悪役令嬢の兄、閨の講義をする。

猫宮乾

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【六】

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 僕は三日に一度は王宮に呼び出されるようになってしまった……。何をしているのかと言われたならば、SEXである。特に会話もなく、部屋に到着したら押し倒されて、そのあとはジャック様の公務との兼ね合いで早く帰れる日と帰れない日はあるが、どちらにせよずっと体を重ねている。

 春も夏も秋も冬も。
 全然呼び出される頻度は衰えない。僕の体からはキスマークが消えないし、どころか悪い事として、あんまりにも抱かれたせいで、僕の体は快楽を覚えてしまった……。SEX、気持ちが良いのである……。

 僕とジャック様は何かと相性が悪いと思っていたが、体の相性は良いようだ。
 剣で鍛えたのだろう引き締まった体で、激しく抱かれたり、逆にずっと焦らされたりする内に、僕は嫌ではなくなってきた。

 ただこの生活には、終わりがある。来月、僕とジャック様は、それぞれ王立学院に進学する。閨の講義は一年間だけなので、来月になれば、僕とジャック様の関係は終わる。なお、王立学院は王族であっても、入寮する。

 なお僕の危惧すべき事としては、僕達が第二学年になった時に、乙女ゲームが開始するので、そちらのヒロインがやってくる事だろう。まだ現在も、妹とジャック様が婚約したという話は聞かないが。

 この日も散々抱きつぶされて、僕は帰宅した。

 さて、四月。
 ついに入寮する日が訪れた。最後にジャック様と会った時は、実はもう一回会う予定だったのだが、急な公務の都合で最後の一回が中止となり、流れるようにして閨の講義は終了した。同じ学院内にいるから顔を合わせる事はあるだろうが、もう僕達が体を重ねる事はないだろう。しかし本当、なんで僕が担当したんだろう。考えてみたが、分からない。

「小さい頃にいじめてた仕返しかな? うん、それが濃厚だなぁ」

 当時は散々泣かせた僕だが、この一年はずっと僕が泣かされていた。
 寮の部屋に入った僕は、早速荷物の整理をした。これまでは使用人達にほぼすべてをまかせていたので、一人でやるというのは新鮮だが、幸いなことに僕には前世の記憶がある。だから困らないだろう。

 入学式はないが、夜、入学パーティがある。この国では十八歳からお酒が飲める。
 僕は夜に備えた。

 備えて居たら寝てしまった。気づくと開始時刻ギリギリだったので、慌てて外に出る。春の風はまだ冷たい。会場である大広間に行くと、既に混雑していた。学内では無理に挨拶をする必要はないので、僕はジャック様に挨拶する必要もない。

 ただ王宮に近づかなかったせいで、僕には知り合いがほとんどいない。
 なのでシャンパングラスを手に取ってから、壁際に立っていた。
 ジャック様は囲まれている。目が合う事もなく、この日は終了した。

 こうして学院生活が始まった。
 僕は何故なのか友達が出来ない。図書館で本ばかり読んでいる。そのせいだとは思わないが、人々に遠巻きにされているような感覚があった。やはり人脈を作っておかなかったせいだろう。

 本日も図書館で、僕は外国語の本を開いていた。するとカツンと音がした。

「!」

 気づくと正面の席に、ジャック様が座っていた。一体いつからいたのだろうか。

「随分と集中していたな」
「……ええ、まぁ」
「今日、話がしたい。部屋に行ってもいいか?」

 そう述べたジャック様の瞳が、昨年一年でよく覚えた、完全に情欲が滲んでいる獰猛な瞳だったため、僕は警戒した。嫌な汗が浮かんでくる。

「どのようなお話ですか?」
「俺はここで話しても構わないが、お前もそれが適切だと思うか?」
「……」

 絶対に閨の話だと確信した。一応機密扱いでもあるし、ここで話すわけにはいかない。僕の側の評判の問題もある。仕方がないので、僕は小さく頷いてから、出入り口の方を見た。

「いらしてください」
「ああ。早速、今からでも」

 僕は読みかけだった本を借りることにした。こうして図書館を出た僕は、ジャック様に向かっての視線の多さに辟易した。道中は何故なのか機嫌がよさそうに笑っているジャック様の横を無言の無表情で歩いたが、寮に入った頃には疲れていた。自室に招いてから、扉を閉める。

「フェルナ」

 すると鍵を閉めた瞬間、後ろから抱きしめられた。ゾクゾクしてしまったのは仕方がないだろう。去年一年間ずっと開かれていた体だ。

「そろそろ俺が欲しくなっている頃かと思ってな」
「……」

 悔しいが、事実である。僕は唇をかんだ。すると後ろからジャック様が僕の服を開けてきた。

「せめて寝室で……」
「ああ」

 結果、そのまま移動して、僕達は致してしまった。もう閨の講義は終わったというのに……。その日のジャック様はいつもより性急で、僕は激しく体を貪られた。
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