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モモタとママと虹の架け橋
第四十九話 子供は風の子、元気な子
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雪の積もった流氷の上はとても冷たくて、モモタの四肢はかじかんでいました。モモタがチュウ太を見やると、小さなチュウ太は全身を雪にうずめて歩いているので、全身しもやけになりそうです。
かわいそうに思ったモモタは、チュウ太をくわえてあげることにしました。それを見たキキが、モモタの首根っこを鷲掴みにして、空を飛んで運んでやります。
そんな時でした。ふとチュウ太が何かに気がついて、モモタの口から背中に上がっていきます。そのまましっぽの方に下りていって、足の先に頭を下にして掴まって雪をすくい、そして言いました。
「あれ? この辺、雪や氷じゃないよ、塩でできてる」
みんなが「本当?」と声を揃えます。
みんなで舐めてみると、「「「塩っ辛ーい」」」
一体どういうことなのでしょうか。
防波堤近くとクジラたちがいる附近は雪や氷なのに、こっちの方は塩の浮島です。不思議に思ったみんなは、塩の浮島を探検してみることにしました。
塩の大地は冷たいは冷たいのですが、雪や氷の大地ほどではありません。
チュウ太が言いました。
「海水があれだけ塩っ辛いんだ。塩が固まって石になっていてもおかしくないんじゃないか?」
みんな、確かに、と思いました。
しばらく進んでいって、みんなはびっくりして駆けだします。中央の大地が薄らと藍色に微光しているではありませんか。もしや、と思って光が滲み出る塩の大地の上に近づいてみると、光る大地の真ん中から、モコモコと塩の塊が吹き出してきています。
「うんちじゃないか?」とチュウ太が言いました。
間髪入れずに、「そんなことないでしょう」とアゲハちゃんがつっこみます。
みんなでチュウ太を笑いました。
チュウ太が言います。
「塩のうんちが出ないってなぜ言える?」
するとアゲハちゃん「なぜ出るって言えるの?」
「それは、出ないってことが証明できないからさ」
「なら、出るってことが証明できないんだから出ないわよ。だって出ている動物いないんだもの。それがいないって証拠よ」
「うぐぐ」チュウ太言い返せません。「それを僕が信じて、もし塩のうんこを発見することができなかったら、僕怒るからね」と、冗句も冗句。本当どうでもいい冗句を言いました。
「どうぞご随意に」アゲハちゃんが笑います。
みんなでワイワイガヤガヤやっていると、塩の大地から声がしました。
大地が揺れてチュウ太があわてふためきます。
「ななな、なんだ? 何が起こったんだ?」
逃げるモモタたちに、大地の声が呼び止めて言いました。
「上にいる誰か、待って、いかないで。どうか助けておくれ」
モモタが振り向きます。
チュウ太が、「早く逃げるよう」とモモタを呼びました。モモタはチュウ太に「ちょっと待って、何か助けを求めてるみたいだよ」と言って戻っていきます。
モモタの身を案じたキキが、上からついていきました。
塩の下から聞こえる声を聞いて、モモタはびっくり。下にいるのは、なんと一頭のクジラだったのです。
キキが言いました。
「下にいるのって、もしかしたら行方不明のクジラなんじゃないの?」
クジラは言いました。
「だいぶ前から風邪をひいているんだ。それで頭にあるお鼻が詰まってしまって、上手く潮を噴けないんだよ」
そのため塩が鼻にたまって、塩を噴こうとすると、モコモコとしか出ていかないようなのです。だから塩で背中がおおわれて、いつの間にか周りも塩だらけになって、動けなくなってしまった、と言うのです。
「この藍色の輝き方、虹の雫じゃないのか?」とキキが言います。
「よし掘ろう」と、チュウ太が腕まくりをしました。
モモタとチュウ太、キキの三匹で一生懸命掘るけれど、全然だめ。掘っても掘ってもクジラまでたどり着けません。気がつくと、とても汗をかいていました。さっきまでとても寒かったのに、塩かきはとても暑くなってしまいます。
