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25話 冒険者ギルドに依頼を出そう
しおりを挟む「何!? ゴブリンの足跡じゃと? 」
俺とギダユウさん、そしてラッシャーさんはオウルベアーとの戦いを制し、村の壊れた柵の修繕も後回しにして、いの一番に村長さんの元へ報告しに来た。ラッシャーさんが言うには、森の浅い所で数十匹のゴブリンの足跡を発見したと言う。
「それは確かなのか? ラッシャー」
村長さんに問われ、ラッシャーさんが答える。
「へい、間違いありやせん、それも1匹や2匹の足跡じゃありやせんでした、少なく見積もっても10匹以上はいやす」
村長さんは髭を手で掴み、扱《しご》きながら唸った。
「うーむ、話を聞くとオウルベアーを手負いにしたのも、そのゴブリン達やもしれぬな、おそらく武装しておるじゃろう」
ギダユウさんが急ぐ感じで意見する。
「だったら村長さん、町に行って冒険者を雇おう、俺達自警団だけじゃ無理だよ、冒険者ならばモンスター戦のプロだ、きっとなんとかなるよ」
「しかしのう、冒険者を雇うと言っても報酬はどうするのじゃ、この時期に余裕など無いぞ」
時期? 何の話だろうか。
「どういう事でしょうか? 」
俺の問いにラッシャーさんが答える。
「ああ、そういやあヨシダさんは知らないんでやすね、毎年この時期になると、領主様に税を納める為に金が必要になってくるんでさあ」
「税金ですか、」
なるほど、それで村長さんは余裕が無いと言ったのか。何処の世界でも変わらんな。
そこで、俺から提案をしてみた。
「でしたら、オウルベアーを売って、そのお金を冒険者への報酬にすればよいのでは? 」
村長さんが髭を扱きながら答えた。
「うーむ、報酬の足しにはなるじゃろうが、ベテランを呼ぶにはちぃとばかし足りんと思うがの、引き受けて貰える冒険者と言っても、精々駆け出し冒険者ぐらいじゃろうて」
「ゴブリン退治でやすからねえ」
「だけど、このままじゃゴブリンにいいようにされるがままになっちまうよ、駆け出しでもいい、冒険者を雇おう、村長さん、以前襲われた3年前の時だって犠牲者がでたんだ、これ以上は好きにさせたくない、雇おう」
ギダユウさんの言葉に、みんなは冒険者を雇うという方向で話が纏まりそうだ。
「・・・うむ、よし、わかった、町に行って冒険者ギルドに依頼を出しに行って来てくれ、報酬はオウルベアーと胆石を売った金から出すという事で決まりじゃ」
村長さんの決断に、ギダユウさんもラッシャーさんも納得した様子だ。俺も冒険者を雇う事に賛成だ。
「よーし、お主等三人でオウルベアーを運び、町まで行って来てくれ、今からじゃ」
「わかったぜ、村長さん」
こうして、俺達は木の棒に括り付けたオウルベアーを二人で担ぎ、一人はその護衛としてクノックスの町まで移動するのであった。
俺とギダユウさんがオウルベアーを担ぎ、ラッシャーさんが護衛兼偵察の布陣で移動している。ラッシャーさんは斥候《スカウト》の心得があるのか、よく鼻と耳が利く。
町までの移動も特にモンスターの妨害があるわけでもなかった、順調な道程である。
クノックスの町に到着し、壁門のところで衛兵に事情を話し、門番の人に身分証を提示して町の中に入る。
ギダユウさんが俺達に指示をする。
「オウルベアーの胆石はラッシャーが売りに行って来てくれ、俺とヨシダさんでオウルベアーを売りに行く」
「わかりやした」
「それじゃあ、事が済んだら冒険者ギルドに集合って事で、各自行動してくれ」
「はい」
ラッシャーさんは町の錬金術師のアトリエがある方へ向けて走っていった、俺とギダユウさんはそのまま町中を移動して中央辺りを目指す。
「ギダユウさん、オウルベアーを買い取ってくれる所ってどこですか? 」
「ああ、それなら冒険者ギルドの裏手にある倉庫で買い取って貰えるよ」
「そうでしたか」
なるほど、冒険者ギルドの近くならば都合がいいのだろう。モンスター素材の買取ならばそのままギルドへの報告も出来るし。
俺達はしばらく歩いて、一軒の大きな建物の前までやって来た。
「ここが冒険者ギルドだよ、ヨシダさん、裏へ回ろう」
「はい」
へ~、ここが冒険者ギルドか、3階建ての立派な建物だな。しっかりした造りだ。見た目も鮮やかな色彩だな。他の建物とは一線を隔している。
