おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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第194話 廃洋館探索任務 ③

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 古い屋敷の玄関ロビーへと案内された俺達は、そこで面食らった。

「「「 ようこそいらっしゃいました、お客様。」」」

整列したゴーストだ、メイド服を着たゴースト達に出迎えられた。

壮観な眺めではあるが、床などを見るとおびただしい数の人骨が転がっている。

玄関ロビーから奥の廊下まで、無数の人骨が打ち捨てられている。

「ここで一体何があったんだ? 尋常じゃない数の人骨が転がっているが。」

俺が尋ねると、スケルトンは声を落とし答えた。

「それを知るにはまず、主様にお会いしてから尋ねるといいだろう。」

「お前は知らないのか?」

「………………知っている、だが俺が話す事じゃない。」

ふーむ、何かあった。という事だな、まあこの屋敷の主とやらに会えばわかる事か。

ニールが声を震わせつつ辺りを見回している。

「な、何だよこの数の骨は。」

リップも続く。

「床一面に転がっているわ、ここだけじゃなさそうね。」

「おいおい、この屋敷全体がこんな感じなのか?」

「さあ? 一応歓迎されているみたいだけど、用心はした方がいいわね。」

ニールとリップの会話は、サキ隊長とナナ少尉にも何かを感じさせている様だ。

「確か、男爵家と言っていたな、ナナ、何か知らない?」

「う~ん、ちょっと解らないですわ。この辺りに屋敷がある事自体初耳ですし。」

と、ここでメリー伍長が何かの匂いを嗅ぎつけたみたいだ。

「あ!? この匂い。生きている人の匂いがするです。」

「本当ですか? メリー伍長。どこら辺ですか?」

「うーん、何かの食べ物の匂いと一緒にするです。」

 ふーむ、ここにはスケルトンやゴーストだけでなく、生きている人もいるという訳か。

案外、捜索を頼まれた村娘かもしれんな。まだ解らんが。

「さあ、皆様、こちらへ。この屋敷の主様がお待ちです。」

 スケルトンに促され、俺達は階段を上がり廊下を進み、豪華な扉の前まで案内された。

スケルトンは扉をコンコンとノックして、俺達が来た事を伝える。

「主様、お客様をお連れしました。」

「入って貰え。」

「はい。」

一連のやり取りを聞いて、扉を開くスケルトン。部屋の中へと促される。

サキ隊長が俺達を代表して挨拶する。

「お招き感謝します、突然の訪問で恐縮です。」

 執務室に案内された俺達は、椅子に座るスケルトンを見たが、門番の奴と区別出来ないなと思う。

そして、こいつもまた喋るのだ。

どうなっているんだ? ここのアンデッド系モンスターは?

床一面に転がっている人骨と、スケルトンやゴーストと何か関係があるのは解るが。

まあ、まずは屋敷の主に訊いてみるか。

「お初にお目に掛かります、自分達はアリシア軍の者です。」

「初めまして、私は生前は男爵家の跡取りでしてね、過去の男爵は既に亡くなっております。ほら、そこに人骨があるだろう。その二体の人骨が父上と母上だ。ちなみに二人共とっくに成仏している。」

ふーむ、成仏している者もいるのか。じゃあ、この人は?

「失礼ですが、貴方は何故、成仏しないのですか?」

ナナ少尉が尋ねると、目の前のスケルトンは俯き、声を落として話した。

「それを語るには、時間が必要です。まずは皆さんを休める部屋へ案内いたします。」

サキ隊長が言葉を掛ける。

「我々はこの屋敷を探索する任務を帯びています。どうか、我々のこの屋敷の自由な行動の許可を頂きたい。」

「それは構いませんが、何もありませんよ。」

あっさりと許可が出た。

「ありがとうございます、では、暫くの間ここに滞在します。」

「解りました。門番、この方々を部屋へ案内しなさい。」

「はい。主様、では皆さん、こちらへ。」

こうして俺達は、この屋敷の自由な行動を許可された。まずはここからだな。

 部屋へ案内されている最中、スケルトンが頻りに話しかけてきた。

「いや~、会話なんて久しぶりだからつい嬉しくなっちまうな。飯は食ってくのか?」

「飯? 出るのか?」

「当然だろう、あんた方は客人として招かれた訳だし。俺も久しぶりに旨い酒にありつけるってもんだ。」

「酒って、お前骨だから飲んだら駄々洩れじゃないか?」

「いやーそいつがどっこい、ちゃんと飲めるんだなーこれが。」

マジか?

