猫のモモタ

緒方宗谷

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強がりシャークの話

死ぬことって、どういうこと?

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 「大変!サメさん、どうしたの!?」
 最近、サメさんに会えずにいたモモタは、とても心配になって、長い砂浜を探していました。
 そんなある日、砂浜に打ち上げられているサメを見つけました。
 「大変!急いで海に戻らなきゃ。
  今、助けてあげるからね」
 「いや、良いんだ、良いんだよ」
 モモタが尻尾をカジッて海へ戻そうとしますが、サメは断ります。
 「もうすぐ俺は死ぬんだ」
 「死なないで、僕悲しいよ」
 「悲しがることなんてないさ、俺は最高の人生だったからな、大満足だ」 
 モモタは、サメが言い終わるなり、否定します。
 「お別れだよ、満足じゃないよ。
  僕を1匹にしないで!もっといっぱい遊ぼうよ」
 「俺はずっと一匹だったけど、最後にモモタと遊べて楽しかった」
 「楽しいなら、もっと生きれば良いじゃない!」
 「楽しかったからこそ、満足して死ねるんだよ。
  僕は海の中にいて、ずっと友達がいなかったから、この胸ヒレを足にして、砂浜をかける夢を見たのさ、僕は挑戦したんだよ。
 君に会えて、その夢を持てたし、その勇気を持てたんだ」
 「僕どうすればいい?」
 溢れる涙をこらえながら、モモタは訊きました。
 「最後に1口甘噛みさせておくれ」
 「良いよ」
 「ふーんモモタはこういう味なのか、良い思い出が出来たよ」
 モモタはお返しに、サメの頭をペロペロなめました。
 「サメさんはザラザラしてるね、海のように青いし、格好いい姿をしてるから、ツルツルかと思っていたんだよ」
 「友達でも、知らない事はたくさんある。
  知らなくても良いこともたくさんあるけれど、それもみんな受け入れられるまでに成長できたら、世界は海色一色でも、砂色一色でもなくなるんだ。
  きっと、モモタの目には、虹のような世界が広がっているんだろうね。
  ありがとうモモタ、君のおかげで、僕の目にも7色の光が差し込んだんだよ」
 サメは、モモタの温もりに抱かれて死にました。



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