猫のモモタ

緒方宗谷

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ウジ

行動は雰囲気

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 けもの道に落ちている水うんちに住んでいる三匹のウジたちは、最近モモタがやってこないことに対して、とても不満に思っていました。
 一番お兄ちゃんのウジ松が言いました。
 「あの猫、絶対俺たちのこときらっているぞ」
 「ああそうだな」と二男のウジ光。続けて、
 「遊びにきてくれないなんてイジメだよ」と
 三男、末ウジも言いました。
 「俺たちが良かれと思って、うんこを食べさせようとしてあげたのに、態度が悪いよなぁ」
 三匹は、いつまでもモモタの悪口を言っていました。
 ウジたちは、いつまでもいつまでもモモタの悪口を言っています。
 そのため、それを真に受けた大勢のハエたちが集まってきて、ウジたちに耳を傾けました。
 ウジ松が言いました。
 「モモタをこらしめてやらないといけないと思うんだ」
 ハエたちは顔を見合わせます。
 何もそこまでしなくても、といった声が聞こえてきました。
 ウジ光が、声色を変えて言います。
 「僕たちとても傷ついたんだ。
  だってモモタは、すぐそばまでやって来て、Uターンして帰ってしまうんだ」
 「そうそう」と言って、末ウジが続けます。「わざと別の道を通っていくんだよ」
 ウジ松が訴えます。
 「僕たち、モモタと遊びたくって、何度も呼んだのに、全然来てくれないんだ。
  三匹で、せーの、で呼んだのに、無視したんだよ」
 集まったハエたちは、ウジたちに同情しました。
 ハエたちは、幼いころ同じウジですから、同じハエの仲間として、疑うことをしようとしませんでした。
 中にはモモタを知っているハエもいて、モモタはそんなことしないはずだと思いましたが、言えません。
 だって、たくさんのハエが、「そうだそうだ」と怒っていたからです。
 とても言える空気じゃありませんでした。
 それに、将来同じハエになるウジの言うことを信じないで、猫の言うことを信じるわけにもいきません。
 そんなことを言ったら、もうハエ仲間として、一緒にうんちにたからせてはもらえないでしょう。
 そんな数少ないモモタを信じたハエたちも、いつしかモモタを疑うようになっていきました。




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