俺達は冒険者ギルドの裏手にある倉庫前までやって来た。ギダユウさんがズカズカと倉庫内に入り込んで職員らしき人に声を掛けた。
「すいませーん、肉の買取をお願いしたいんだが」
倉庫の一角から一人の男が出てきて、俺達に対応した。
「肉の買取だって? どれ、見せて貰おうか」
職員らしき男は、俺達が持ち込んできたオウルベアーを見て、色々と触りながら確かめている。
「ほーう、こいつは上物だな、オウルベアーか、傷も大した大きさじゃないし、よし、いいだろう、銀貨1枚と大銅貨8枚でどうだ? 」
「おいおい、よく見てくれよ、大きいだろう、肉もたんまり付いているし、銀貨2枚で手を打とうじゃないか」
「おいおい、勘弁してくれよ、オウルベアーの相場は銀貨1枚と大銅貨5枚だぜ、これでも色を付けたつもりなんだよ、銀貨1枚に大銅貨8枚、これで手を打てって」
「そこを何とかならんか、こっちは金が必要なんだよ」
「うーん、そう言われてもなあ、これ以上は出せないよ」
「はあ、仕方ない、銀貨1枚と大銅貨8枚で取引しよう」
「まいど、どうも」
俺達はオウルベアーの手足に縛ってある紐を解き、職員の男と協力して解体台の上まで運ぶ。結構重かった。ここまで運ぶのだって実は結構疲れていた。
ギダユウさんが買い取り金を受け取り、俺達は倉庫を後にした。
「銀貨1枚に大銅貨8枚か、後はラッシャーがうまくやってくれればいいんだが」
「ギダユウさん、冒険者を雇うのにどれくらいのお金が必要なんですか? 」
「ん? そうさなあ、最低でも銀貨2枚は必要だろうけど、駆け出し冒険者なら幾らか安い報酬で依頼を引き受けてくれるらしいよ」
「銀貨2枚ですか」
火を付ける魔道具が銀貨3枚と言っていたから、それよりかは安いという事か、引き受けてくれる冒険者がいればいいな。
俺とギダユウさんは冒険者ギルドの前まで来た、そこには既にラッシャーさんが待っていた。
「おう、ラッシャー、そっちの塩梅《あんばい》はどうだった」
「へい、オウルベアーの胆石は上等な物だったらしく、銀貨1枚と大銅貨2枚で売れやした」
「そうか! でかした」
これで報酬の件はなんとかなったな、あとは冒険者ギルドに依頼を出すだけか。
「よーし、ギルドの中に入るぜ、」
俺達三人は冒険者ギルドの入り口を潜り、中へと入る。
冒険者ギルドの中には色んな人種の冒険者が居て、酒みたいなものを飲みながら活気に満ちている。怖そうな顔をした人も居て、こちらを見ている、目を合わせないようにしなくては。
受付カウンターらしきところまで歩いて向かい、ギダユウさんが代表して話をしてくれた。
「ちょっといいかい、冒険者に依頼がしたいんだが」
受付のおねえさんがこちらに対応してくれた。
「はい、どう言った依頼でしょうか? 」
「依頼内容はレクリオ村の防衛、またはゴブリンの討伐」
「まず、経緯を仰ってください」
ギダユウさんはこれまでの経緯を話し、ゴブリンが近いうちに攻めてくるかもしれない事を説明した。
「なるほど、それで依頼をお出しになりたいのですね、わかりました、依頼内容はレクリオ村の防衛ですね、報酬などはご用意出来ますか? 」
「ああ、報酬は銀貨2枚と大銅貨10枚だ、これで依頼を出したい、出来るだけ急いでほしい」
「わかりました、報酬は銀貨3枚ですね、今から依頼表をお作り致しますので、それを依頼ボードに張り出します、冒険者が依頼を受けるのに数日掛かる事もあります、その時はご了承下さい」
「ああ、わかっている、けど、なるべく早く頼む」
「わかりました、冒険者が到着するまで、決して無茶な事はなさらないように願います、こちらも出来るだけ急ぎで済むように致します、それではお疲れ様でした」
受付のおねえさんは親切に対応してくれた。
「ああ、本当に急ぎで頼むよ」
そう言いながら、ギダユウさんはお金の入った袋をカウンターの上に置いて手続きを済ませたみたいだ。
ふうー、どうやら冒険者ギルドに依頼を出せたぞ、こういうのはもっと色々査定とかあるものと思っていたんだが、すんなり依頼を出せたな。よかった、後はこれで冒険者が村に来てくれれば何とかなるかもしれない。それまでの間は、俺達自警団で何とかするしかないよな。
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