大河を下ってから西衛砦から入国すれば、危険な古代樹の森に入らず都市エトルまで、すぐ行けたんじゃないかな?」
ラングは、サイコラークから一番安全な順路を説明した。
「ですよね? もしかして、知らなかったんじゃないですか? 計画も立てずに最短距離を驀進してきたとか?」
図星である。地図は簡単なものだけでちゃんとしたものは持っていないし、コンパスも持っていない。
大陸国家のライコラークは四方八方が海に囲まれているため、外国へ旅行するものは冒険家以外いない。国内の場合、国土中に幹線道路が張り巡らされ、地方道路が血管のように市町村を網羅している。
行ったことのない都市でさえ、そこへ繋がる幹線道路を馬にでも乗っていけば、地図がなくても迷わず行ける。基本的にサイコラーク人は、海外への旅に関する予備知識がない。また、テレキネスなどで危険を察知して大抵回避してしまうため、危機感がないのだ。
テレキネスは人々が思っているように心が読めるわけではないが、心の動きや周辺の環境の動きを感じ取ることができる。
神族が揮う神力、魔族が揮う魔力同様、人間には霊力がある。それを基盤において扱うサイキックは、神魔に対抗しうる最高の法術だ。魔術や神術のような物質世界では扱いにくい力を、わざわざ霊力を媒体として取り入れる必要がない。
他の法術に比べ、はるかにバラエティーにとんだ物質的、精心的な攻撃ができる。過去、たびたび勃発した対神魔戦争において中心的主導国として名をはせ、六百年前の降魔戦争でも、ベルゼバブ率いる悪魔軍を何とか撃退した。
旧世界を滅ぼした最終戦争に匹敵するほどの大軍を率いて降臨した、4百年前の天使降臨の際にも、国土の9割が焦土と化す大敗をであったものの、通称エスプス呼ばれるサイコラークの軍隊は、最高位天使長・大天使ミカエルから人間たちを守りぬいた。
もちろん、最終戦争で神族が魔族に敗れ、四大天使のうちミカエル以外が封印されてしまっていたことと、世界諸国の活躍もあったわけだが――。
歴史に残る活躍をした、エスパー・サイキッカー・サイコマスター・サイコファイター・サイコソルジャー・サイコウォリアー、もっとも高位なサイコナイト・サイキックナイトなどの英雄たちの血統が、ミリィの中に流れているのだ。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる