猫のモモタ

緒方宗谷

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おせっかいな蜜蜂の話

育てさせてあげているんだね

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 突然みっちゃんがお友達に言いました。
 「私、これから様子を見に行かないといけないの、あの花の蜜集めどうしようかしら?」
 「様子?なんの様子?」
 「赤ちゃんたちの御部屋の様子よ」
 「どうしようとは?」
 「この壺にあの花の蜜を入れないといけないの」
 お友達の蜜蜂は、なぜこの様な事を言われるのかわかりません。なんせ、その仕事は、今まさに自分がやっている蜜集め予定の1本の花でしたから。
 「君の担当に、蜜集めって入っていたっけ?」
 「いいえ、入っていないけど。
  あなたやっておいてくれるかしら?」
 「まあ、僕の担当だから良いですよ」
 そばを飛んでいた監督蜂が来て、みっちゃんに言いました。
 「良いよ、いちいち言わなくて。
  今日の君の担当は、赤ちゃんの世話なんだから、巣にいていいんだよ」
 飛んでいく監督蜂を見送ってから、みっちゃんはモモタのところにやって来ました。
 「あの監督蜂何なのかしら、私は働き蜂に相談してるのにーー」
 ぷんぷんしながら、モモタに愚痴をこぼしまします。巣では赤ちゃんたちが泣いています。
 「あら、大変、こうなるから駄目なのよ、早く蜜を集めてくれれば良かったのに」
 不思議に思ったモモタがみっちゃんに訊いてみます。
 「蜜集めと赤ちゃんの世話となんか関係あるの?」
 「だって、危うく私が蜜集めをしなくちゃならなかったのよ」
 目にはいるものが、何でも気になってしまう様です。モモタは笑って言いました。
 「意識散漫だなー」
 急いで巣に戻るみっちゃんの背中を見送りながら、モモタは監督蜂に言いました。
 「でも、あんなに色々なことを気に掛けられるなんて、お母さんに向いているんじゃないの?沢山の赤ちゃんをまんべんなく面倒見れそう」
 「うん、でも可愛がるだけじゃ赤ちゃんは育たないからね、外のお仕事を任せて成長してもらうのさ。
  自分が成長できれば、そのやり方を教えてあげられるようになるだろう?」
 モモタはびっくりしました。みんな、みっちゃんには困っている様子でしたが、みんなでみっちゃんを育てていたのです。
 「僕、みっちゃんは出来ない子だなって思ってた、ごめんなさい」
 「器用貧乏って分かる?何でもできる子は努力を知らないから、何か壁にぶつかった時に、すぐあきらめてしまうんだ。
  ある程度までなら、みっちゃんは器用な子に敵わないかもしれないけれど、その壁を超えると、天才にも勝るようになるんだよ」
 努力を続けることが出来ることは、何をがんばるときも基本です。





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