人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第十章

剣を直すのに必要なもの2

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「んん……あれ?」

 熱気と金属を叩く音。
 それで圭は目を覚ました。

 二回目なので今度はどこだろうと思ったのも一瞬であった。
 いま圭は横になっていて背中にシャリン、お腹に人型フィーネがくっついている形になっていた。

 布団入らずな暖かさではあるのだけど寝返りも打てないのが弱点である。
 シャリンもフィーネも圭に潰されたぐらいではものともしないが潰してしまうのも可哀想である。

 ただシャリンもフィーネも実は圭に乗っかられるの大歓迎だったりしていた。

「おう、呼び出して悪いな」

 金属を叩く音が止み、ジュッと熱いものを水につけた音が聞こえた。
 そしてイスギスが顔を覗かせた。

「二人とも起きるぞ……あれ?」

 シャリンとフィーネを起こして圭も起き上がる。
 ちょうど圭が寝ているところの床にマットが敷いてある。

「前の時にそこに呼び出されるって分かったからな。どうにもお前が寝ている時じゃないと呼び出せないみたいだしいちいち床だと申し訳ないからな」

「ありがとう」

「これぐらいなんてことはないさ」

 ワイルドそうな人に見えて細やかな気遣いもできる。

「ただ今日はお酒抱えてないぞ?」

「それは残念だ」

「だけど……」

「おっ?」

「あっ、あったあった」

 前に言われたようにお酒でも持って来れたならと圭も思った。
 剣を直してもらうのは約束なので別に負担に思うこともないのだけど感謝の気持ちはある。

 お酒ぐらい持っていってあげられるならという考えがあったのだが、就寝時にお酒を抱えて寝られるような器用さは圭になかった。
 そこで一つ作戦を考えた。

 身につけているものが一緒にこちらに来られるのなら別の方法でも持ち込めないものかと思いついて圭は亜空間の収納袋を身につけて見ていた。
 圭がポケットに手を入れると亜空間の収納袋が入っていた。

「えっと……ほら!」

 収納袋に手を突っ込んで中からお酒の瓶を取り出す。
 やはり予想通り収納袋に入れて持ってくることはできた。

「おぉ~!」

 酒瓶を見てイスギスが嬉しそうな顔をする。

「この世界はなかなか難しくて酒も捧げてくれるような存在がいなきゃ手に入れにくくてな」

 圭から酒瓶を受け取ったイスギスは早速近くにあったコップにお酒を注ぐ。

「かぁ~! いいねぇ!」

 ぐっとお酒を飲み干してイスギスは笑顔を浮かべる。

「それで今日はなんだ? まさかもう完成したのか?」

 前回呼ばれてからまだ数日しか経っていない。
 お酒が欲しくて呼んだとも思えないし、それならばラクスの剣が直ったのかと思った。

「いや、まだ直ってないんだ」

 イスギスは申し訳なさそうな顔をして首を振る。

「じゃあどうして?」

「ちょっと問題があってな」

「この剣だが……」

 ラクスの剣と刃のカケラはテーブルの上に広げられた布の上に置いてあった。

「かなり特殊でな。神の力が宿ってる上に使われてるのもただの金属じゃない。刃は揃ってるがちょっとずつ欠けた金属もあるみたいで力を損なわず間を埋めるためには特殊な素材が必要なんだ」

「特殊な素材……」

「もっと正確にいえば特殊な金属、あるいは金属質のモンスター素材ってところだな。リスト作っといた」

 イスギスが圭に手書きのリストを手渡した。

「ちょっと手伝ってもらって書いたんだが……下手ですまないな」

 書いてある文字はちゃんと日本語であった。
 イスギスは異世界の神であり、いま意思の交流ができているのも神の空間だからというご都合主義的なものである。

 実際に言葉は通じていないが言葉に込められた意思が互いに理解できるから言葉として理解できているという不思議な状況なのだ。
 だからイスギスは日本語を話してる訳ではない。

 もちろん日本語なんて書けはしないのである。
 しかしリストを作るに当たって自世界の言葉では圭はおろか誰に解読できない。

 だからイスギスはこちらの世界の神に手伝ってもらってリストを作っていたのであった。
 ややワイルドな文字であるけれど見た感じ普通に読める。

「キリジャンのツノ……ルードガンダラフの背中の鱗……」

 適当にリストを眺める。
 知らないモンスターの知らない素材が並んでいた。

「良い素材ほど剣の仕上がりも良くなる。すまないが素材を手に入れてくれないか?」

「……なんとか探してみるよ」

 今や圭もB級覚醒者である。
 あまり目立たないように活動しているのでお金を派手に稼げてはいないがある程度のモンスターなら相手にすることもできる。

 リストの中から一つぐらいはモンスターも見つけられるだろう、そんなことを思っていたのであった。

 ーーーーー

「…………ない」

 気づくとリストを抱えてベッドの上に戻っていた。
 またしても夜中の時間だったのでもう一眠りして圭はリストにあったモンスターのことを調べ始めた。

 パソコンを使って一つずつモンスターの名前を調べたのだけど素材を見つけるどころかモンスターすらヒットしない。

「もしかしたらこの世界での名前が違うのかもしれないねぇ」

 夜滝が淹れてくれた紅茶を圭に差し出す。

「そっか……そんなこともあるのか」

 モンスターの名前は圭のような特殊な鑑定スキルでもない限り初めて見つけた人や覚醒者協会などが命名する。
 リストにあるモンスターもイスギスでの世界の名前でこちらの世界での名前が違う可能性があると夜滝は思った。
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