10 / 33
10話 賢者ルカイン様に相談しよう ②
しおりを挟む賢者ルカインさんが書いた俺のステータスっぽいのが書かれた紙には、見覚えがあった。俺がこの世界に来る前にやっていたテレビゲームの画面に表示されていたのが、確かこんな感じのステータスだった記憶がある。
って事は何か? あのゲーム、えーと確か「剣と魔法のファンタジー」っていうタイトルだったか、そのゲームをプレイしたきっかけでこの世界に飛ばされてきた、て訳なのか? それなら辻褄が合う。
・・・・・・そうか、・・・異世界転移か、・・・・・・
「賢者様、一つ、心当たりがあります」
「ほう、何かの? 」
「俺がこの世界に来る前にやっていた、テレビゲームというものがきっかけだと思います、賢者様が書いて下さったその紙に書かれた内容が、そのテレビゲームに表示されていた内容と同じなのです、だけど、少し違うところもありますが・・・」
「何? この紙に書いた内容と同じじゃと、それならばその「てれびゲーム」とやらのものの所為ではないのかのう」
「はい、自分もそう思います、だけどユニークスキルとか、スキルポイントとかは知りません、おそらくですけど、この世界に来た時に増えたのではないかと、そうなった可能性があるかと思います」
「ふうむ、不思議な事もあるものじゃのう、」
「あの~、賢者様、日本に帰る方法をご存じ無いのですよね? 」
「うむ、すまぬが、わしにはわからん、異世界からの転移者というのはの、実を言うとお主だけではないのじゃ、ここだけの話にしてもらいたいのじゃが、転移者というのは極、偶にこの世界に現れるのじゃ、ただ、文献によると異世界からの転移者は時が経てばいつの間にか姿を消した、と書いてある、おそらくじゃが、ヨシダ殿も時が経てば自然と元の世界に帰れるのではないかのう、確証は無いが」
「そうですか、」
帰る方法はわからない、か、まあしょうがないよな、異世界転移だし、俺にもよくわからない。気長にやっていくしかないのかな・・・。
「それからヨシダ殿、お主がニホンから参ったという事は出来る限り秘密にしておいた方がよいじゃろう、固有スキルの事も公表せん方がよいじゃろうのう」
「何故ですか? 」
賢者様は白い髭を扱《しご》きながら、なにかバツの悪そうな顔をして俺に語りかけた。
「うむ、この世界には色々な人がおってのう、お前さんの事を利用しようと近づいてくる輩もおるやもしれん、特に貴族じゃな、あれらには気を付けよ、彼らは特権階級をいいことにやりたい放題我侭を振りまいておる、実に嘆かわしい事じゃがの、彼らの前では特に発言には気を付けよ、よいか」
「あ、あのう、既にレクリオ村の人の何人かに日本から来たと言ってしまったのですが」
「ふむ、・・・まあ、村の中程度ならば問題なかろう、これからは気を付けて言葉を選ぶようにするとよいじゃろう、ヨシダ殿、秘密にすべき事は秘密にせよ、よいな」
「は、はい、わかりました、」
ふうむ、この世界ではあまり俺の居た世界の事を話さない方がいいんだろうな、秘密にせねば。どんな事態になるか見等も付かないからな。
「ヨシダ殿、いつニホンに帰れるかわかってはおらんのじゃろう、まずはこの世界で生活していく術を何とかする方が建設的かと思うのじゃがのう」
「・・・そうですよね、どうしましょうか、・・・」
「スキルをうまく使って生き抜くというのはどうじゃ? 折角3つもスキルがあるのじゃ、有効に使うべきじゃと思うがのう」
「そうですね、これを見ると俺にはユニークスキルもあるみたいですけど、この「スキル付け替え」という固有スキルはどういったものでしょうか? 」
「ふうむ、そりゃあ読んで字のごとく「スキル」の「付け替え」なんじゃないのかのう、ちょっとやってみるとええ、スキルを付け替えてみい」
「え? は、はい、」
俺は頭の中で、自分のステータスを思い描き、スキルを付け替える、というイメージをしてみる、まずはスキルの一つ、「ストレングス」のスキルを外してみる。