どうなってんだ?

「お前以外に喋るスケルトンはいるのか?」

「さっきゴーストの歓迎の挨拶を聞いただろう? 奴らは喋れる。だが、スケルトンとなると俺と主様以外喋れないと思うぜ。」

ふーむ、主とコイツは喋れる訳か。あとメイドゴーストも。

「ネームドモンスターか?」

「いや、名前はねえ。」

「じゃあ何で喋れるんだ?」

「解らん。」

「何で酒が飲めるんだ?」

「知らん。」

おいおい、どうなってんだよ。

この屋敷、只の廃墟じゃないって事か?

それとも、何か特別な訳があるのか?

いずれにしても、ここでの探索次第って事だろうな。

なるほど、道理で軍に依頼が来る案件な訳だ。さっぱり解らん。

 部屋へと案内された俺達は、ここで話し合う事にした。

サキ隊長が零す。

「なんとも奇妙な屋敷だな。」

「そうですね、モンスターも襲っては来ないですし。」

何か理由があるから、成仏出来ないんだろうけど。

「ジャズ少尉、どう思う。」

「そうですねえ、門番もですが、屋敷の主も友好的かと思います。モンスターという感覚がしませんね。どちらかと言うと生前の頃の面影がそのままアンデッド系モンスターになったって感じですかね。」

「そうだな、私もそう思う。」

ニールも話に加わる。

「ここで何かがあったって事は解りますが、うーん。何でしょうね?」

「それも含めて、わたくし達は探索するという事ですわ。サキ、自由な行動の許可は下りた訳ですし、動きましょう。」

「そうだな、そう言えばメリー伍長、生きている人の匂いがすると言っていたな。」

「はいです、屋敷の一階からしますです。」

「よし、じゃあメリー伍長とリップ、ニールと私でそちらの探索をする。ナナとジャズはもう一度屋敷の主の所へ行って、ここの屋敷に人骨が大量にある訳を探ってきてくれ。」

「「「「「 了解。 」」」」」

「それと、大丈夫だと思いたいが、万が一襲われたら応戦しろ、いいな。」

「はい。」

「わかってますわ。」

よし、ここで二手に分かれて行動する訳か。

「ニール、ヘマするなよ。」

「お前こそ。」

軽口を叩きながら、俺達はそれぞれ行動を開始した。

「じゃあ、行きましょうか。ナナ少尉。」

「ええ、ジャズ少尉。当てにしてますわよ。」

「出来るだけやってみますよ。」

ふーむ、ナナ少尉と二人で行動するのは初めてだな。

てっきりサキ小隊とナナ小隊で別れて行動すると思っていたが、はてさて。

部屋を出ると、先程の喋るスケルトンが立っていた。

 よし、ついでにこいつに来てもらおう。何か話している内に情報を聞き出せるかもしれないからな。

「なあ、あんた。一緒に来てくれないか?」

「何だ? 俺と一緒じゃなきゃ寂しいってか? いいぜ。どこ行くんだ?」

「屋敷の主の所だ、そこで詳しく状況を訊こうと思ってな。」

「ああ~~、やっぱ気になるか。ここがこんな状態になってる事が。」

「当たり前だ、その為にここまでやって来たんだからな。」

何がどうなったにせよ、説明は欲しいところだな。

さて、まずは屋敷の主の下へ行って、話を聞いてきますか。

喋るスケルトンと一緒に。
















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