寒いから早く帰りたい、と思っていたモモタとチュウ太でしたが、今度は冷たい塩がヒンヤリ気持ちよくて、ソルト・ダイビングで遊び始めました。もちろん塩かきの合間を縫って休憩の時だけですが。
塩のシャリシャリが気持ちよくて、ソルト・マッサージ気分です。
ですが、そのうち体力が尽きてきました。気分転換を繰り返して掘り続けましたが、掘っても掘っても、クジラの頭は見えません。とうとう精も根も尽きて、三匹は掘るのをやてしまいました。
チュウ太が言いました。
「塩は硬くてチクチクするよ。ある意味土や雪よりも厄介だな」
モモタの肉球も赤くなっています。キキはシレッ、としていましたが、足をモジモジしていました。たぶん、爪の根元に塩が入って痛いのでしょう。モモタも同じ思いでした。
アゲハちゃんが、ふと思い出して言いました。
「そういえば、青鳩さんって渡り鳥がいるんだけれど、あの子たちお塩が大好物なのよ」
アゲハちゃんの話によると、青鳩は山に住んでいるのですが、度々海にやってきて岩場にとまって、海水をゴクゴク飲んでいるらしいのです。
あんなしょっぱい水を飲めるなんて、みんなにわかには信じられません。
アゲハちゃんが言いました。
「アサギマダラが、コヒョウモンモドキって子が遠くに住んでる親戚のオオウラギンヒョウウモンから聞いたっていうウラギンヒョウモンの話を蝶づてに聞いたって話を聞いたカバマダラから聞いたウスイロヒョウモンモドキが話した話をギンボシヒョウモンから聞いたんですって」
「なんだよそれって」チュウ太、聞いただけで疲れた様子。
アゲハちゃんが真剣に〆ました。
「歯茎が強くなるっていうお話よ」自信満々。
みんなで絶句。
「それ信憑性ないのでは?」と、チュウ太が勇気を持って訊きました。
「絶対大あり絶大よー」とアゲハちゃん。
アゲハちゃんの聞いたところによると、しょっぱいもの好きの青鳩は、山ではお塩が食べられないので海まで来て海水を飲んでいる、と言うのです。もしかしたら、北海道の山鳩たちも同じなのでは? と思い、ハトたちに頼むことを提案しました。
そこで、キキが頼みにいくことになりました。
かわいそうに思ったモモタは、チュウ太をくわえてあげることにしました。それを見たキキが、モモタの首根っこを鷲掴みにして、空を飛んで運んでやります。
そんな時でした。ふとチュウ太が何かに気がついて、モモタの口から背中に上がっていきます。そのまましっぽの方に下りていって、足の先に頭を下にして掴まって雪をすくい、そして言いました。
「あれ? この辺、雪や氷じゃないよ、塩でできてる」
みんなが「本当?」と声を揃えます。
みんなで舐めてみると、「「「塩っ辛ーい」」」
一体どういうことなのでしょうか。
防波堤近くとクジラたちがいる附近は雪や氷なのに、こっちの方は塩の浮島です。不思議に思ったみんなは、塩の浮島を探検してみることにしました。
塩の大地は冷たいは冷たいのですが、雪や氷の大地ほどではありません。
チュウ太が言いました。
「海水があれだけ塩っ辛いんだ。塩が固まって石になっていてもおかしくないんじゃないか?」
みんな、確かに、と思いました。
しばらく進んでいって、みんなはびっくりして駆けだします。中央の大地が薄らと藍色に微光しているではありませんか。もしや、と思って光が滲み出る塩の大地の上に近づいてみると、光る大地の真ん中から、モコモコと塩の塊が吹き出してきています。
「うんちじゃないか?」とチュウ太が言いました。
間髪入れずに、「そんなことないでしょう」とアゲハちゃんがつっこみます。
みんなでチュウ太を笑いました。
チュウ太が言います。
「塩のうんちが出ないってなぜ言える?」
するとアゲハちゃん「なぜ出るって言えるの?」
「それは、出ないってことが証明できないからさ」
「なら、出るってことが証明できないんだから出ないわよ。だって出ている動物いないんだもの。それがいないって証拠よ」
