エスパー&ソーサラー

緒方宗谷

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戦争勃発

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 痛いくらいに打ちつける雨の中、1人出歩いてくるサラを見つけたケース青年団は、すぐにパウのところに連れて行った。みんなは、ミリィがいないことが心配で仕方なかったが、とても聞ける状態ではなかった。そのためローラに任せ、静かにしておくことにした。
 サラは、喋ることもなくベットにすわり、焦点の定まらない瞳で、窓の外を見ている。ローラは、サラの冷え切った体を温めてやろう、と温かいスープを用意したが、それに目もくれず、遺跡のほうだけを見つめていた。
 朝日が昇り、パウとフィーリアン兵がサラのいる部屋に入ってきた。そのころには体のアザも消え、ある程度話せる状態になっていたが、いつもの元気は全くなく、うつむいたまま2人の話に答える。
 「・・・そう言うことなら、我々も協力しよう」
フィーリアン王国に一度戻るよう、兵士は勧めた。サラの願いで、今すぐ出発することにし、ケースの町・・・、今は、ケース侯国であるこの地を後にした。
 兵士はスモールドラゴン、サラはパウからもらった馬でフィーリアンへ向かう。
 首都へと近づくにつれ、精霊達が騒ぎ出す。微細な神気を感じ取った二人は、道を急いだ。
 王都フィリスに入ると人の気配がない。ゴーストタウンのようだった。城下に近づくにつれ、神気が濃くなっていく。嫌な予感が的中した2人は、スピードを上げ、城に向かった。
 オーストテリス城には誰もいない。2人は大通りを馬で抜け城門をくぐる。
 案の定、城は半壊し、城内には、フィーリアン軍の頂点を占めるハイナイトが数多く倒れていた。中央大陸最強といわれるフィーリアン騎士の亡骸から流れ出した大量に血は、海と化している。その中を2人は用心しながらも急いで宮殿を目指した。
 「ちょっと待って!!」
 王室へ曲がる廊下の手前で、サラが兵士を止める。王間のほうを覗くと、やせた体で、床につくほど長い腕を持つ、ドミニオンより小柄の天使が5体見える。
 「・・・・・」
 「もしかしたら、まだあの中に陛下が・・・」
 先に進もうとした兵士を制止したサラは、ソウルハント(無数の手が敵のアストラルボディをむしる魔術)で先制攻撃を加える。
 「ギャシャァァァァ!!」
 一斉に振り向いた天使たちは神の火を放つが、精霊の盾に阻まれ、シャワーのようにサラの後方へ散る。天使たちの反撃はすぐにやみ、体中を毟られて消滅していった。
 よく突破されなかったものだと感心しながら、王間の扉の前にサラは立った。内側から、騎士たちが霊力でコーティングしているらしく、天使の攻撃に耐えることが出来たようだ。
 2人が扉を開けようとすると、開くはずのない扉が開いてしまうと、中は大慌てで必死に閉めようとする。長い時間、扉の押し合いが続いた。
 サラはゴーレムを召喚し、その腕が魔法陣から出たところで止めて扉を押させると、簡単に開いた。半開きになった扉の奥から高出力の霊力を感じ、ゴーレムは二人の前に大きな腕を横たえた。その瞬間、ソニックブームに似た波状ものが大量に飛び出てきた。
 ゴーレムに守られた下位の騎士を確認した室内の高位騎士たちは、ホッとして2人を迎え入れる。中には、国王と皇太子、そして、2人を守る25人の騎士がいた。
 「ミリィはどうしたのじゃ」と問う国王に、「それが・・・」と言葉を詰まらせるサラ。みんなの間に一瞬沈黙が走る。だが、それはすぐに破られた。サラの後ろをついてきた魔法陣から、ゴーレムが姿を現したのだ。
 ズガガガガ
 「どわ~!!」
 少し天井を壊したところで、ゴーレムはしゃがみこむ。
 「びっくりした・・・」
 騎士たちは、巨大で立派なゴーレムを見上げていたが、サラの話を聞き、一斉にうつむいた。サラの心情を思った国王は、申し訳なさそうに天使と戦ってくれるよう頼み込む。
 「分かりました・・・」
 「引き受けてくれるか! それでは、お前たちも一緒に行くのじゃ!!」
 王室第一・第二騎士団団長の2人を残し、その場にいた23人の第一第二騎士団の混合部隊がサラと共に行くことになった。
 王室騎士の戦いは、今ちょっと見ただけだったが、相当な実力を有しているように思える。中央亜大陸最強と謳われるだけあって、ソードウェーブという技が使える。さっき危うく殺されかけた。一介の騎士と違い、天使戦においても、有効な戦いが出来るだろう。心強いばかりだ。

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