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モモタとママと虹の架け橋
第十三話 深い愛情のかたち
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しばらく笑った後、キキがみんなを見渡しました。
「それに、落ちるとか沈むとか昇るって言うのもどうかな? だって太陽は丸いじゃないか。月だってまん丸だよ。欠けている時もあるけれど。
それなら、僕たちがいる大地もまん丸だったり欠けているんじゃないかな? もしそうなら、この大地は、空に浮いているってことになるよ。もし丸くなくても、平たい土の塊があって、その上に山や森があるんだと思うよ。僕は平たいお豆の形をしていると思うけれどね」
モモタたちは首を傾げます。
それを意に返さずに、キキは続けました。
「もし空に浮いているのなら、太陽は昇ったり沈んだりしているんじゃなくて、上を浮いたり下を浮いたりしているんだよ、きっと」
「どう言うこと?」モモタたち三匹は口をそろえて訊きました。
「そうだな、例えば――」
キキは、チュウ太に再びモモタの頭の上に登るように言いました。そして、アゲハちゃんに、モモタの頭の周りを縦に回るように頼みます。
アゲハちゃんは、ゆっくりと上を飛びました。チュウ太はそれを見上げています。反対側に来るとアゲハちゃんは、モモタのアゴの下に向かって飛んで行こうとしました。
ちょうどその時、キキが言いました。
「ほら、ここ、アゲハちゃんが沈んでいくでしょう?」
「ほんとだ」と、チュウ太が飛び上がりました。
そしてしばらくすると、反対側からアゲハちゃんが上がってきます。
そこでまたキキが言いました。
「アゲハちゃんが昇ってきたね」
そして、キキは続けてアゲハちゃんに訊きました。
「アゲハちゃんはどう? 落ちてた? 沈んでいた?」
「どっちでもないわ。ただ飛んでいただけよ」
「上がっている時と下がっている時と、さして変わりはないよね。ただ飛んでいただけ。
それに、虹の雫だって、もしかしたら星の赤ちゃんかもしれないよ。流れ星が産み落とされた星の赤ちゃんだったらすごいよね」
何だかモモタは楽しくなりました。
「もしそうなら、この大地もお星さまで、太陽の子供なのかもしれないね」
チュウ太は興奮して飛び上がります。
「大地の球で、地球ってか?」
みんなは、妙案だよ、とチュウ太を褒め称えました。
ですが、ふと我に返ったチュウ太が言いました。
「凍った流れ星はどうしてなんだ?」
キキが答えます。
「そういうことはあるさ。僕たちだってそうだろう? チュウ太のお友だちだって、猫やカラスに食べられてしまった子もいるだろう? 蝶々だってそう。そう言う僕だってそうさ。空の王者のオオタカでさえ、巣立ちの時はまだうまく飛べないんだ。僕より強かったお兄ちゃんたちでさえ、タヌキに食べられてしまったんだから。
それでも旅立つんだよ。僕はお兄ちゃんたちの代わりにカラスとも戦って、タヌキとも戦って生き残ったんだ。
最初に言った通り、太陽は弱くなんてないよ。その証拠に、このあたりの空には太陽と月と地球しかないじゃないか。星々はとても遠くにありそうだもの。ということは、太陽がここにやってきた時は、まだお母さんになる前の姉星か妹星の一つだったってことだろ?
