おじさんが異世界転移してしまった。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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21話 パールさんの魔法授業 ②

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 パールさんの所で魔法を教わる様になってから、3日が経過した。

自警団の仕事もあるので、午前中は村の見回り、午後から魔法の練習というシフトをギダユウさんに組んでもらった。ギダユウさんにも気を遣わせているみたいだな。有り難い事だ。

魔法の練習をする様になってから気付いた事だが、なんと、俺の中にもマナが宿っている事が段々解ってきた。何と言うか、体内に一種の力の様な何かがあるのが、解る様になってきた、いや、感じられる様になったと言うべきか。自分でもちょっと信じられないのだが、多分これが魔力、マナってヤツだと思う。

後はただ、只管に魔力を練る、という行為を続けているところだ。

これも、実はうまくいっている、よく漫画やアニメで「魔法はイメージだ! 」と言う様な台詞があるので、それを真似てみたのだが、何かコツが掴めそうだった。

「イメージ、イメージ、集中、集中、」

手の平にマナを集めて練り上げるイメージを、頭の中で想像する。

・・・なんだか、手の平が温かくなってきた。これが魔力を練るという事か。

「よ、ヨシダさん! 貴方その手! 」

「え? 」

突然、パールさんが驚いた声を出し、俺の手を握ってきた。

「ど、どうかしましたか? 」

パールさんはマジマジと俺の手を眺めてあちこち触っている、べっぴんさんに色々触られるというのは、悪い気はしないが、目が真剣なのであまり不埒な事は考えない様にしなくては。

「今、ヨシダさんの中に流れるマナを調べましたが、やはり、間違いありません、ヨシダさん、貴方はマナを練る事が出来ています、しかもこんな短期間で、一体どうやったらこんなすぐにマナが練られる様になるのですか」

「そ、そうなのですか? 自分ではよく解らないのですが、それって、俺にも魔法の才能がある、という事でしょうか? 」

「ええ、間違いありません、これは凄い事ですよヨシダさん、こんな短期間で魔法使いの片鱗が見えるなんて、大したものですよ」

そ、そうか、よかった、俺にも魔法の才能があったのか。・・・いや、違うな、おそらくスキル「回復魔法」のお陰だろうな、そうじゃなきゃ、魔法の無い世界から転移してきた俺に、魔力が宿っているなんて事はちょっと考えられない。おそらくスキルのお陰だろう。その辺勘違いしないようにしなくては。

俺とパールさんのやり取りを見て、カチュアちゃんがつまらなさそうにこちらを伺う。

「むう~、ヨシダさんに先を越されたちゃったわ、私の方が先にパールさんに魔法を教わっていたのに」

パールさんは俺にこう言った。

「ヨシダさんが魔力《マナ》を練られる様になったのなら、次のステップに進みます、実際に魔法を使ってみましょう、確か、ヨシダさんは回復魔法が使える様になりたいんでしたよね」

「はい、俺にできますかね? 」

「マナが練られる様になったのなら、出来ます、ヨシダさんには魔法の才があると思います、ただ、私がヨシダさんを調べたところ、魔力の総量、これを器《うつわ》と呼んでいますが、ヨシダさんの器は人のそれよりも少し少ないようなのです、ですので、あまり無理はさせられません、最初のうちは一日一回を限度にし、魔法を使っていきましょう」

「一日一回ですか、解りました」

「それでは、より実践的な事をお教え致しますので、・・・その前に、ヨシダさんに魔法の発動体を用意しなくてはいけませんよね、回復魔法というと、神聖魔法ですので、聖印《ホーリーシンボル》が必要ですね、確か、ご主人様の納屋の中に捜せばあったと思いますので、私が取りに行って来ます、ご主人様にも許可を取らないといけませんので、それでは行って参ります」

「あ、どうも、よろしくお願いします」

パールさんは村長さんの居るところへと行ってしまった。

その時、カチュアちゃんが話し掛けてきた。

「ヨシダさん、どやったらマナを練る事ができるの? いや、そもそもマナってどうすればわかるの? 」

「うーん、実は俺にもよく解らないんだけど、自分の中にマナがあるって感じられた事が切っ掛けだと思うよ、後はイメージかな、魔法はイメージが大切だってパールさんも言っていたじゃないか、多分だけど、マナを感じられる様になればいいと思うんだけど・・・」

「う~ん、よくわからないよ、マナを感じるってところからもうダメみたいなのよね、私って、どうすればマナを感じられる様になるの? 」

「ごめん、それは俺にもよく解らないんだ、ただ、マナを感じられる様になったとしか言えなくて、あまり参考にはならないよね」

「う~ん、魔法って難しい、だけど、ここで諦めたくないのよね、私が冒険者になるまでは、」

ふうむ、冒険者か、・・・

「前にさ、何で冒険者になりたいのか聞いた事があったよね、その時は村を守る為って聞いたけど、それだけじゃないよね、勿論、村を守るってのは凄く立派な志だと思うよ、だけど、それと魔法使いになりたいってのは、また別だと思うんだよね、その辺どうなの? カチュアちゃん」

カチュアちゃんは少し言葉に詰まって、答えを自分なりに出そうとしているみたいだった。そして、俺に答えてくれる。

「・・・実は、うまく説明できないんだけど、何と言うか、自分を試したい、・・・と、思うの、お父さんがモンスターに殺されて、私、悲しくて、泣いて、そして、許せないって思ったの、私がもっと強かったら、きっとお父さんを守れたんじゃなかったのかな、って・・・そう、思ったの・・・」

「・・・・・・そうか、」

ふーむ、別に復讐の為とかそういうものじゃないのはわかった、きっと自分みたいな思いをする人を増やさない、増やしたくない、っという思いで冒険者になろうとしているんだな、魔法を教わっているのだって、自分が戦える様になる、強くなる為に一生懸命に学んでいる、という事か・・・。

応援したいが、ここで俺のユニークスキル、「スキル付け替え」を使ってカチュアちゃんを強化してしまうのは、なんだか違う気がする。それでは意味が無い、人が努力しているのに、あっさりスキルを習得させるのは、何だか努力を否定するみたいで、それは少し違うと思った。

カチュアちゃんと会話していると、パールさんが戻って来た、なにやらパールさんの手に光る物が握られているみたいだ。

「お待たせしました、ご主人様からお許しが出ましたので、探して持って参りました」

パールさんは俺に何か銀色に光るメダルのような物を渡してきた。

「これが、女神教の聖印、ホーリーシンボルです、本来ならきちんと女神教会から渡される物なのですが、練習用という事で、このままこれを使います、」

銀色に光るこのメダルは表面に女性の顔が三人描かれている、裏には何やら文字のような模様が彫りこまれている。これが聖印《ホーリーシンボル》か。神聖魔法を使う時に必要な魔法の発動体って訳なんだな。

「いいですか、ヨシダさん、その聖印はご主人様のかつてのお仲間の方の物ですので、失くさない様にして下さい、ご主人様から許可は出ていますので、そちらの聖印を使って回復魔法を試してみましょう」

「はい、ありがとうございます」

さあ、いよいよ、魔法を使ってみるぞ、うまく発動するかな、少し心配だ。自分に自信が無い、だけど、スキル「回復魔法」が俺のスキルスロットには装備されている、うまくいきますように。
















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