おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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第72話 アリシア動乱 ⑪

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  ニールとドニ、それとダイサーク第一王子を伴って、アリシア王国の王都の中心に位置する、王城へとたどり着いた。

辺りは暗く、夜のお城というのも中々風情がある。吸血鬼とかが出てきそうだ。

お城の部屋の明かりがポツポツとあるので、まったく暗いという事でもなさそうだ。

はてさて、これから先何が起こる事やら。

 更に警戒しつつ城門を潜り、お城の方へ向け移動を開始する。警戒は厳だ。

なにせ護衛対象がこの国の王子、しかも次期国王ときてる。まったく油断できん。

ニールと二人、それぞれ左右を見張る。ドニは後方で様子を見て貰っている。

ダイサーク王子が声を漏らす。

「何だ? 何処にも城の衛兵がおらんではないか。おかしいのう?」

「殿下、おそらくですが、何処か一か所に集めて監禁しているやもしれません。事が済み次第、探して解放せねばならないかと。」

「うむ、そうであるな、急ごう。城の玄関はもう目の前だ。」

お城の玄関までは、何の問題も無く無事にたどり着いた。

王子が城の玄関扉の取っ手に手をかけ、扉を開けようとしたが。

「む? 何? 扉が閉まっておるだと? アロダントめ、鍵を掛けよったな。おそらく他の出入り口も鍵が掛かっておるであろうな。」

(ふーむ、扉に鍵か、何か城に入られると困る事でもあるのかな?)

ここはやはり、盗賊のドニに任せてみるか。

「おい、ドニ、お前鍵開け出来るか?」

「錠前破りか? 出来なくは無いが、ここは王城だぜ、いいのかよ?」

「構わん、やってくれなきゃ先に進めない。」

「解った。」

 そう言いながら、ドニは腰にある道具袋から幾つかの「道具」を取り出し、準備に入った。

 城の扉の鍵穴に何かの棒を突っ込み、針金の様な物を使ってガチャガチャと鍵穴を弄っている。

「………すまんが、こういう場面では、こちらを見ないで貰いたいんだが………。」

「ああ、解った。」

王子とニールの三人で後ろを向き、待機した。王子が呟く。

「まさか、自分の家に入るのに、錠前破りを黙認する事になろうとは………。」

「殿下、緊急事態ですので、ここは目を瞑って頂かないと。」

「解っておる、みなまで言うな。」

暫くして、後ろの方でガチャリと一際大きな音がして、玄関の扉が開き始めた。

「開いたぜ。」

ドニがそう一言言って、道具を仕舞い、ことらに向けて返事をした。

「殿下、急ぎましょう。しかし、お気をつけて、何処から敵が襲って来るのか解りません。自分が先行しますゆえ、後から付いて来て下さい。」

「うむ、護衛の事、しっかりと頼むぞ。」

「はい、それとニール、王子の護衛、頼むな。ドニもいざとなったらアイテムでも何でもいいから使って王子を守ってくれよな。」

「おう、任しとけ。」

「ジャズも気をつけろよ、城内は敵しかいねえと思うからよ。」

「おう、じゃあ、先行する。」

扉を開け、城内へと侵入する。

(静かだ、静か過ぎる。)

玄関の中へ入り、ロビーまで進んだが、特に怪しい気配は無かった。

というより、誰も居ない。

衛兵や騎士などの城内を警備する人達が、まったく見当たらない。どうなってる?

「殿下、ここまでは安全です。お進み下さい。」

「うむ、やはりおかしいのう。誰もおらん。普通なら玄関にも人は居るのだがな。どういう訳か?」

「おそらく、アロダントは邪魔をされたくないのではないかと。」

「ふむ、アロダントめ、何を考えておるのだ、あ奴は何がしたいのか………兎に角、まずはアロダントの私室へと向かうぞ、城の5階だ。そこにアロダントの部屋がある。もう夜も遅い、アロダントは寝ておるやもしれんな。」

