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第71話 アリシア動乱 ⑩
しおりを挟むサキ隊長の事をシャイニングナイツのマーテルさんに任せて、ニールとドニを探す為、スラム街の街中を走っている。
王都に来たのは初めてだ、そりゃ道に迷うわな。ここ何処だ?
どの建物もみんな似た様な形をしていて、同じところをグルグルと回っている感覚を覚える。
「迷ったな、これは。」
迷子か、やっちまった。ニールもおそらくは迷っているかもしれない。
まあ、目的地は女神神殿だから、誰かに聞いているかもしれんな。
ニールの事はいい、問題はドニの方だ。
「ドニは盗賊ギルドに向かった筈だよな、参ったな、盗賊ギルドなんて裏社会の組織の場所を聞いたって、誰も答えてはくれないだろう。ここは一つ傭兵ギルドの場所を聞いてみるか。」
うむ、その線でいってみよう、街行く人に声を掛けようと思ったのだが、皆顔が怖い、強面の人ばかりだ。
ええーい、急がなきゃならん、兎に角聞いてみよう。
「すいません、ちょっとお尋ねしたいのですが。」
強面の男の人に聞いてみた、すると以外にも親切に対応してくれた。
「なんだ? 見たところ軍人さんの様だが、何か用か?」
「実は、傭兵ギルドの場所を探していまして、何処にあるのかご存じでしょうか? 良ければ教えて欲しいのです。」
「ああ、傭兵ギルドね、まず大通りに一旦出て、城が見える方へ向かって進んで行くと、デカい建物が見えてくる。そこが傭兵ギルドだ。ここは裏通りだから迷いやすいだろう。大通りに出るんだぞ。」
「はい、どうもありがとうございました。」
強面だが、親切に教えてくれた、聞いてみるもんだな。
やっぱり人を見た目で判断しちゃいかんな。
一旦大通りまで出て、お城がここから見える所まで来た、これをお城方面へ向かえばいいんだな。
よし、向かうか、駆け出して大きな建物を目指す。
(それにしても、なんか知らんが、人が何かざわついているっぽいな、何かあったのだろうか?)
兎に角まず、走った、しばらく進んで行くと、何やら人だかりが見えてきた。
どうやら傭兵ギルドらしい建物の前で、騒ぎになっている様だ。
更に進むと、剣戟の音が聞こえてきた、やはり戦いになっていたか。
アロダントの私兵と戦っているのは、やはり傭兵達だ。みな武装して立ち向かっていた。
そこへ、横から声が掛かった。
「ジャズ! 無事だったか!」
声のした方を見ると、そこに居たのはドニだった。
「ドニ! 無事だったか! 盗賊ギルドの方はどうなった?」
「ああ、心配すんな! もう方は付いた。今はこっちを助ける為にやって来たとこだ!」
「そうか、そっちは何とかなったか。解った、傭兵ギルドの方を支援するぞ!」
「すまん、俺は今着いたばかりでちょっと疲れてる。少し休ませて貰うぜ。今までアロダントの私兵とやり合っていたからな。」
「解った、休んでろ。」
そうか、盗賊ギルドの方は何とかなったか。後はこっちだな、兎に角傭兵ギルドの連中の援護をしよう。
戦場へと突入し、次々にナイフやクナイ、手裏剣を投擲しつつ声を掛ける。
「アリシア軍の者だ! 支援する!」
「おう! 助かる! こいつ等突然襲ってきて進撃やらかしやがって、往生したぜ!」
どうやらアロダントの私兵は無差別に攻撃を仕掛けているみたいだ、なら、容赦しなくてもいいな。
兎に角、目についた敵を攻撃しまくった。数の上ではほぼ互角といったところか。
こっちが支援に入った事により、戦いの趨勢はギルド側に傾きつつあった。
(よし! これで大分アロダントの私兵を倒した。もう残っている奴は少ない。)
闘いの状況はこちらに分がある様に見える。もう支援する必要は無さそうだ。
後は傭兵ギルドの人達に任せればいいな。
しばらくして、アロダントの私兵は壊滅した。傭兵ギルドは潰されずに済んだ様だ。
その時、傭兵の中から一人の男がこちらにやって来て、声を掛けられた。
「あんたすげーな、あんた一人でこいつ等を倒した様なものじゃねえか。よくやってくれた、ギルドを代表して礼を言うぜ。」
「いや、気にしなくていい。こっちも知り合いを助けたかっただけだしな。」
「そうか、あんた、ウチに入らないか? 歓迎するぜ。」
「すまんな、俺は軍人だ。今のところはな。」
「そうか、残念。しかしこいつ等、一体何もんだ? 突然襲ってきやがってよ、見たところ只の堅気には見えんが。」
「ああ、こいつ等はアロダント第二王子の私兵だ。ここを襲ったのも何かの陰謀らしいがな。」
「マジか、だったら許せねえな、アロダントの野郎。」
「だからって王城に殴り込みに行くなよ。アロダントの思うツボだぞ、衛兵に捕まるのがおちだ。」
「解ってるよ、そんな無茶はしねえ。」
ふう~~、やれやれ、この場は何とかなったか。アロダントの私兵もこれで打ち止めらしい。
もう何処からも被害を受けたという噂は聞こえてこない。
(ここはもう大丈夫そうだな、そろそろニールの奴と合流せねば。)
ドニの方へ駆け寄り、声を掛けようと思ったら、なんとそこに居たのはニールだった。
それともう一人、見知らぬおじさんが居た。誰だろう?
