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王都
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フィーリアン城の大きな城門をくぐり城内に入ると、奥に長い階段と大きな踊り場のある演舞の間になっている。階段を上り背の高い扉を抜けた先は、中央にある槍のような宮城へと中庭を横断する、アロー殿の入り口になっていた。衛兵に案内され、アーチを描く高い天井の長い廊下を進んでいった。
演舞の間もそうだったが、建物全体がとても窓が多い。全て人類の歴史や伝承を伝える物語を描いたものだ。他に印象的だったのは、絵の描かれた陶器製の大きな一枚板のタイルが壁にはめ込まれていること。一枚焼きなんて見るのはみんな初めてだ。
ここはまだ丘の頂上部分ではないようで、踏面が5歩ほどの距離もある長い階段を上っていく。やっとの思いで宮城へとたどり着き、重そうな扉をくぐって会見の間へと向かった。
途中、たくさん並んだ普通の窓から外を見ると、王都フィリスがずっと遠くまで広がっている。静かで気品があって活気のある美しい首都だ。
通された会見の間は、壁じゅうに金や銀や宝石、伝統工芸であるガラス細工の飾りで彩られていた。左右にハイナイトクラスの騎士が整列している。その中央にある赤絨毯の先には、10段ほどの階段と、その上に大きな王座があった。そこに国王ハースティがお座りになられている。
「おぉ、待ちかねたぞ。そなたらが、ゴブリンから村を救ってくれた者たちか・・・、礼を言うぞ」
ゴブリンが村を襲おうとした理由がラングにあるとは言っていないので、誰も知らない。
「あたりまえの事をしただけですから」
他国の王に跪く気のないミリィは、見るからに平和そうで老いた国王に対し、躊躇することなく答える。
「ミリィさん、頭が高いですよ」
サラとラングは、慌ててミリィを跪かせようとする。
「別にかまわん。それより私は、ゴブリンだけではなく、あの超強い天使さえも倒してしまったそなたたちに、ある頼み事をしたいのだが――」
「頼みといいますと?」
天使との戦いの話をしたのは、皇太子だけだ。何故そのことを既に知っているのか疑問に思いながら、ミリィは訊き返した。
「実は、2日ほど前から・・・、私は・・」
「・・・?」
「私は、天使にとり憑かれてしまったんじゃ~! 死んでくれ~!!」
国王の表情は変貌し、物凄い神気を発し始めた。
「殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す!!」
ドドドドドドッ
「『精霊よ』我が盾となれ!」
突風が吹いたように発せられた神気の中、打ち放たれたセイントクロスは精霊の盾を弾き、3人は入り口の扉まで飛ばされ激突した。こないだ倒した天使に勝らずとも劣らない神力である。
ミリィは、内在する霊力を絞り出す。
(マズイわね・・・、戦えるほど回復してない・・・)
「ミリィさん、オーラでやちゃってください!!」とサラ。
思いっきり期待しているのが分かる。それがすっごく重い。
「で・・・できないわよ。王様まで殺しちゃうわ」
戦うのがつらい状況を天使に悟られないように、王様を理由にオーラの使用を拒否した。
「ミリィ殿! どうか国王陛下をお助けください!!」(騎士一同)
そう言い残すと、そそくさと退室した。王室に仕える非戦闘員を避難させるために出て行っただけで、逃げるわけではない。そう叫びながら出て行く騎士の1人の声が、だんだん小さくなっていった。やはり残ったのは、ミリィ、サラ、ラングの3人だけだった。
演舞の間もそうだったが、建物全体がとても窓が多い。全て人類の歴史や伝承を伝える物語を描いたものだ。他に印象的だったのは、絵の描かれた陶器製の大きな一枚板のタイルが壁にはめ込まれていること。一枚焼きなんて見るのはみんな初めてだ。
ここはまだ丘の頂上部分ではないようで、踏面が5歩ほどの距離もある長い階段を上っていく。やっとの思いで宮城へとたどり着き、重そうな扉をくぐって会見の間へと向かった。
途中、たくさん並んだ普通の窓から外を見ると、王都フィリスがずっと遠くまで広がっている。静かで気品があって活気のある美しい首都だ。
通された会見の間は、壁じゅうに金や銀や宝石、伝統工芸であるガラス細工の飾りで彩られていた。左右にハイナイトクラスの騎士が整列している。その中央にある赤絨毯の先には、10段ほどの階段と、その上に大きな王座があった。そこに国王ハースティがお座りになられている。
「おぉ、待ちかねたぞ。そなたらが、ゴブリンから村を救ってくれた者たちか・・・、礼を言うぞ」
ゴブリンが村を襲おうとした理由がラングにあるとは言っていないので、誰も知らない。
「あたりまえの事をしただけですから」
他国の王に跪く気のないミリィは、見るからに平和そうで老いた国王に対し、躊躇することなく答える。
「ミリィさん、頭が高いですよ」
サラとラングは、慌ててミリィを跪かせようとする。
「別にかまわん。それより私は、ゴブリンだけではなく、あの超強い天使さえも倒してしまったそなたたちに、ある頼み事をしたいのだが――」
「頼みといいますと?」
天使との戦いの話をしたのは、皇太子だけだ。何故そのことを既に知っているのか疑問に思いながら、ミリィは訊き返した。
「実は、2日ほど前から・・・、私は・・」
「・・・?」
「私は、天使にとり憑かれてしまったんじゃ~! 死んでくれ~!!」
国王の表情は変貌し、物凄い神気を発し始めた。
「殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す!!」
ドドドドドドッ
「『精霊よ』我が盾となれ!」
突風が吹いたように発せられた神気の中、打ち放たれたセイントクロスは精霊の盾を弾き、3人は入り口の扉まで飛ばされ激突した。こないだ倒した天使に勝らずとも劣らない神力である。
ミリィは、内在する霊力を絞り出す。
(マズイわね・・・、戦えるほど回復してない・・・)
「ミリィさん、オーラでやちゃってください!!」とサラ。
思いっきり期待しているのが分かる。それがすっごく重い。
「で・・・できないわよ。王様まで殺しちゃうわ」
戦うのがつらい状況を天使に悟られないように、王様を理由にオーラの使用を拒否した。
「ミリィ殿! どうか国王陛下をお助けください!!」(騎士一同)
そう言い残すと、そそくさと退室した。王室に仕える非戦闘員を避難させるために出て行っただけで、逃げるわけではない。そう叫びながら出て行く騎士の1人の声が、だんだん小さくなっていった。やはり残ったのは、ミリィ、サラ、ラングの3人だけだった。
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