「うぐぐ」チュウ太言い返せません。「それを僕が信じて、もし塩のうんこを発見することができなかったら、僕怒るからね」と、冗句も冗句。本当どうでもいい冗句を言いました。
「どうぞご随意に」アゲハちゃんが笑います。
みんなでワイワイガヤガヤやっていると、塩の大地から声がしました。
大地が揺れてチュウ太があわてふためきます。
「ななな、なんだ? 何が起こったんだ?」
逃げるモモタたちに、大地の声が呼び止めて言いました。
「上にいる誰か、待って、いかないで。どうか助けておくれ」
モモタが振り向きます。
チュウ太が、「早く逃げるよう」とモモタを呼びました。モモタはチュウ太に「ちょっと待って、何か助けを求めてるみたいだよ」と言って戻っていきます。
モモタの身を案じたキキが、上からついていきました。
塩の下から聞こえる声を聞いて、モモタはびっくり。下にいるのは、なんと一頭のクジラだったのです。
キキが言いました。
「下にいるのって、もしかしたら行方不明のクジラなんじゃないの?」
クジラは言いました。
「だいぶ前から風邪をひいているんだ。それで頭にあるお鼻が詰まってしまって、上手く潮を噴けないんだよ」
そのため塩が鼻にたまって、塩を噴こうとすると、モコモコとしか出ていかないようなのです。だから塩で背中がおおわれて、いつの間にか周りも塩だらけになって、動けなくなってしまった、と言うのです。
「この藍色の輝き方、虹の雫じゃないのか?」とキキが言います。
「よし掘ろう」と、チュウ太が腕まくりをしました。
モモタとチュウ太、キキの三匹で一生懸命掘るけれど、全然だめ。掘っても掘ってもクジラまでたどり着けません。気がつくと、とても汗をかいていました。さっきまでとても寒かったのに、塩かきはとても暑くなってしまいます。
寒いから早く帰りたい、と思っていたモモタとチュウ太でしたが、今度は冷たい塩がヒンヤリ気持ちよくて、ソルト・ダイビングで遊び始めました。もちろん塩かきの合間を縫って休憩の時だけですが。
塩のシャリシャリが気持ちよくて、ソルト・マッサージ気分です。
ですが、そのうち体力が尽きてきました。気分転換を繰り返して掘り続けましたが、掘っても掘っても、クジラの頭は見えません。とうとう精も根も尽きて、三匹は掘るのをやてしまいました。
チュウ太が言いました。
「塩は硬くてチクチクするよ。ある意味土や雪よりも厄介だな」
モモタの肉球も赤くなっています。キキはシレッ、としていましたが、足をモジモジしていました。たぶん、爪の根元に塩が入って痛いのでしょう。モモタも同じ思いでした。
アゲハちゃんが、ふと思い出して言いました。
「そういえば、青鳩さんって渡り鳥がいるんだけれど、あの子たちお塩が大好物なのよ」
アゲハちゃんの話によると、青鳩は山に住んでいるのですが、度々海にやってきて岩場にとまって、海水をゴクゴク飲んでいるらしいのです。
あんなしょっぱい水を飲めるなんて、みんなにわかには信じられません。
アゲハちゃんが言いました。
「アサギマダラが、コヒョウモンモドキって子が遠くに住んでる親戚のオオウラギンヒョウウモンから聞いたっていうウラギンヒョウモンの話を蝶づてに聞いたって話を聞いたカバマダラから聞いたウスイロヒョウモンモドキが話した話をギンボシヒョウモンから聞いたんですって」
「なんだよそれって」チュウ太、聞いただけで疲れた様子。
アゲハちゃんが真剣に〆ました。
「歯茎が強くなるっていうお話よ」自信満々。
みんなで絶句。
「それ信憑性ないのでは?」と、チュウ太が勇気を持って訊きました。
「絶対大あり絶大よー」とアゲハちゃん。
アゲハちゃんの聞いたところによると、しょっぱいもの好きの青鳩は、山ではお塩が食べられないので海まで来て海水を飲んでいる、と言うのです。もしかしたら、北海道の山鳩たちも同じなのでは? と思い、ハトたちに頼むことを提案しました。
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