21 / 33
21話 パールさんの魔法授業 ②
しおりを挟むパールさんの所で魔法を教わる様になってから、3日が経過した。
自警団の仕事もあるので、午前中は村の見回り、午後から魔法の練習というシフトをギダユウさんに組んでもらった。ギダユウさんにも気を遣わせているみたいだな。有り難い事だ。
魔法の練習をする様になってから気付いた事だが、なんと、俺の中にもマナが宿っている事が段々解ってきた。何と言うか、体内に一種の力の様な何かがあるのが、解る様になってきた、いや、感じられる様になったと言うべきか。自分でもちょっと信じられないのだが、多分これが魔力、マナってヤツだと思う。
後はただ、只管に魔力を練る、という行為を続けているところだ。
これも、実はうまくいっている、よく漫画やアニメで「魔法はイメージだ! 」と言う様な台詞があるので、それを真似てみたのだが、何かコツが掴めそうだった。
「イメージ、イメージ、集中、集中、」
手の平にマナを集めて練り上げるイメージを、頭の中で想像する。
・・・なんだか、手の平が温かくなってきた。これが魔力を練るという事か。
「よ、ヨシダさん! 貴方その手! 」
「え? 」
突然、パールさんが驚いた声を出し、俺の手を握ってきた。
「ど、どうかしましたか? 」
パールさんはマジマジと俺の手を眺めてあちこち触っている、べっぴんさんに色々触られるというのは、悪い気はしないが、目が真剣なのであまり不埒な事は考えない様にしなくては。
「今、ヨシダさんの中に流れるマナを調べましたが、やはり、間違いありません、ヨシダさん、貴方はマナを練る事が出来ています、しかもこんな短期間で、一体どうやったらこんなすぐにマナが練られる様になるのですか」
「そ、そうなのですか? 自分ではよく解らないのですが、それって、俺にも魔法の才能がある、という事でしょうか? 」
「ええ、間違いありません、これは凄い事ですよヨシダさん、こんな短期間で魔法使いの片鱗が見えるなんて、大したものですよ」
そ、そうか、よかった、俺にも魔法の才能があったのか。・・・いや、違うな、おそらくスキル「回復魔法」のお陰だろうな、そうじゃなきゃ、魔法の無い世界から転移してきた俺に、魔力が宿っているなんて事はちょっと考えられない。おそらくスキルのお陰だろう。その辺勘違いしないようにしなくては。
俺とパールさんのやり取りを見て、カチュアちゃんがつまらなさそうにこちらを伺う。
「むう~、ヨシダさんに先を越されたちゃったわ、私の方が先にパールさんに魔法を教わっていたのに」
パールさんは俺にこう言った。
「ヨシダさんが魔力《マナ》を練られる様になったのなら、次のステップに進みます、実際に魔法を使ってみましょう、確か、ヨシダさんは回復魔法が使える様になりたいんでしたよね」
「はい、俺にできますかね? 」
「マナが練られる様になったのなら、出来ます、ヨシダさんには魔法の才があると思います、ただ、私がヨシダさんを調べたところ、魔力の総量、これを器《うつわ》と呼んでいますが、ヨシダさんの器は人のそれよりも少し少ないようなのです、ですので、あまり無理はさせられません、最初のうちは一日一回を限度にし、魔法を使っていきましょう」
「一日一回ですか、解りました」
「それでは、より実践的な事をお教え致しますので、・・・その前に、ヨシダさんに魔法の発動体を用意しなくてはいけませんよね、回復魔法というと、神聖魔法ですので、聖印《ホーリーシンボル》が必要ですね、確か、ご主人様の納屋の中に捜せばあったと思いますので、私が取りに行って来ます、ご主人様にも許可を取らないといけませんので、それでは行って参ります」
「あ、どうも、よろしくお願いします」
パールさんは村長さんの居るところへと行ってしまった。
その時、カチュアちゃんが話し掛けてきた。
「ヨシダさん、どやったらマナを練る事ができるの? いや、そもそもマナってどうすればわかるの? 」
「うーん、実は俺にもよく解らないんだけど、自分の中にマナがあるって感じられた事が切っ掛けだと思うよ、後はイメージかな、魔法はイメージが大切だってパールさんも言っていたじゃないか、多分だけど、マナを感じられる様になればいいと思うんだけど・・・」
「う~ん、よくわからないよ、マナを感じるってところからもうダメみたいなのよね、私って、どうすればマナを感じられる様になるの? 」
「ごめん、それは俺にもよく解らないんだ、ただ、マナを感じられる様になったとしか言えなくて、あまり参考にはならないよね」
「う~ん、魔法って難しい、だけど、ここで諦めたくないのよね、私が冒険者になるまでは、」
ふうむ、冒険者か、・・・
「前にさ、何で冒険者になりたいのか聞いた事があったよね、その時は村を守る為って聞いたけど、それだけじゃないよね、勿論、村を守るってのは凄く立派な志だと思うよ、だけど、それと魔法使いになりたいってのは、また別だと思うんだよね、その辺どうなの? カチュアちゃん」
