エスパー&ソーサラー

緒方宗谷

文字の大きさ
39 / 107
死の大地

1

しおりを挟む
 どのくらい歩いたか分からないが、地面には草が生い茂っているため、まだ死の大地に入っていないことだけは分かる。地図を見ると、遺跡までは2日ほど歩かないといけないので、細く長い木が数本生える場所で休むことにし、2人は座り込んだ。
 口数の少ないミリィを心配して、サラが口を開いた。
 「ラーミお婆の修行でわたしたちって相当強くなっているのに、やっぱりもっと強い人たちはいるんですね」
 「そうね・・・」
 「・・・? どうしたんですか?」
 「なんか腑に落ちないのよね。レイドラードの手前であった男――、あれってアンデット系だったじゃない? 神族なのにアンデット系を使うなんて・・・」
 「肉体を持っているからじゃないですか?」
 「そうかもしんないけど」
 先の最終戦争で神族は負け、統率姓のなくなった末端の天使がかってに物質世界に降臨するのは分かる。しかし、何故人間に近い肉体を持つものがいるのだろうか・・・。
 天使は絵で見たことがあるし、国立図書館や本屋に置いている書物で、ある程度勉強している。しかし、天人の存在をミリィは知らなかった。
 もしかしたら、最終戦争や天使降臨の際、人間の前に現れていないのかもしれない。そうなると、前線に出てくるタイプとは違う。ルーゲイルが言ったとおり、高位な存在なのだろう。
 そして、何故自分の前に現れたのか・・・。

 「・・・敵であることは、間違いないわね」
 「そうともいえないな」

 天人である前に人間なのか・・・、本当の意味はわからない。
 いつのまにか眠ってしまったらしく、目がさめたときには、朝日が完全に昇った後だった。枯れ木を集めて火をつけ朝食の支度をしていた時、フィーリアンバケットの焼ける匂いに誘われサラが目覚めた。
 「おはよーございます~」
 2人はバケットと干し肉を食べ、すぐに出発した。
 陽が暮れ始め、野宿に適した場所を探し始めていた頃、遠くに人工的な光を見つけた。地図を広げて確認したが、村や町の存在を表す印はない。まあ、地図を作った国から離れすぎていれば、こんなことはよくある。
 そもそも地図をくれたフィーリアン王室はレイドラード市国から先に、地図を作るための調査団を送っていない。
 フィーリアンにとって、レイドラードは国益に影響する国ではないらしいし、それより離れた場所になれば、虫食いだらけの地図になっても当然だろう。実際、地図によると、この辺りは森のはずだ。
 40分ほどで2人は町についたが、何かあったのか厳重な警備がしかれている。ミリィは、自分の顔が念写されたパスポートを見せ、簡単に中に入る許可が下りた。だが、身分を証明する物のないサラは長々と尋問された。やっと中に入れる許可をもらえたのは、2時間後だった。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...