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殺人鬼再び
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ある日の朝、細い路地で女の死体が発見された。幾つもの刺し傷があって、昨晩殺されたばかりだというのに、傷は乾いている。干からびているわけではないが、瑞々しさのない違和感のある死体だった。
港に向かう途中でその話を聞いた4人は現場となった路地を見に行くが、魔力の痕跡は全くない。
ミリィはしゃがみ込んで、血痕のついた敷石を撫でながら言った。
「悪魔教の仕業じゃないのかしら。サラは何か分かる?」
「殺人鬼は1人だったみたいですね。別に魔法を使うわけでも無く、悪魔がいたわけでも無いみたいですよ」
サラとウォーロックは精霊を介して当時の状況を調べているが、この事件に牝馬の爪が関わっている様子は無い。
「何かの儀式に使う生贄にされてるのかと思ったんだけどなー」
ミリィには、サイコメトラーとしての能力が無い。超能力を使って、多少は事件の痕跡を感じる程度は出来るが、良くある殺人事件と変わらない。
「いわゆるサイコパスってやつね。無差別だし、憎悪とかそういうのは全然だし」
ラングがミリィに訊いた。
「死の大地で魔力にあてたれたヤツの仕業でもないんだな」
「魔力にあてられてもサイコパスにはならないわ。それに、魔力にあてられると欲望が無尽蔵に増幅する感じだから、相当痕跡が残るはずよ」
ただ解せないのは、これだけの大量殺人を行いながら、全く証拠を残していない事だ。前にミリィたちに姿を見られはしたものの、その時以外ではどこにも目撃例がない。
「俺はもうフィーリアン騎士だってバレてるから、無下には出来ないな。王室に泥を塗る能な真似は出来ないぞ」
それもそうだ。ミリィ1人なら、余計ないざこざに巻き込まれたくないし、そもそも自分がターゲットにされかねない事を考えると関わりたくないのだが、仕方がない。
「まあ、フィーリアン王室にはお世話になってるし、ラングに協力しないわけにはいかないわね」
それを聞いたサラが、ぶるぶる震えて嫌そうな顔をした。
「えぇ~? やっぱり退治するんですか?」
「まあ、良いじゃないか、お前が襲われるわけじゃなさそうだし」
怯えるサラにウォーロックが言うと、それもそうだとケロッと答える。
「犯人は目が悪いようですし、わたしは大丈夫でしょうね」
「どういう意味?」
ミリィが睨む。
「いえ、犯人はミリィさんみたいなのが好みなのかと」
ラサは、自分の方が可愛い、と言いたげに見える。
この日の晩から、サラをおとりにしたネズミ取り作戦が行われることになった。
「ううううう~、なんでわたしがおとりなんですかー。ミリィさんだけラングさんと一緒でズルいですー」
結局、1人ぼっちにされたのは、サラであった。
港に向かう途中でその話を聞いた4人は現場となった路地を見に行くが、魔力の痕跡は全くない。
ミリィはしゃがみ込んで、血痕のついた敷石を撫でながら言った。
「悪魔教の仕業じゃないのかしら。サラは何か分かる?」
「殺人鬼は1人だったみたいですね。別に魔法を使うわけでも無く、悪魔がいたわけでも無いみたいですよ」
サラとウォーロックは精霊を介して当時の状況を調べているが、この事件に牝馬の爪が関わっている様子は無い。
「何かの儀式に使う生贄にされてるのかと思ったんだけどなー」
ミリィには、サイコメトラーとしての能力が無い。超能力を使って、多少は事件の痕跡を感じる程度は出来るが、良くある殺人事件と変わらない。
「いわゆるサイコパスってやつね。無差別だし、憎悪とかそういうのは全然だし」
ラングがミリィに訊いた。
「死の大地で魔力にあてたれたヤツの仕業でもないんだな」
「魔力にあてられてもサイコパスにはならないわ。それに、魔力にあてられると欲望が無尽蔵に増幅する感じだから、相当痕跡が残るはずよ」
ただ解せないのは、これだけの大量殺人を行いながら、全く証拠を残していない事だ。前にミリィたちに姿を見られはしたものの、その時以外ではどこにも目撃例がない。
「俺はもうフィーリアン騎士だってバレてるから、無下には出来ないな。王室に泥を塗る能な真似は出来ないぞ」
それもそうだ。ミリィ1人なら、余計ないざこざに巻き込まれたくないし、そもそも自分がターゲットにされかねない事を考えると関わりたくないのだが、仕方がない。
「まあ、フィーリアン王室にはお世話になってるし、ラングに協力しないわけにはいかないわね」
それを聞いたサラが、ぶるぶる震えて嫌そうな顔をした。
「えぇ~? やっぱり退治するんですか?」
「まあ、良いじゃないか、お前が襲われるわけじゃなさそうだし」
怯えるサラにウォーロックが言うと、それもそうだとケロッと答える。
「犯人は目が悪いようですし、わたしは大丈夫でしょうね」
「どういう意味?」
ミリィが睨む。
「いえ、犯人はミリィさんみたいなのが好みなのかと」
ラサは、自分の方が可愛い、と言いたげに見える。
この日の晩から、サラをおとりにしたネズミ取り作戦が行われることになった。
「ううううう~、なんでわたしがおとりなんですかー。ミリィさんだけラングさんと一緒でズルいですー」
結局、1人ぼっちにされたのは、サラであった。
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