カチュアちゃんは少し言葉に詰まって、答えを自分なりに出そうとしているみたいだった。そして、俺に答えてくれる。
「・・・実は、うまく説明できないんだけど、何と言うか、自分を試したい、・・・と、思うの、お父さんがモンスターに殺されて、私、悲しくて、泣いて、そして、許せないって思ったの、私がもっと強かったら、きっとお父さんを守れたんじゃなかったのかな、って・・・そう、思ったの・・・」
「・・・・・・そうか、」
ふーむ、別に復讐の為とかそういうものじゃないのはわかった、きっと自分みたいな思いをする人を増やさない、増やしたくない、っという思いで冒険者になろうとしているんだな、魔法を教わっているのだって、自分が戦える様になる、強くなる為に一生懸命に学んでいる、という事か・・・。
応援したいが、ここで俺のユニークスキル、「スキル付け替え」を使ってカチュアちゃんを強化してしまうのは、なんだか違う気がする。それでは意味が無い、人が努力しているのに、あっさりスキルを習得させるのは、何だか努力を否定するみたいで、それは少し違うと思った。
カチュアちゃんと会話していると、パールさんが戻って来た、なにやらパールさんの手に光る物が握られているみたいだ。
「お待たせしました、ご主人様からお許しが出ましたので、探して持って参りました」
パールさんは俺に何か銀色に光るメダルのような物を渡してきた。
「これが、女神教の聖印、ホーリーシンボルです、本来ならきちんと女神教会から渡される物なのですが、練習用という事で、このままこれを使います、」
銀色に光るこのメダルは表面に女性の顔が三人描かれている、裏には何やら文字のような模様が彫りこまれている。これが聖印《ホーリーシンボル》か。神聖魔法を使う時に必要な魔法の発動体って訳なんだな。
「いいですか、ヨシダさん、その聖印はご主人様のかつてのお仲間の方の物ですので、失くさない様にして下さい、ご主人様から許可は出ていますので、そちらの聖印を使って回復魔法を試してみましょう」
「はい、ありがとうございます」
さあ、いよいよ、魔法を使ってみるぞ、うまく発動するかな、少し心配だ。自分に自信が無い、だけど、スキル「回復魔法」が俺のスキルスロットには装備されている、うまくいきますように。
222
あなたにおすすめの小説
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界に召喚されたおっさん、実は最強の癒しキャラでした
鈴木竜一
ファンタジー
健康マニアのサラリーマン宮原優志は行きつけの健康ランドにあるサウナで汗を流している最中、勇者召喚の儀に巻き込まれて異世界へと飛ばされてしまう。飛ばされた先の世界で勇者になるのかと思いきや、スキルなしの上に最底辺のステータスだったという理由で、優志は自身を召喚したポンコツ女性神官リウィルと共に城を追い出されてしまった。
しかし、実はこっそり持っていた《癒しの極意》というスキルが真の力を発揮する時、世界は大きな変革の炎に包まれる……はず。
魔王? ドラゴン? そんなことよりサウナ入ってフルーツ牛乳飲んで健康になろうぜ!
【「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」1巻発売中です! こちらもよろしく!】
※作者の他作品ですが、「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」がこのたび書籍化いたします。発売は3月下旬予定。そちらもよろしくお願いします。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
透明色の魔物使い~色がないので冒険者になれませんでした!?~
壬黎ハルキ
ファンタジー
少年マキトは、目が覚めたら異世界に飛ばされていた。
野生の魔物とすぐさま仲良くなり、魔物使いとしての才能を見せる。
しかし職業鑑定の結果は――【色無し】であった。
適性が【色】で判断されるこの世界で、【色無し】は才能なしと見なされる。
冒険者になれないと言われ、周囲から嘲笑されるマキト。
しかし本人を含めて誰も知らなかった。
マキトの中に秘める、類稀なる【色】の正体を――!
※以下、この作品における注意事項。
この作品は、2017年に連載していた「たった一人の魔物使い」のリメイク版です。
キャラや世界観などの各種設定やストーリー構成は、一部を除いて大幅に異なっています。
(旧作に出ていたいくつかの設定、及びキャラの何人かはカットします)
再構成というよりは、全く別物の新しい作品として見ていただければと思います。
全252話、2021年3月9日に完結しました。
またこの作品は、小説家になろうとカクヨムにも同時投稿しています。
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる