猫のモモタ

緒方宗谷

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小さな町のお友達

相手によって態度を変えるなんて、よしたほうが良いよ

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 モモタは、お泊りしたお家の前で日向ぼっこをしながら、ウトウトしていました。
 「ポッポー、ポッポー」
 周りには、餌をついばむハトが沢山います。モモタは気にせずにお昼寝していましたが、羽ばたく音が突然聞こえて、ビックリして目を覚ましました。
 「どうしたのハトさん、大丈夫?」
 足がもつれて転んだハトは、慌てた様子でバサバサしています。
 「わっ、わっ、ごめんなさい!食べないで―!!」
 泣いて謝るハトに、モモタは言いました。
 「僕、ハトなんか食べないよ」
 「ご冗談でしょう?猫さんはハトを食べるものですよ」
 「僕、食べた事ないなー、友達の猫もハト食べないよ」
 鳩は、恐る恐るモモタの前を行ったり来たり。
 「本当だ、君は僕を食べないんだね。
  なんだ、ビックリして損した」
 それからというもの、このハトはモモタを気にせずに、人間が撒いた餌を我先にとついばむようになりました。
 ある日、お家から出てきた人間が言いました。
 「さあ、猫ちゃん、おやつをあげますよ」
 「わーい、やったー」
 モモタは喜んで駆けて行きます。ですが、舞い降りてきたハトが言いました。
 「僕も!僕も食べるよ」
 ハトは、モモタを遮って、猫ちゃんご飯を食べ始めました。
 「それ、僕のおやつだよー」
 モモタはがっかりです。お座りしながら、ハトが食べるのを見ていました。
 「ごちそうさま、まったねー」
 自分を追いかけてくる猫がいる時、このハトはいつも敬語で話し、そばに寄ってきませんが、モモタしかいないと好き放題です。たびたびモモタのおやつを横取りしました。
 モモタは残ったおやつを食べてあきらめましたが、それを見ていたお友達の猫たちは、許せません。
 いつもモモタのご飯を横取りする鳩がやって来て、みんなに訊きました。
 「ポッポー、ポッポー、みんなどうしたの?」
 「君が好き勝手するから、猫たちが怒って、人間が撒いたご飯をくれないんだ」
 おばちゃんが家の前に蒔いたハトのご飯まわりには、たくさんの猫がゴロゴロしています。
 「モモタくんが優しいからって、それを良いことに悪い態度で好き放題だから、こんな事になったんだよ、ちゃんと謝ってきなよ。
  君のせいで、僕たちも迷惑してるんだから」
 相手によって態度の変わるハトは、渋々謝りに行きました。
 それを聞き入れたモモタは、みんなに言いました。
 「みんな、許してあげてよ、僕怒ってないから。
  他のハトたちもかわいそうだし」
 猫たちは鳩に言いました。
 「良いか?僕達はハトを食べないけど、だからってヤな態度をとるなら食べちゃうぞ!!」
 「ひえぇぇ~っ!お助けを~!!」
 ハトは慌てて逃げていきます。他のハトたちはそれを見届けた後、改めてモモタに謝り、猫たちと仲良くおやつを食べました。
 いつもより仲が良さそうな元気いっぱいの猫と鳩を見たおばちゃんは、玄関の段差に座って、微笑みながらお茶を飲みました。




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