「ドニ! こっちは片付いた。それとニール! 無事だったか、女神神殿へはもう行かなくていいぞ。サナリー様はシャイニングナイツのマーテル殿が付いているからな。それと隊長も無事だ、マーテル殿に任せてきた。」
「おうジャズ! 無事だったか! まあお前の事は心配してなかったがよ、こっちも色々あってな。それでだ、驚けよ、なんとこちらにおられる方は、あの第一王子ダイサーク様なんだ。俺はダイサーク王子を守ったんだぜ。俺もよくやったよな。」
(何!? ダイサーク王子だって?)
そちらの方を見ると、そのおじさんは「うむうむ」と頷きながらこちらを見て声を掛けられた。
「よくやってくれたな、おぬし等。スラムの街の治安を維持した事、実に見事。大儀であった。」
「「「「 は、勿体なきお言葉。恐れ入ります。 」」」
どうやら本物らしい、ダイサーク第一王子か、ここに居るって事は、ダイサーク王子も何かの目的があっての事だろうな。
「おいニール、お前さっき「王子を守った」って言ったよな。もしかしてダイサーク様も狙われたのか?」
「ああ、実はそうなんだよ。まあ俺が撃退したがな。この大剣で、お前にも見せたかったぜ。」
「そうか、………ご無事で何よりです。ダイサーク殿下。」
ダイサーク王子は一言「うむ」とだけ言い、その後は何か思案している様子だった。
そして、こう言った。
「アロダントの事はもう我慢ならん。俺が直接出向き、アロダントを処断せねばなるまい。俺は今から王城へと向かう。お前達、良ければ俺の護衛として付いて参れ。」
「「「 は! 」」」
いよいよか、アロダントの居るお城へと乗り込み、奴を何とかする時が来たという事だな。
サナリー様も何か策を講じると仰っておられた事だし、取り敢えずはこのままダイサーク王子に付いて行って、何が起こっているのかを探らないとな。
義勇軍の任務もあるし。これからだな。
こうして、ダイサーク王子と共に、一路、王城へと駒を進める。
外はもう暗くなってきていた。いつの間にか雨も上がっていた。
王城までの距離は大分あった、スラム街から王城がある貴族街の方へ歩いているのだが、ダイサーク王子は千鳥足だったので、歩く速度はゆっくりだ。
護衛しながらの移動なので、あまり無理は出来ない。
王城に到着したのが、もう夜中だった。辺りは暗く静まり返っており、城門の所には人っ子一人居なかった。
「ふーむ、おかしいのう。門番がおらんではないか? どうしたと言うのか?」
城門の方を見ると、確かに門番の人は居なかった。というか、倒れていた。
近づいて様子を確かめたが、既に事切れていた。
「殿下、ここからはお気をつけ下さい。何かおかしいです。門衛が倒れておりました。おそらくアロダントの仕業かと思われます。ご注意を。」
「うむ、護衛の事、頼むぞ。二人共。」
「「 は! 」」
こうして、城門前まで来たが、何やら不穏な空気が漂っていた。
このまま何事も無く、って訳にはいかんよな。やっぱ。
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