真っ暗で凍えるような世界の中、たった一つで凍らずに子供をたくさん生んだんだ。強くなかったら、なんだって言うんだい? 少し残酷なようだけれど、もしかしたら愛していたからこそ、あえて子供たちを燃やして消してしまったのかもしれない」
「そんなことってあるの?」モモタが悲しそうな表情を浮かべました。
「ごはんを集められなかったり、奥さんや旦那さんがいなくなったりして子育てができなくなると、ヒナにひもじい思いをさせたくない一心で、そうならないようにしてしまうんだよ」
すると、チュウ太が言いました。
「ああ、とても怖い思いをすると、『子供たちを渡すまじ』と食べちゃうお母さんは、ネズミにもいるね」
モモタとアゲハちゃんはびっくりして、言葉を失います。猫は猫を食べないし、蝶々も蝶々を食べません。ボケ担当になりつつあるチュウ太を見て、とても過酷な世界を生きているんだなぁ、と思いました。
「?」
そんな思いをチュウ太は気がつかない様子です。
キキは、同情の目で自分を見たモモタに、“その思いはいらないよ”と言いたそうに言いました。
「だからこそ、オオタカは最強なんだ。“猛禽は食わねど高くちばし”さ」
自慢げに胸を張るキキが、不意に考え込んだ素振りを見せました。
「母星は、愛情深過ぎて子星を燃してしまったっていうけれど、旅立たずに残った星っていくつあったの?」
チュウ太とアゲハちゃんは答えられません。モモタも知りませんでした。
「初めっから月と地球だけだったんじゃないの? だって燃え尽きるまでそばにいるっておかしいでしょ? 僕たちが熱い日差しをさけて日陰に入るように、月と地球も離れたんじゃないの? それに気がつかずに、太陽になった母星は、燃してしまったと思って嘆き悲しんだんじゃないのかな。もしかしたら、星は一つも死んでいないかも」
もし本当にそうなら、太陽のお話はとても素敵な物語になるかもなぁ、と思って、お互い見やって微笑みあうモモタたちでした。
モモタたちは、熊の親子とたがいにお礼を言いあって、奥深い山奥を後にしました。
奥深い山奥の境に近づくと、何やら歌が聞こえてきます。
チュウ太が驚いて言いました。
「まさか、まだ歌っていたのか?」
「なんか、美味しそうなごはんが固まって騒いでいるな」と、目の良いキキが、翼を目の上にあてがって言います。
「食べちゃダメよ」とアゲハちゃんがチクリ。
アゲハちゃんがみんなのそばに飛んでいって「ただいまー」と言うと、アゲハちゃんファンクラブのみんなが声をそろえて「お帰りー」と言いました。
そして、アゲハちゃんの帰りを喜ぶ虫たちに、アゲハちゃんが熊の親子のお話をしてあげました。みんな、ハラハラドキドキ真剣に聞き入っています。
お話が終わると、行きと同じく、また一匹のキリギリスが歩み出て言いました。
「アゲハちゃん、ご苦労様でした。猫やネズミだけでなく、オオタカや熊までファンにしてしまうなんて、さすがは僕たちの憧れアゲハちゃん」
キキとチュウ太は、“僕たち違うよ”と言いたげに見合います。それを察したのか、アゲハちゃんが二匹の方を振り向いて、ニッコリとほほ笑みました。
それを見た二匹は、頬を朱に染めてモジモジと口をつぐみます。二匹とも気がつかないうちに、アゲハちゃんのとりこになっているのかもしれません。
アゲハちゃんのお家に戻ってくると、無事を祈って待っていたトカゲやカエルやクモもホッとして、喜んでくれました。
アゲハちゃんが戻ってくるよりも一足先にお家に戻っていたアゲハ君は、集めて花びらに包んでおいた蜜の包みを、モモタの首輪に果実の茎で結わえつけます。アゲハちゃんが何も言わなくても、アゲハちゃんがこの山から旅立とうとしていることを、アゲハ君は気がついているようでした。
アゲハちゃんが言いました。
「ありがとう、アゲハ君。わたしちょっと大冒険に行ってくるわ。でも心配しないでね。モモちゃんとチュウ太とキキがいるんですもの。ちょっとやそっとで食べられたりなんかしないんだから」
「そうだぜ」とチュウ太が付け加えます。「僕の前歯を見ろよ」キラリ~ンと光る白い光沢のある前歯を見せました。眩しすぎます。「なんだってかじってやるんだから。それに僕はとてもチョロチョロとすばしっこいんだ。アゲハちゃんを連れて狭いところをいとも簡単に逃げて逃げて逃げ回って、逃げ切ってみせるさ」
「そうね。とっても頼もしいわ、チュウ太。期待しているからね」
そう言って、アゲハちゃんは、またアゲハ君を見つめます。
アゲハちゃんを見つめ返すアゲハ君が言いました。
「心配なんてしていないよ。だってアゲハちゃんが行くところ行くところ、アゲハちゃん推しでいっぱいだもん。お花だって咲き乱れるさ。蜜だって溢れているさ。不安なんてなんにもない。喜びで満ち溢れているよ」
「お土産話、期待して待っていてね」
「もちろんさ」
2匹のラブラブなやり取りを見ていて、モモタは思いました。(僕たちの中で一番成長しているのは、アゲハ君なんだなぁ)と。
しばらくして、またまたキリギリスが歩み出てきて言いました。
「では、山の麓までお見送りさせてください。なんせ、記念すべきアゲハちゃんの山外(やまそと)デビューなんですからね」
やっぱりアゲハちゃんを先頭にして大パレードです。
いつもは、忍び寄るキツネやオオタカの飛来を怖がって隠れているトカゲやカエルも野ネズミも一緒に大行進。アゲハちゃんの魅力のおかげで、みんなキツネやオオタカを怖がらないのです。
山のすそ野にある国道との境までやってくると、またまたまたキリギリスが歩み出てきて言いました。
「では、冒険の無事を祈って歌わせてください。『アゲハちゃんのテーマ』」
どこかで見た光景です。色々な虫たちが音色を奏でて、軽快なリズムで歌い出しました。
🎼キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 笑顔が素敵なアゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ みんなのアイドル アゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 僕たちメロメロ アゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 女子も惚れるよ アゲハちゃーん♡🎼
