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終局
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ウェード城奪還戦によって、火ぶたが切って落とされてから数日後の深夜遅く、連合軍は奇跡的な勝利によって沸き立っていた。
「ミリィ!! ミリィ!! 良かった無事で」
「ラング・・・」
霧のように消えるバフォメットの魔力の中から舞い降りてきたミリィは、地に足をつくなり、体重を支えきれずに膝を折った。尻餅をつく前に背中を受け止めたラングを見上げて、ミリィが微笑む。
大魔王の魔力による後ろ盾を失った悪魔や魔獣たちは塵尻に逃げて行き、生き残った信者たちの殆ども捕縛されるか、斬り殺された。
「やりましたね、ミリィさん」と駆け寄って来たサラが「本当すごいんだから」と抱き付く。
ミリィは、ホッと一息ついて言った。
「まさか、こんな大技だったとはね。危うく自分の技で死ぬところだったわ」
4人が身を寄せ合ってお互いの生存を喜び合っていたその時、上空に再び魔力が渦巻き始める。
「おい・・・冗談だろ?」
騎士達は恐れおののき、もはや戦意を喪失している。ミリィたちにも戦う力は残ってはいない。ルーゲイルの復活は、生き残った者達の死に直結していた。
「もうお終いですよ! わたし達! ミリィさーん一緒に死にましょうね(泣)」
息を飲む4人だったが、復活したのはバフォメットだった。
「生きていたのか」ウォーロックが笑みを浮かべた。「お前。今まで俺に使われてきてくれたこと感謝してる。もう自由だ、魔界へでもどこへでも帰るといい」
そう言ったウォーロックに、バフォメットが答える。
「そうしたいのは山山だが、これほどまでに魔力が失われては、いい笑いものだ。当分は、お前たちに力を貸した見返りとして、お前にわしが眠る剣を帯剣させるとしよう」
そう言うと、魔力で折れた鉄の剣をを引き寄せ、魔力でつなぎ合わせて、自らをその中に封じた。
柄を向けるバヒュメトウスを、ウォーロックは感慨深く握る。
「・・・? なんか、一瞬見えたもとの鉄の剣、禍々しい形になっていたぞ」
「サービスだ。わしが魔界に帰った後に愛でるとよい」
バヒュメトウスに戻る前に見えた鉄の剣は、人間界の住人には理解できない、危ない感じの猟奇的な形に変貌していた。バヒュメトウスの形もそうだが、さすがは魔神だ。おどろおどろしい趣味をしている。
何にしろ、ルーゲイルは完全に滅んだようだ。安心からか完全に脱力したミリィは、そのままへたり込んでしまった。
突然、気配の“け”の字も出さず、シルヴァがミリィの背後に現れた。
「さーすがは我が花嫁!! 大魔王を倒してしまうなんて、幾重にも惚れ直しましたよ!!」
「ぎゃ! シルヴァ!! あんた生きてたの!?」
「不死ですからね、私は。あんなもんじゃ死にはしませんよ。わははははは、ははは?…は?」
大笑いしていたシルヴァの額に閃光があたる。
「え? あちちちっ! まさか! うぎゃぁぁぁ!!」
朝日を浴びたシヴァは灰になって消えていく。
「ええ? マズイ!! 誰か早く!!」
驚いたミリィは、周りに集まってきた騎士たちに、マントでシルヴァを包む様に伝えた。
「なんですか、こいつ?」騎士達が言う。
「なんか、マントの中でモゾモゾ動いていますけど」
「何か・・・ギーギーいっているな」
珍しいものでも見るかの様に、サラがマントを覗き込む。
「まだ生きているんですか? 本当ヴァンパイアってしぶといですね?」と言うサラに、ミリィが「本当、ゴキブリみたいね」と答える。
多分、陽を浴びなかった肉片が甦って、コウモリにでもなったのだろう。
洞窟の方を見ると、何事も無かったかのように再生している。ズメホスの復活で、疑似的な魔界の中に飲みこまれていたが、その元凶が倒されて、もとの次元に戻ってきたのだ。
ミリィが指差して、「とりあえず、洞窟の中にある酸の水に投げ捨てといて」と騎士に伝えた。
サラは唖然とた。
「投げ・・・捨てるんですね、600年も封印を守ったガーディアンなのに」
息を飲むサラに、ミリィは続けて言う。