ふーむ、そうかもしれんが、こういう場合、まずはやっぱり玉座だよな。

「殿下、恐れながら申し上げます。アロダントはおそらく玉座の間にて、殿下をお待ちになっている可能性がございます。」

「何? 玉座の間?」

「はい、こういう場合は玉座の間にて、相手を待っていると相場は決まっているものなのです。」

「ふーむ、そういうものか。では、参ろうか、玉座の間はこの玄関ロビーを越え、通路を進み、階段を上がった2階にある。すぐそこだ、参ろう。」

「「「 は! 」」」

屋内戦か、要警戒だな。どこから来るか解らん。物陰とか要注意だ。

 警戒しながら更に進む。通路には明かりが灯っている、隈なく様子を窺えるが、それは相手も同じ事だ。

もうこっちが城内に入って来た事は、知られている事だろう。

 階段がある所までやって来た、ここまでは障害は無い。すんなりと行けた。

階段を上まで見上げる、特に待ち伏せなどの気配や様子は感じない。

静かな夜だ、音がよく響く。

物音一つしない、こちらの出す音だけが静寂を壊している。

「ここまでは何とか来れたな。ドニ、階段にトラップなどの可能性はありそうか?」

「………いや、俺の勘だが、トラップは無いな、こりゃあ。」

ふーむ、トラップ無しか。このまま進んでも大丈夫そうだ。

しかし警戒は怠らない。ゆっくり慎重に歩いて進む。

あまり足音を立てずに、ゆっくりとした歩幅で進む。

 なんと、何事も無く玉座の間の前まで来れた。

目の前に大きな扉がある、この先は玉座の間だろう。

 多分そこにアロダント第二王子は居ると思う。おそらく裏で糸を引いている奴と一緒に。

「殿下、お覚悟はよろしいでしょうか? この先におそらくアロダントは居ます。」

「うむ、覚悟は決まっておる、アロダントを処断する。もう決めた事だ、抵抗するのならば、その時は………。」

「………参りましょう、ニール、ドニ、ダイサーク様を頼むな。」

「おう!」

「任せろ!」

玉座の間の扉を開け放つ。そして見据える。

 玉座の方を、やはり居た。アロダント第二王子が、しかもその隣には見知った男の姿もあった。

(あちゃ~~、やっぱり黒ローブの男かよ。あれはマグマじゃねえか。あいたぁ~、ホントこの国は黒ローブに人気のスポットが多いんだな。アロダントとダークガードが裏で繋がっているって話だったから、もしやと思ったらやっぱりか。闇の崇拝者かよ。あいたたた。)

 皆で玉座の間へ入り、そのまま進み出る。その真ん中辺りで立ち止まり、皆で相手を見据える。

 玉座は一段高い場所になっていて、アロダント第二王子はこちらを見下ろす形で座っていた。

「アロダントよ、何故お前が玉座に座っておる。いつの間にお前が王になったのだ?」

アロダント第二王子は玉座に座ったまま、話し始めた。

「遅かったですね兄上、待ちくたびれましたよ。」

「何故お前が玉座に座っておるのかと聞いておる、答えよ。」

「私が王だからですよ、兄上。」

「だから、何故と聞いて………、もうよい。アロダント、貴様を拘束する、罪状は、言わずとも解っておるな。」

「何の事ですかな? 私は何も手を汚してはおりませんが?」

「貴様の命令で動いた部下が居るのだ、もう街の噂になっておる。お前はやってしまったのだよ、越えてはならん一線をな。」

「何をたわけた事を、私が王になれば何も問題は無いかと。この国は生まれ変わるのです兄上、もう女神教など必要ありません。」

「何を言っておる。そういう事ではないわ。俺や妹に弓を引いておいて、自分は高みの見物とは、そうはいかぬぞアロダント!」

「兄上を?」

アロダントは隣に居るマグマの方を見て、「貴様か?」と言っていた。

 答えたマグマは「そうです」と、一言言っただけだった。そして、こう、マグマに命じた。

「マグマ、任せる、始末せよ。」

「解りました。」

この言葉を最後に、これから戦いは始まろうとしていた。

 マグマがゆっくりとした足取りで、玉座の所から静かに降りてきた。一歩ずつ、だが確実に。

こちらも、一歩ずつゆっくりとしたペースで歩き、進み出る。

「ここは俺一人に任せろ。みんなは下がっていてくれ。」

「うむ、任せるぞ、ジャズ。」

「しっかりな、ジャズ。」

「ダイサーク様は任せろ、行ってこいジャズ。」

みんなの声を背に、前へと進み出る。

さてと、ここからは正念場だ。一丁いきますか。




















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