「・・・・・・」
「・・・おや! ヨシダ殿、今鑑定の眼鏡を使っておるのじゃが、ヨシダ殿のスキルの一つの「ストレングス」のスキルが消えたぞい! 」
「どうやらうまくいったみたいですね、次はその「ストレングス」を付けてみます」
俺はさっきと同じやり方で頭の中でイメージする、今度は「ストレングス」をスキルスロットに付けるイメージをする。
「・・・おお! ヨシダ殿に「ストレングス」のスキルが追加されたぞい! なるほどのう、それがヨシダ殿の固有スキルという訳か、そのやり方ならば他の者のスキルも付け替える事が出来るのではないかのう」
「他の者、ですか? 」
「うむ、例えば仲間の誰かのスキルを付け替える、とかかのう」
「なるほど」
「まあ、もっともその者がスキルを習得しておる事が条件かもしれんがのう」
なるほど、使い勝手を選ぶ固有スキル、という事か、後はこのスキルポイントってやつなのだが、1Pってなんだ? 1ポイントって意味かな、俺、何時の間にスキルポイントが1ポイント増えたんだ?
「それにしても、ヨシダ殿のスキルは随分中途半端じゃのう、「ストレングス」に「タフネス」というスキルは戦士か騎士に相応しいスキルなのじゃが、お前さんは「回復魔法」も使える様じゃしのう、前衛向きなのか後衛向きなのか、今一ピンとせんのう」
「あ! そうでした、俺、回復魔法が使えるのですよね! それはいいと思いますけど、例えば回復魔法を使って傷ついた人を癒す、治癒術士としてお金を稼ぐとか、俺、日本にいた頃は魔法なんて使えない世界でしたからね、この世界に来て魔法が使えるってだけで、なんだか異世界に来たー、って感じなんですよ」
魔法か、いいな、魔法使ってみたい。「回復魔法」、習得しておいてよかった。
「残念じゃが、それは無理じゃ、」
「な、何故ですか? 」
「お前さん、魔力が常人よりも少ない、わしの見立てによるとお前さんがもし回復魔法の《ヒール》を使うのなら、一日一回が限度じゃな、それだけで魔力枯渇状態に陥るぞい」
「魔力枯渇状態? 」
「うむ、気力が落ち、気分が優れない状態じゃ、下手したら昏倒するぞい」
「そ、そうなのですか、一日一回・・・」
「うむ、何事も無理はいかん、初歩回復魔法の《ハーフヒール》から使ってみてはどうかのう」
「《ハーフヒール》ですか、わかりました、早速やってみます」
「魔法はイメージじゃ、傷を癒したいと念じて魔力を練ればいいのじゃよ」
俺は右手の手の平に魔力(みたいな何か)を集めるよう、意識を集中してイメージしてみる。
傷を癒す、傷を癒す、傷を癒す。
・・・・・・しかし、何も起こらなかった。
「ダメじゃのう、魔法とは一朝一夕でどうにかなるものではない、鍛錬が必要じゃのう」
ふーむ、ダメか、うまくいくと思ったのだが、やはり修行というか鍛錬が必要なのかな、残念。あ! そうだ、賢者様に教えを乞うのはどうかな、頼んでみるか。
「ルカイン様、魔法を教えては下さいませんか? 」
「ふうむ、魔法のまの字もわかっとらん奴に教える気にもなれんわい、わしの教えを乞うには10年は早いのう、まずは基礎を身につけてからじゃのう」
「そんな、一体どうすれば、」
「お前さん、「ストレングス」や「タフネス」のスキルがあるではないか、いっその事冒険者になる、というのも一つの手じゃぞ、どうじゃ、戦士としてやっていかれてはどうかのう」
うーむ、戦士か、確かに「ストレングス」や「タフネス」のスキルがあれば戦士並の力はあるとは思うのだが、・・・冒険者か、漫画やアニメ、ゲームとかで冒険者というのはどういうものかぐらいは知っている。そうだな、いっその事、冒険者になるというのも一つの手だな。
しかし、折角魔法が使えるのに、なんだかもったいない気がするのだが。
「ところでヨシダ殿、お主、今は何処に寝泊りしておるのじゃ? 」
