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第192話 廃洋館探索任務 ①
しおりを挟む休暇明け早々に軍からの命令が下った、俺達サキ小隊とナナ小隊との合同任務だそうだ。
クラッチ駐屯地内にあるブリーフィングルームに、それぞれの隊員が集まっている。
ニールやリップに会うのも久しぶりな気がするな、みんな元気そうだ。
「よーうジャズ、休暇はどうだった?」
「ああ、まあまあかな?」
「聞いたわよ、ジャズってば色んな所へ出向いて活躍してたみたいじゃない? ちゃんと休めたの?」
リップに心配されるとは、俺ってそんなにワーカーホリック気味なのかな?
俺としてはちゃんと休んだのだが、まあ、動きっぱなしだった様な気がしなくもないが。
ここでサキ隊長が手をパンパンと叩き、注目を集める。
「よーしお前達、静かにしろ。これより任務内容を説明するぞ。いいか?」
みんなは一斉に前を向き、黒板を見つめる。これから説明があるそうだ。
サキ隊長の隣に立っているナナ少尉が指示棒をかざし、黒板に書かれた内容を刺していく。
「みなさんよろしくて? 今回の任務はある廃墟の探索になります。場所はここ、北東の森の奥深く、そこに最近廃墟が発見されたとの事です。」
俺が挙手をして質問する。
「どこからの情報でしょうか?」
サキ隊長が答える。
「冒険者からの情報提供だそうだ、最初、その冒険者たちがお宝を見つけようとして廃墟に侵入を試みたそうだが、建物に巣くっているゴースト系モンスターに邪魔され、あえなく探索を断念したそうだ。」
更にナナ少尉も続く。
「どうも廃墟に巣くっているモンスターは、一筋縄ではいかない様ですわ。なんでも吸血鬼が居たとか、そこで我々に探索任務が任された背景があります。」
ふーむ、吸血鬼というとバンパイアか。大してそんなに強いモンスターではないのだが、油断は出来んな。
仮にも冒険者が探索を失敗して断念したくらいだし、準備はしっかりとしないと。
リップが挙手をして、質問する。
「モンスターのおおよその数はどれ位でしょうか?」
「兎に角沢山だそうだ、スケルトンにゴーストばかりで、ゾンビやグールは居なかった様だが油断は禁物だぞ、リップ伍長。」
「は!」
「それと、未確認情報だが、近隣の村から村娘が攫われた可能性が出てきた。これも我々が捜索する事になった。廃墟の中か、それとも外か、いずれにしても村娘の捜索任務も同時に行う。」
ナナ少尉が指示棒を黒板に当てて、説明を続ける。
「わたくし達はまず、北東の森まで赴き、廃墟を探す、そこからですわ。」
ニールが質問する。
「廃墟の場所は解っていないのでありますか?」
「いえ、場所は解っています。途中まで冒険者と行動を共にし、案内をして頂きます。廃墟に到着したら、我々の出番、という事ですわ。」
俺が挙手し、質問する。
「冒険者の道案内で現場に到着後、自分達でその廃墟を探索する。という任務ですか。あと、村娘の捜索も含めて。」
「そう言う事だ、やる事が沢山あるので、今回の任務は私の小隊とナナ小隊との合同任務となった。以上だ。何か質問はあるか?」
メリー伍長が挙手をして、質問した。
「あのう、バンパイアと遭遇した場合、どうしましょうか? やはり戦うですか?」
あ~、その件があったな、どうするんだろう。
「うーん、バンパイアと言っても決して倒せないモンスターではないが、一体だけとも限らんからな、複数の吸血鬼が確認できたら各小隊が連携を執って対処。それで様子見といったところだ。」
「わかりましたです。」
「他には?」
今度はニールが質問した。
「その、冒険者も任務を手伝ってくれるんんでしょうか?」
「いいえ、冒険者の方々は道案内だけですわ。わたくし達が廃墟を探索している間は、外でキャンプを張り、帰りも一緒に行動する事になっています。」
「な~んだ、手伝ってくれないのか、残念。」
「まあ、村娘がもし外にいるかもしれないので、廃墟の外の探索はして貰えるそうだがな。」
