27 / 107
エルフ
1
しおりを挟む
光体のように透き通った白い光を放つ部屋があった。長い楕円形のテーブルの端に、3人の羽のない天使のような男達が座り、宙に浮く水銀のような水晶球を眺めていた。それにはバジェル戦の光景がリアルタイムで映っていた。
「まさか、本当にあれにするのか? 次に捕獲する実験台は・・・」
「あぁ、現段階の力なら、我々の力で何とかなる」
「しかし、今にも死にそうではないか、殺してしまっては使い物にならないのじゃぞ! 分かっておるのか?」
「分かっているさ。持ち駒を2体も失ったのは痛いが、あれで死ぬようでは、器もたかが知れている」
「では、これで決まりじゃ・・・」
あれから一週間がたった。ミリィは、城の医務室で眠りつづけている。
天使との激戦で受けたダメージ、使った霊力は膨大なものであり、生を維持できるギリギリに達していた。城にいた全ての術師が、24時間交代で霊力を注ぎ込んだおかげで、やっと峠を超え、一応安心できる状態になった。
「ミリィさん、いつになったら起きるのかな・・・、もしかしたらこのまま・・・」
「縁起でもないこと言うな!!」
ラングが一喝する。
「そ、そうですよね!? そういえば初めて会ったとき死にかけてロヘロだったのに、サイキックを何回も使って生きてたゴキブリみたいな人ですからね!!」
ミリィのオデコに血管が浮き出る。
「後は医師の私に任せて、城下に出るといいわ、気分転換になるし」
「・・・はい、後をお願いします」
ミリィのことを女性医師に任せて、2人は部屋を後にした。
天使との戦いがあったことなど忘れてしまったかのように、城下はいつもの賑わいを見せている。
「天使と戦ったんじゃろ? 偉いねぇ~、あんたらのおかげで、わしらは生きられてるんじゃよ」
サラたちの顔は知らずとも、天使と戦った勇敢な者がいるという噂は町中に広まっていた。全身に包帯を巻いたラングを見ると、多くの人々が話し掛けてくる。そのたびにミリィのことを思い出し、笑いを見せながらも俯いてしまう。
結局、ミリィのことが気になり、城の医務室へ戻ることにした。だが、やはりミリィは目覚めていない。
「もう、体にも魂にも霊力が満たされてるし、頬にも赤味が差しているから、じき目を覚ますわ」
医師はそう言ったが、それからまた3日が過ぎた。サラは、いっこうに目を覚まさないミリィを付きっ切りで看病し、何度も話し掛けるが何も返事は返ってこない。大粒の涙を浮かべながら、ずっと名前を飛びつづけた。
「まさか、本当にあれにするのか? 次に捕獲する実験台は・・・」
「あぁ、現段階の力なら、我々の力で何とかなる」
「しかし、今にも死にそうではないか、殺してしまっては使い物にならないのじゃぞ! 分かっておるのか?」
「分かっているさ。持ち駒を2体も失ったのは痛いが、あれで死ぬようでは、器もたかが知れている」
「では、これで決まりじゃ・・・」
あれから一週間がたった。ミリィは、城の医務室で眠りつづけている。
天使との激戦で受けたダメージ、使った霊力は膨大なものであり、生を維持できるギリギリに達していた。城にいた全ての術師が、24時間交代で霊力を注ぎ込んだおかげで、やっと峠を超え、一応安心できる状態になった。
「ミリィさん、いつになったら起きるのかな・・・、もしかしたらこのまま・・・」
「縁起でもないこと言うな!!」
ラングが一喝する。
「そ、そうですよね!? そういえば初めて会ったとき死にかけてロヘロだったのに、サイキックを何回も使って生きてたゴキブリみたいな人ですからね!!」
ミリィのオデコに血管が浮き出る。
「後は医師の私に任せて、城下に出るといいわ、気分転換になるし」
「・・・はい、後をお願いします」
ミリィのことを女性医師に任せて、2人は部屋を後にした。
天使との戦いがあったことなど忘れてしまったかのように、城下はいつもの賑わいを見せている。
「天使と戦ったんじゃろ? 偉いねぇ~、あんたらのおかげで、わしらは生きられてるんじゃよ」
サラたちの顔は知らずとも、天使と戦った勇敢な者がいるという噂は町中に広まっていた。全身に包帯を巻いたラングを見ると、多くの人々が話し掛けてくる。そのたびにミリィのことを思い出し、笑いを見せながらも俯いてしまう。
結局、ミリィのことが気になり、城の医務室へ戻ることにした。だが、やはりミリィは目覚めていない。
「もう、体にも魂にも霊力が満たされてるし、頬にも赤味が差しているから、じき目を覚ますわ」
医師はそう言ったが、それからまた3日が過ぎた。サラは、いっこうに目を覚まさないミリィを付きっ切りで看病し、何度も話し掛けるが何も返事は返ってこない。大粒の涙を浮かべながら、ずっと名前を飛びつづけた。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる