おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

文字の大きさ
46 / 222

第45話 シスターサナリー救出任務 ④

しおりを挟む


 「全員そこを動くな! 死にたくなければ武器を捨てて大人しくしていろ!」

サキ隊長がこの場を掌握する為、大声で賊達に呼びかけた。

俺の周りを賊が囲み、更にそれをサキ小隊とナナ小隊、更にマーテルさんが降りて来て賊達を包囲した。

山賊達は手に持った武器を落として、戦意を喪失している様だ。

流石にこれはこちらに分がある。賊達は大人しくしていた。

「ニール、リップ、メリー、ジャズ、各員この者たちを拘束しろ。マーテル殿は辺りの警戒をお願いします。」

「「「「 了解! 」」」」

「わかりました、上空に上がり警戒します。」

それぞれが動き出し、俺達は投降した賊達をロープで縛り、拘束して一か所に集めて座らせる。

全部で五人か、俺が二人倒してリップが一人倒したから、残りの賊は二人。

山賊の頭目と黒ローブの男が残っている。警戒すべきはやはり黒ローブの男か。

山賊達を集めて座らせ、武器を取り上げて大人しくさせる。

上手く事が運んでいると思うが、さて、この次はどうなる。

山賊達は一様に何かに恐れている様子ではある、ちょっと尋ねてみるか。

「あんた等、何だって修道院なんかを狙ったんだ? あそこには女性の修道女しかいない筈だろ。まさかとは思うが、その女が目当てだったのか?」

すると、賊の中の一人が、俺の質問に対してこう切り出した。

「俺たちゃ何も女に飢えてる訳じゃねえ。寝ぐらに戻れば幾らでも捕まえた女がいるからな、ただよ、いい仕事があるって誘われただけなんだ。女一人殺るだけで金貨10枚が貰えるってな。」

「金貨10枚? そんな大金、誰から頼まれた仕事だ?」

「………おっと、そいつは言えねえ、言ったら俺達が殺されちまうよ。兎に角だ、そういう大物が付いているって訳だよ。わかったか? わかったらこの縄を解いて俺達を自由にした方が身の為だぜ。」

こいつ等、何粋がってやがるんだ。

武装して修道院の周りを取り囲んでいる時点で、既に怪しいじゃないか。

何をしようとしていたのか、こいつ等は多分喋らないだろうな。

(するってえと、やはり山賊の頭目か黒ローブの男を捕らえるしか、情報の出所を調べる事ができそうにないな。)

するとそこへ、山賊の頭目と黒ローブの男が姿を現した。

何だか随分と余裕がある感じだ。山賊の頭目が捕まっている手下に声をかけた。

「てめーら何やってやがる! こんな女ばかりのアリシア軍人相手に、てめーらの腰に提げていた武器は飾りだったのか? ああん!」

「す、すいませんかしら、数の多さにビビっちまって。」

「ったく情けねえ、それにしてもマグマさん、ちょっと話が違うんじゃねえですかい、確か情報だと女が一人でやって来ると聞きやしたが?」

(はい、黒ローブの男の名前が判明、マグマさんと仰るらしい。)

俺は片手を挙げて陽気にマグマと呼ばれた男に声をかけてみる。

「よーうマグマさん、いい天気だな。いや、曇り空か、修道院の周りを取り囲むには絶好の天気だよな。」

俺の言葉にマグマは山賊の頭目の方を向き、「チッ」と舌打ちして睨みつける。

睨まれた山賊の頭目は恐れおののき、しまった! というような表情をし、俯き加減だ。

どうやら本当にマグマと言うらしいな、黒ローブの男の名前は。

「フン、これだから三下を雇うのは嫌だったんだ。金貨10枚に釣られてこんな簡単な仕事もこなせないなど。」

黒ローブの男が何やら杖を地面にコツンと突き、魔法を唱え始めた。何か来る!

「全員警戒しろ! 何かの魔法攻撃が来るぞ!」

俺の声に、皆は一斉に警戒しだす。何だ? どんな魔法だ?

「大地よ、震えるがよい! 《アースクエイク》」

(何だと! アースクエイクだと! 上級範囲攻撃魔法じゃないか!)

黒ローブの男の放つ魔法は、広範囲に及ぶ攻撃魔法だ。

地震を引き起こして対象を動けなくする、土属性魔法の上級版。これは厄介な。

「皆踏ん張れ! 地面が揺れるぞ! 屈み込んで耐えろ!」

俺の声に全員地面に伏せる。

その直後、地面が急激に揺れ始め、俺達どころか山賊達まで巻き込んで、辺り一帯を地震が発生した。

「う、うわ、地面が揺れてる! この世の終わりか!」

「ニール落ち着け! 只の地震だ! 踏ん張っていれば直ぐに収まる! 皆も踏ん張って耐えるんだ!」

「りょ、了解、だけど凄く怖いよ。これ。」

確かに、揺れ方が尋常じゃない。これがアースクエイクの魔法か、恐ろしいな。

立っていられない。屈み込んで耐えるしか出来る事が無い。

山賊達もみんな一様に恐れている、そりゃあそうだろう。

まさか自分達まで魔法攻撃の範囲に入っているなんてな。捨て駒にでもされたか。

暫く揺れは続いたが、何とか皆耐えたようだ。地震が収まって来た。

よし、完全に揺れが収まった。ゆっくりと立ち上がる。大丈夫だ。やれる。

しかし、俺と上空に上がっていたマーテルさんだけが今動けるみたいだ。

他の皆は、まだ地震の揺れから立ち上がれていない。

やはり無理もない、いきなり地震を体験して、すぐさま動ける人はまずいない。

恐ろしい現象なのだ、地震というやつは。

俺だってまだ足元がふらついている。立っているのがやっとだ。

しかし、更にマグマは魔法を唱え始めた。

こいつまさか、魔法の連続使用が出来るスキル持ちか! ますますもって厄介な。

と、そこで山賊の頭目が武器を仕舞ってこちらに歩き出した。

「じょ、冗談じゃねえ! 話が違うじゃねえですかいマグマさん。話では女が一人だけって事だったし、アリシア軍が出張って来るなんて聞いてねえよ! 俺は降りるぜ! この話は無しにさせてもらうからな! じゃあな、あばよ!」

そう言って、山賊の頭目は一目散に逃げだした。ところが………。

「炎よ、全てを焼き尽くせ! 《ファイアーストーム》」

(何だと! またしても範囲魔法か! しかも森の中で火魔法とは!)

「皆! お互いの距離を離せ! 範囲魔法が来るぞ!」

俺の声に、皆は這い蹲りながらも距離を離す。

しかし、山賊達はロープで縛られているので身動き取れない。

そこへ山賊の頭目が近づき、部下たちを解き放とうとしていた。だが。

「ぎゃああああああ!!」

なんと、マグマの放った魔法は俺達ではなく、山賊の頭目を起点に発動したようだった。

当然、山賊達は魔法攻撃の餌食になり、山賊の頭目諸共焼かれた。

「お、おいあんた、こいつ等は仲間じゃなかったのか?」

「仲間? 何故私がこいつ等の仲間でなくてはならんのだ?」

こいつ! 山賊を使い捨てやがった! 

このやり口といい、手段と目的を履き違えている事といい、まさか、こいつ。

「あんた、まさか、ダークガードか?」

俺の質問に、マグマは「フフフ」と薄ら笑いを浮かべ、杖を地面にコツンと叩きつけた。

「あんな田舎者共と一緒にされては心外だな。」

そこでマーテルさんが前に出て来て、マグマに相対した。

「やはり、貴方は闇の崇拝者ですね。」

(闇の崇拝者だって!? こいつが!?)

「闇の崇拝者? それって、御伽噺に出てくる、あの?」

「いえ、ニールさん、闇の崇拝者は実在します。こうして現に目の前にいるのがその証拠です。」

やはりそうか、この力といい、やり方といい、間違いなく闇の崇拝者だろうな。

「ジャズさん、山賊の頭目はまだ息があります。ロープで拘束して下さい。その間私は、この闇の崇拝者と相対します。お急ぎを!」

「は、はい! お気をつけて!」

俺は山賊の頭目の元まで行き、まだ息がある事を確かめる。

うむ、確かにまだ生きてる。こいつも意外とタフだな。

山賊の手下はやられたが、こいつはまだ息がある。早速ロープで腕を縛る。よし、拘束完了。

マーテルさんの方を見ると、何やら剣を抜いて構えていた。

あれは確か、サンダーソードじゃなかったか。雷の魔法効果があるマジックアイテムだ。

あんな物を持っているなんて、やっぱりマーテルさんは只物じゃないという事か。

ここは彼女に任せるしかなさそうだ。

俺は、マーテルさんとマグマの相対している戦場を見る事にした。

俺に出来そうな事は、今の所こんなもんだ。












しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成
ファンタジー
「異世界転生して天下を統一したら元の世界に戻してあげる」 大学生の明彦(あきひこ)は火事で死亡した後、転生の女神にそう言われて異世界転生する。 だが転生したのはなんと14歳の女の子。しかも筋力1&武器装備不可! 降り立った場所は国は三国が争う中心地の激戦区で、頼みの綱のスキルは『相手の情報を調べる本』という攻撃力が皆無のサーチスキルというありさま。 とにかく生き延びるため、知識と口先で超弱小国オムカ王国に取り入り安全を確保。 そして知力と魅力を駆使――知力の天才軍師『諸葛孔明』&魅力の救国の乙女『ジャンヌ・ダルク』となり元の世界に戻るために、兵を率いたり謀略調略なんでもして大陸制覇を目指す!! ……のはずが、女の子同士でいちゃいちゃしたり、襲われたり、恥ずかしい目にあわされたり、脱がされたり、揉まれたり、コスプレしたり、男性相手にときめいたり、元カノ(?)とすれ違ったりと全然関係ないことを色々やってたり。 お風呂回か水着回はなぜか1章に1話以上存在したりします。もちろんシリアスな場面もそれなりに。 毎日更新予定。 ※過去に別サイトで展開していたものの加筆修正版となります。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

異世界に飛ばされた人見知りの僕は、影が薄かったから趣味に走る事にしました!

まったりー
ファンタジー
主人公は、人見知りな占いが大好きな男の子。 そんな主人公は、いるのか分からない程の影の薄さで、そんなクラスが異世界に召喚されてしまいます。 生徒たちは、ステータスの確認を進められますが、主人公はいるとは思われず取り残され、それならばと外に1人で出て行き、主人公の異世界生活が始まります。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す

名無し
ファンタジー
 ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。  しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。

封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。 突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。 しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。 魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。 英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。

処理中です...