すぐにアゲハちゃんが言いました。
「さあ、もう行きましょう?」
舞い上がるアゲハちゃんを呼び止めて、モモタが言います。
「え? 最後まで聞いていこうよ。」
チュウ太も聞いていきたそうに言いました。
「そうだぜ、せっかくファンクラブが歌ってくれているんだからさ。それに、“奥深い山奥”に行く時も最後まで聞いていかなかったじゃないか」
すると、アゲハちゃんが笑ってくるりと舞いました。
「あはっ、この歌サビだけでエンドレスよ」
「うん、もう行こう」と、間髪入れずにモモタが背を向けると、キキが言いました。
「結構ドライだな、モモタ」
「あはは、だってお別れは悲しいことじゃないでしょう? 新しい出会いと再会の喜びに満ちているんだよ」
🎼キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 鱗粉煌めくアゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 最強伝説アゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 爽快発言アゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 絶対エースのアゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ センター定席アゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ ソロでも人気のアゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ ミラクルプリティー アゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 究極チャーミー アゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 輝く視線のアゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 華麗に舞い飛ぶアゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 羽ばたき軽やかアゲハちゃーん♡
キュートでラブリー アゲハちゃーん♡ 女神もうらやむアゲハちゃーん♡🎼
モモタたちは、だいぶ遠くまで歩いてきました。今までいた山一つが丸々視界に入る距離です。
モモタの首筋を枕にして、山を見ながらチュウ太が言いました。
「みんないつまで歌っているんだろうな。山全体が歌ってるから、どこまで行っても聞こえてくるよ」
歌声が聞こえなくなるまで、本当にエンドレスでした。
「それに、落ちるとか沈むとか昇るって言うのもどうかな? だって太陽は丸いじゃないか。月だってまん丸だよ。欠けている時もあるけれど。
それなら、僕たちがいる大地もまん丸だったり欠けているんじゃないかな? もしそうなら、この大地は、空に浮いているってことになるよ。もし丸くなくても、平たい土の塊があって、その上に山や森があるんだと思うよ。僕は平たいお豆の形をしていると思うけれどね」
モモタたちは首を傾げます。
それを意に返さずに、キキは続けました。
「もし空に浮いているのなら、太陽は昇ったり沈んだりしているんじゃなくて、上を浮いたり下を浮いたりしているんだよ、きっと」
「どう言うこと?」モモタたち三匹は口をそろえて訊きました。
「そうだな、例えば――」
キキは、チュウ太に再びモモタの頭の上に登るように言いました。そして、アゲハちゃんに、モモタの頭の周りを縦に回るように頼みます。
アゲハちゃんは、ゆっくりと上を飛びました。チュウ太はそれを見上げています。反対側に来るとアゲハちゃんは、モモタのアゴの下に向かって飛んで行こうとしました。
ちょうどその時、キキが言いました。
「ほら、ここ、アゲハちゃんが沈んでいくでしょう?」
「ほんとだ」と、チュウ太が飛び上がりました。
そしてしばらくすると、反対側からアゲハちゃんが上がってきます。
そこでまたキキが言いました。
「アゲハちゃんが昇ってきたね」
そして、キキは続けてアゲハちゃんに訊きました。
「アゲハちゃんはどう? 落ちてた? 沈んでいた?」
「どっちでもないわ。ただ飛んでいただけよ」
「上がっている時と下がっている時と、さして変わりはないよね。ただ飛んでいただけ。
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何だかモモタは楽しくなりました。
「もしそうなら、この大地もお星さまで、太陽の子供なのかもしれないね」
チュウ太は興奮して飛び上がります。
「大地の球で、地球ってか?」
みんなは、妙案だよ、とチュウ太を褒め称えました。
ですが、ふと我に返ったチュウ太が言いました。
「凍った流れ星はどうしてなんだ?」
キキが答えます。
「そういうことはあるさ。僕たちだってそうだろう? チュウ太のお友だちだって、猫やカラスに食べられてしまった子もいるだろう? 蝶々だってそう。そう言う僕だってそうさ。空の王者のオオタカでさえ、巣立ちの時はまだうまく飛べないんだ。僕より強かったお兄ちゃんたちでさえ、タヌキに食べられてしまったんだから。
それでも旅立つんだよ。僕はお兄ちゃんたちの代わりにカラスとも戦って、タヌキとも戦って生き残ったんだ。
最初に言った通り、太陽は弱くなんてないよ。その証拠に、このあたりの空には太陽と月と地球しかないじゃないか。星々はとても遠くにありそうだもの。ということは、太陽がここにやってきた時は、まだお母さんになる前の姉星か妹星の一つだったってことだろ?