「これからも洞窟を守ってもらいましょうよ、なにも無いけど」
今日の朝日は、今まで浴びた朝日の中で、格別に気持ちの良い朝日であった。
「ミリィ!! ミリィ!! 良かった無事で」
「ラング・・・」
霧のように消えるバフォメットの魔力の中から舞い降りてきたミリィは、地に足をつくなり、体重を支えきれずに膝を折った。尻餅をつく前に背中を受け止めたラングを見上げて、ミリィが微笑む。
大魔王の魔力による後ろ盾を失った悪魔や魔獣たちは塵尻に逃げて行き、生き残った信者たちの殆ども捕縛されるか、斬り殺された。
「やりましたね、ミリィさん」と駆け寄って来たサラが「本当すごいんだから」と抱き付く。
ミリィは、ホッと一息ついて言った。
「まさか、こんな大技だったとはね。危うく自分の技で死ぬところだったわ」
4人が身を寄せ合ってお互いの生存を喜び合っていたその時、上空に再び魔力が渦巻き始める。
「おい・・・冗談だろ?」
騎士達は恐れおののき、もはや戦意を喪失している。ミリィたちにも戦う力は残ってはいない。ルーゲイルの復活は、生き残った者達の死に直結していた。
「もうお終いですよ! わたし達! ミリィさーん一緒に死にましょうね(泣)」
息を飲む4人だったが、復活したのはバフォメットだった。
「生きていたのか」ウォーロックが笑みを浮かべた。「お前。今まで俺に使われてきてくれたこと感謝してる。もう自由だ、魔界へでもどこへでも帰るといい」
そう言ったウォーロックに、バフォメットが答える。
「そうしたいのは山山だが、これほどまでに魔力が失われては、いい笑いものだ。当分は、お前たちに力を貸した見返りとして、お前にわしが眠る剣を帯剣させるとしよう」
そう言うと、魔力で折れた鉄の剣をを引き寄せ、魔力でつなぎ合わせて、自らをその中に封じた。
柄を向けるバヒュメトウスを、ウォーロックは感慨深く握る。
「・・・? なんか、一瞬見えたもとの鉄の剣、禍々しい形になっていたぞ」
「サービスだ。わしが魔界に帰った後に愛でるとよい」
バヒュメトウスに戻る前に見えた鉄の剣は、人間界の住人には理解できない、危ない感じの猟奇的な形に変貌していた。バヒュメトウスの形もそうだが、さすがは魔神だ。おどろおどろしい趣味をしている。
何にしろ、ルーゲイルは完全に滅んだようだ。安心からか完全に脱力したミリィは、そのままへたり込んでしまった。
突然、気配の“け”の字も出さず、シルヴァがミリィの背後に現れた。
「さーすがは我が花嫁!! 大魔王を倒してしまうなんて、幾重にも惚れ直しましたよ!!」
「ぎゃ! シルヴァ!! あんた生きてたの!?」
「不死ですからね、私は。あんなもんじゃ死にはしませんよ。わははははは、ははは?…は?」
大笑いしていたシルヴァの額に閃光があたる。
「え? あちちちっ! まさか! うぎゃぁぁぁ!!」
朝日を浴びたシヴァは灰になって消えていく。
「ええ? マズイ!! 誰か早く!!」
驚いたミリィは、周りに集まってきた騎士たちに、マントでシルヴァを包む様に伝えた。
「なんですか、こいつ?」騎士達が言う。
「なんか、マントの中でモゾモゾ動いていますけど」
「何か・・・ギーギーいっているな」
珍しいものでも見るかの様に、サラがマントを覗き込む。
「まだ生きているんですか? 本当ヴァンパイアってしぶといですね?」と言うサラに、ミリィが「本当、ゴキブリみたいね」と答える。
多分、陽を浴びなかった肉片が甦って、コウモリにでもなったのだろう。
洞窟の方を見ると、何事も無かったかのように再生している。ズメホスの復活で、疑似的な魔界の中に飲みこまれていたが、その元凶が倒されて、もとの次元に戻ってきたのだ。
ミリィが指差して、「とりあえず、洞窟の中にある酸の水に投げ捨てといて」と騎士に伝えた。
サラは唖然とた。
「投げ・・・捨てるんですね、600年も封印を守ったガーディアンなのに」
息を飲むサラに、ミリィは続けて言う。
「これからも洞窟を守ってもらいましょうよ、なにも無いけど」
今日の朝日は、今まで浴びた朝日の中で、格別に気持ちの良い朝日であった。
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