猫のモモタ

緒方宗谷

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荷物を背負うカニと背負わないカニの話

変わりたくないから、変わりたいって言うのかな?

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 モモタは、アラモト君に沈みっぱなしのオオ訓の話を訊きました。 
 「何かお外に出られない原因がるんじゃないかな?
 それさえ何とかしてあげられれば、あのカエルもカニも救われると思うんだ。
 アラモト君は、全部彼らの問題だって言っていたけど、お友達としては協力してあげるべきだと思うんだ。
 なにもつっけんどんに遠ざけることないんじゃない?」
 「君は何もわかっていないな。僕がどれだけアドバイスしてあげたと思っているの?
  あとは彼が自分でするかしないかの問題しか残っていないんだよ。
  オオ君は、イシカワ君と同様、考えていることをやめているんだ。
  何を言っても堂々巡りになるだけさ」
 「僕たちが考えるためにも、もう少しお話を聞きに行こうよ」
 そうモモタに乞われて、アラモト君は渋々ながらも、ついてきてくれることになりました。
 モモタたちがオオ君のところに行くと、彼は、まくしたてるようにつらい状況をアラモト君に話します。
 「あのカエルが、僕の葉っぱをくちゃくちゃにしちゃったんだ」
 「カエルの沈んでいる所以外に貯めればいいだろ?」
 「お部屋に土でフタをして、出てこないんだ」
 「ふたがなくても出てこないだろ?」
 「今日も、お魚が食べたいって、僕を取りに行かせたのさ」
 「とってこなければいいのさ」
 「出来ないよ。それじゃあ死んじゃうよ」
 「だろうね。でも死にたくなければ、自分から外にでて、葉っぱなり木の実なり虫なり魚なり、なんなり食べるだろ?
  いいかい?僕たちカニだって、君みたいに枯葉をごはんにする者もいれば、僕みたいに、お魚や虫を食べるものもいる。
  木の実やなんかを食べているお友達だっているよ。
  住んでいるところだって違うだろ。君は川の中に住んでいて、僕は河原に住んでいて、川のないところに住んでいるお友達や、土も砂もない洞窟に住んでいるお友達だっているよ。 
  生きるために必死なのさ。
  君が手取り足取りお世話してあげているから、彼は何もしないんだ」
 「そういうカニがいるからって、そういうカエルがいるわけではないし、あの子がそうできるわけじゃないか。
  あの子がそうしなきゃいけないわけでもないないのに、ひどいよ」
 アラモト君は、話しの節目節目でアドバイスをしてあげていましたが、オオ君は、のらりくらりと理由をつけて、アドバイスを否定します。
 「アドバイスを求めておいて、出来ない、無理だなんて言うなよ。
 訊いてくる意味ないじゃん。結局君は、同情してほしいだけなんだ。
  自分の言っていることに同意が欲しいだけなんだ。
  変わろうという気なんて全然ないんだよ。
  今のままでも仕方がないってみんなに言ってもらって、自分の怠惰な生活に正当性が欲しいだけなんだ。
  そして同情を利用して、彼のお世話を手伝ってもらって、楽したいだけなんだ。
  君の最終目的は、現状維持なんだよ」
 オオ君は、認めもせず否定もせずに言いました。
 「じゃあ、君たちで新しい僕のお家を掘ってくれよ」
 また前来た道に戻ってしまったようです。





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