真っ暗で凍えるような世界の中、たった一つで凍らずに子供をたくさん生んだんだ。強くなかったら、なんだって言うんだい? 少し残酷なようだけれど、もしかしたら愛していたからこそ、あえて子供たちを燃やして消してしまったのかもしれない」
「そんなことってあるの?」モモタが悲しそうな表情を浮かべました。
「ごはんを集められなかったり、奥さんや旦那さんがいなくなったりして子育てができなくなると、ヒナにひもじい思いをさせたくない一心で、そうならないようにしてしまうんだよ」
すると、チュウ太が言いました。
「ああ、とても怖い思いをすると、『子供たちを渡すまじ』と食べちゃうお母さんは、ネズミにもいるね」
モモタとアゲハちゃんはびっくりして、言葉を失います。猫は猫を食べないし、蝶々も蝶々を食べません。ボケ担当になりつつあるチュウ太を見て、とても過酷な世界を生きているんだなぁ、と思いました。
「?」
そんな思いをチュウ太は気がつかない様子です。
キキは、同情の目で自分を見たモモタに、“その思いはいらないよ”と言いたそうに言いました。
「だからこそ、オオタカは最強なんだ。“猛禽は食わねど高くちばし”さ」
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チュウ太とアゲハちゃんは答えられません。モモタも知りませんでした。
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もし本当にそうなら、太陽のお話はとても素敵な物語になるかもなぁ、と思って、お互い見やって微笑みあうモモタたちでした。
モモタたちは、熊の親子とたがいにお礼を言いあって、奥深い山奥を後にしました。
奥深い山奥の境に近づくと、何やら歌が聞こえてきます。
チュウ太が驚いて言いました。
「まさか、まだ歌っていたのか?」
「なんか、美味しそうなごはんが固まって騒いでいるな」と、目の良いキキが、翼を目の上にあてがって言います。
「食べちゃダメよ」とアゲハちゃんがチクリ。
アゲハちゃんがみんなのそばに飛んでいって「ただいまー」と言うと、アゲハちゃんファンクラブのみんなが声をそろえて「お帰りー」と言いました。
そして、アゲハちゃんの帰りを喜ぶ虫たちに、アゲハちゃんが熊の親子のお話をしてあげました。みんな、ハラハラドキドキ真剣に聞き入っています。
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「アゲハちゃん、ご苦労様でした。猫やネズミだけでなく、オオタカや熊までファンにしてしまうなんて、さすがは僕たちの憧れアゲハちゃん」
キキとチュウ太は、“僕たち違うよ”と言いたげに見合います。それを察したのか、アゲハちゃんが二匹の方を振り向いて、ニッコリとほほ笑みました。
それを見た二匹は、頬を朱に染めてモジモジと口をつぐみます。二匹とも気がつかないうちに、アゲハちゃんのとりこになっているのかもしれません。
アゲハちゃんのお家に戻ってくると、無事を祈って待っていたトカゲやカエルやクモもホッとして、喜んでくれました。
アゲハちゃんが戻ってくるよりも一足先にお家に戻っていたアゲハ君は、集めて花びらに包んでおいた蜜の包みを、モモタの首輪に果実の茎で結わえつけます。アゲハちゃんが何も言わなくても、アゲハちゃんがこの山から旅立とうとしていることを、アゲハ君は気がついているようでした。
アゲハちゃんが言いました。
「ありがとう、アゲハ君。わたしちょっと大冒険に行ってくるわ。でも心配しないでね。モモちゃんとチュウ太とキキがいるんですもの。ちょっとやそっとで食べられたりなんかしないんだから」
「そうだぜ」とチュウ太が付け加えます。「僕の前歯を見ろよ」キラリ~ンと光る白い光沢のある前歯を見せました。眩しすぎます。「なんだってかじってやるんだから。それに僕はとてもチョロチョロとすばしっこいんだ。アゲハちゃんを連れて狭いところをいとも簡単に逃げて逃げて逃げ回って、逃げ切ってみせるさ」
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