「あ、はい、レクリオ村という所でご厄介になっております、とても親切な方がいて、大変お世話になっております」
「ほーう、レクリオ村とな、そう言えば確か、レクリオ村に一人、魔法使いがおったと思ったのじゃが、その者に師事し、魔法の教えを乞うてみてはどうかのう」
「え!? レクリオ村に魔法使いが? そうなのですか、知りませんでした、その方にお願いしてみます」
「うむ、それがよいかもしれんのう、まあ、とにかく、この世界で日々生活していく事を当面の目標にしてはどうかの、いずれ、ニホンに帰れる日もくるじゃろうて、まずは生活基盤じゃ」
「はい、この世界でなんとかやってみます、賢者ルカイン様、相談に乗って頂きありがとうございました」
「うむ、日々精進せいよ、」
「それでは、俺はこれで失礼致します」
俺は賢者ルカインの塔を後にした。賢者様に相談出来てよかった、・・・しかし、本当に異世界に来てしまったんだな、これからの事を考えると不安になってくるが、まあ、なんとかやっていくしかない。幸いな事に、俺にはスキルがあるみたいだし、このスキルを使ってうまいことやっていこう。おっと、そういえばお使いを頼まれていたっけ、塩と油だったな。早速買い物だ。俺は再びクノックスの町に入るのであった。
341
あなたにおすすめの小説
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界に召喚されたおっさん、実は最強の癒しキャラでした
鈴木竜一
ファンタジー
健康マニアのサラリーマン宮原優志は行きつけの健康ランドにあるサウナで汗を流している最中、勇者召喚の儀に巻き込まれて異世界へと飛ばされてしまう。飛ばされた先の世界で勇者になるのかと思いきや、スキルなしの上に最底辺のステータスだったという理由で、優志は自身を召喚したポンコツ女性神官リウィルと共に城を追い出されてしまった。
しかし、実はこっそり持っていた《癒しの極意》というスキルが真の力を発揮する時、世界は大きな変革の炎に包まれる……はず。
魔王? ドラゴン? そんなことよりサウナ入ってフルーツ牛乳飲んで健康になろうぜ!
【「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」1巻発売中です! こちらもよろしく!】
※作者の他作品ですが、「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」がこのたび書籍化いたします。発売は3月下旬予定。そちらもよろしくお願いします。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
透明色の魔物使い~色がないので冒険者になれませんでした!?~
壬黎ハルキ
ファンタジー
少年マキトは、目が覚めたら異世界に飛ばされていた。
野生の魔物とすぐさま仲良くなり、魔物使いとしての才能を見せる。
しかし職業鑑定の結果は――【色無し】であった。
適性が【色】で判断されるこの世界で、【色無し】は才能なしと見なされる。
冒険者になれないと言われ、周囲から嘲笑されるマキト。
しかし本人を含めて誰も知らなかった。
マキトの中に秘める、類稀なる【色】の正体を――!
※以下、この作品における注意事項。
この作品は、2017年に連載していた「たった一人の魔物使い」のリメイク版です。
キャラや世界観などの各種設定やストーリー構成は、一部を除いて大幅に異なっています。
(旧作に出ていたいくつかの設定、及びキャラの何人かはカットします)
再構成というよりは、全く別物の新しい作品として見ていただければと思います。
全252話、2021年3月9日に完結しました。
またこの作品は、小説家になろうとカクヨムにも同時投稿しています。
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる