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荷物を背負うカニと背負わないカニの話
やなことあるから頑張れる
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モモタとアラモト君とオオ君が、オオ君のお家の前の河原で、ああでもないこうでもないとやっていると、お家の上にある森の中から、1匹のサワガニの女の子が出てきて言いました。
「あら、オオ君のお家にカエルが沈みっぱなしでいるの?
わたし、カエル大好きっ子だから、わたしが引き取って上げでもいいわよ」
それを聞いたオオ君は、喜んで言いました。
「本当、ミナミちゃん?
お願い、早いところ連れ出しちゃって」
そうお願いされたミナミちゃんは、さっそくオオ君のお家へと入っていきます。
それを見届けたオオ君が言いました。
「黒くて艶やかで凹凸にとんだ、すごいダイナマイトボディだろ。
さすがにあんな美ガニのミナミちゃんが相手なら、イシカワ君は沈んでなんかいられないね」
モモタもこれで一安心です。
「アラモト君やオオ君より一回りも二回りも大きい子だったから、ちょっと強引にでも連れだせるよね。
すぐに1匹立ちは無理でも。ミナミちゃんに何度か通ってもらえば、お外にも慣れるよ、きっと」
すると、アラモト君が言いました。
「出てくるっていうのはどうだろうな。
だってミナミちゃんは、カエル大好きっ子過ぎて、大好物なくらいだから。
もしかしたら、永遠に沈みっぱなしで出てこないかも」
「それってっっ・・・」モモタ絶句です。
アラモト君は、「うん」としか言いません。
「可哀想だよ。何とか助けてあげないと」
モモタがそう言うと、アラモト君がきょとんとして言いました。
「可哀想?それは君の主観だよ。可哀想が嫌なら、可哀想じゃないと思えばいいさ」
「無理だよ、そんなの」
「無理なもんか。君はこの川で良くお魚を取っているだろ?
それを君は喜んで食べているじゃないか。食べながら可哀想だと思っているのかい?
思っていないだろ?それなのに、なんであのカエルは可哀想なのさ。
それにあのカエルが可哀想だってことは、カエルを可哀想な目にあわせるミナミちゃんは、悪い子かい?
君は自分でお魚を捕った時には可哀想だとは思わず、自分は狩りが上手い良い猫だと思うのに、ミナミちゃんがカエルを捕まえた時には、食べられてしまうカエルは可哀想で、ミナミちゃんを悪者になるっておかしくない?」
確かにそうです。モモタは、話を聞き続けました。
「それは、君が可哀想だって思うために、可哀想だって気持ちを引きだしたのさ。
なら引っ込めればいい。
ミナミちゃんが自分だったらどうか、と置き換えてみたり、イシカワ君がお魚だったら、と置き換えてみたりして、考えるんだ」
頭では分かったモモタでしたが、心は複雑な気持ちになりました。
そうこうするうちに、巣穴の中からイシカワ君とミナミちゃんの声が混ざって反響しているのが、聞こえてきました。
「うぎゃ~!やめろ、やめろー!」と、イシカワ君が、全ての言葉に濁点がついたような声で叫びます。
「待って、待ってー。私あなたが大好きなのよ。一目ぼれだわ、イシカワ君。
もう私我慢できなーい。あなたのこと好きになり過ぎて、食べちゃいたいくらい大好きよー。
お願い。わたしの豊満な甲羅で抱かせてちょうだい。
大人しく抱かれて、美味しくいただかせて~」
「いやだー!やめろー」
いしかわ君がお家から大慌てで出てきて、二足走りで一心不乱にすっ飛んでいきました。
やればできるじゃーん。
「あら、オオ君のお家にカエルが沈みっぱなしでいるの?
わたし、カエル大好きっ子だから、わたしが引き取って上げでもいいわよ」
それを聞いたオオ君は、喜んで言いました。
「本当、ミナミちゃん?
お願い、早いところ連れ出しちゃって」
そうお願いされたミナミちゃんは、さっそくオオ君のお家へと入っていきます。
それを見届けたオオ君が言いました。
「黒くて艶やかで凹凸にとんだ、すごいダイナマイトボディだろ。
さすがにあんな美ガニのミナミちゃんが相手なら、イシカワ君は沈んでなんかいられないね」
モモタもこれで一安心です。
「アラモト君やオオ君より一回りも二回りも大きい子だったから、ちょっと強引にでも連れだせるよね。
すぐに1匹立ちは無理でも。ミナミちゃんに何度か通ってもらえば、お外にも慣れるよ、きっと」
すると、アラモト君が言いました。
「出てくるっていうのはどうだろうな。
だってミナミちゃんは、カエル大好きっ子過ぎて、大好物なくらいだから。
もしかしたら、永遠に沈みっぱなしで出てこないかも」
「それってっっ・・・」モモタ絶句です。
アラモト君は、「うん」としか言いません。
「可哀想だよ。何とか助けてあげないと」
モモタがそう言うと、アラモト君がきょとんとして言いました。
「可哀想?それは君の主観だよ。可哀想が嫌なら、可哀想じゃないと思えばいいさ」
「無理だよ、そんなの」
「無理なもんか。君はこの川で良くお魚を取っているだろ?
それを君は喜んで食べているじゃないか。食べながら可哀想だと思っているのかい?
思っていないだろ?それなのに、なんであのカエルは可哀想なのさ。
それにあのカエルが可哀想だってことは、カエルを可哀想な目にあわせるミナミちゃんは、悪い子かい?
君は自分でお魚を捕った時には可哀想だとは思わず、自分は狩りが上手い良い猫だと思うのに、ミナミちゃんがカエルを捕まえた時には、食べられてしまうカエルは可哀想で、ミナミちゃんを悪者になるっておかしくない?」
確かにそうです。モモタは、話を聞き続けました。
「それは、君が可哀想だって思うために、可哀想だって気持ちを引きだしたのさ。
なら引っ込めればいい。
ミナミちゃんが自分だったらどうか、と置き換えてみたり、イシカワ君がお魚だったら、と置き換えてみたりして、考えるんだ」
頭では分かったモモタでしたが、心は複雑な気持ちになりました。
そうこうするうちに、巣穴の中からイシカワ君とミナミちゃんの声が混ざって反響しているのが、聞こえてきました。
「うぎゃ~!やめろ、やめろー!」と、イシカワ君が、全ての言葉に濁点がついたような声で叫びます。
「待って、待ってー。私あなたが大好きなのよ。一目ぼれだわ、イシカワ君。
もう私我慢できなーい。あなたのこと好きになり過ぎて、食べちゃいたいくらい大好きよー。
お願い。わたしの豊満な甲羅で抱かせてちょうだい。
大人しく抱かれて、美味しくいただかせて~」
「いやだー!やめろー」
いしかわ君がお家から大慌てで出てきて、二足走りで一心不乱にすっ飛んでいきました。
やればできるじゃーん。
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