「まあ、それだけでも有難いですね。」
「他に質問は? 無ければ装備課へ行って準備し、グラウンドに集合だ。以上、作業に入れ。」
「「「「 了解! 」」」」
ふーむ、森の中を突き進み、廃墟に到着後に内部の探索、村娘の捜索に吸血鬼退治か。割とやる事が多いな。
まあ、役割分担をすれば対処可能だろうけど。
ブリーフィングルームから解散して、俺達は装備課へ赴き、おやっさんに武器を申請する。
「おやっさん、今回の任務用に武器を用意して下さい。」
おやっさんはにこやかに相槌を打ち、武器を用意してくれた。
「おう! お前等今回の相手はアンデッド系モンスターだそうだな。だったらこいつだ。「銀の剣」、これだろう。こいつならアンデッドモンスター相手にも引けを取らない筈だ。」
「ありがとう、おやっさん。」
銀の剣がみんなの分、用意されていた。中々高価な武器だ。きっとサキ隊長が申請してくれたんだろう。
「それとジャズ、お前さんのいつものナイフ6本セットは普通の鉄製だから気を付けろよ。」
「わかってるよ、おやっさん。」
アンデッド系モンスターには銀製の武器が効果的だ、「銀の剣」は有効だろう。
装備を整え、グラウンドに集合した。サキ隊長は銀のエストック、ナナ少尉は銀のレイピアで武装している。
他には三人組の見慣れない男が居た。あれが今回の道案内役の冒険者だろう。
「みんな、準備はいいか? では紹介する。こちらが今回の道案内をして下さる冒険者の方々だ。」
サキ隊長に紹介されて、三人の冒険者が会釈をし「よろしくお願いします。」と挨拶をした。
冒険者はどこかベテランの香りがする、道案内は任せても良さそうだ。
「準備はいいな? では、出発!!」
サキ隊長の号令で、俺達は基地を後にした。向かうは北東の森。
北東の森はクラッチの冒険者達にとってはいい稼ぎ場になっているらしく、時々色んな事が発見されるらしい。
今回の廃墟発見も、冒険者の手柄だな。まだ見ぬ冒険のロケーションが増えたな。
道中、モンスターとの遭遇はあったものの、俺達の敵では無かった。
だが、「銀の剣」の使い心地を確かめる為、モンスター相手に剣を振り回して感触を確かめる。
うむ、良い感じだ。悪く無い。元々銀の剣は攻撃力が高い武器だ、この辺りのモンスターでは相手にもならんだろう。
冒険者達の装備は普通の武器だ、道すがらのモンスター退治もお手の物だった。
流石は冒険者、戦い慣れている。連携も良くとれているし、俺達が廃墟へ入っている間のビバークも安心して任せておける感じだな。
そうこうしている内に、北東の森へと入っていく。
森の中はモンスターとのエンカウント率が高くなる。ここからは慎重に行動しよう。
しかし、森の奥まで分け入って来た所で、何やら霧のようなモヤが掛かって来た。
「おお~、雰囲気出てきたな。」
「感心してる場合じゃないわよジャズ、この饐えた匂い。いよいよね。」
リップが警戒し、皆も辺りを見回す。
「霧が濃くなって来た、みんな! 油断するなよ!」
「「「 おう! 」」」
冒険者も気合が入っている。俺達も警戒しつつ辺りを見回して様子を見る。
サキ隊長が指示を出し、俺達が報告する。
「状況確認!」
「こちらニール、視界が良くないです、ですがモンスターの気配は無し!」
「こちらジャズ、同じく気配無し!」
「リップ、同じ、気配無し!」
「メリーです、モンスターの匂いはしないです。」
「サキ、先へ進みましょう。」
「解った。全員! 警戒体勢! このまま進むぞ!」
「「「「 了解!! 」」」」
そうして、冒険者の案内で廃墟近くまでやって来たのだが、俺達が見たのは………。
霧が晴れてきた、そして、目の前に現れたのは巨大な屋敷。
「これは、随分と古びた屋敷だな。」
そして、門のところに二体の門番らしき存在。
「ありゃあ………………スケルトン、だよなあ。」
まるで、門番の様に骨モンスターの代名詞、スケルトンが槍を手に立っていた。
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