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第四章

大王ゴブリン戦1

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「ここはなんだ?」

「何かの……廊下かねぇ」

 ゴブリンがわんさかいる。
 そんな想像をして入ったけれど中は思いの外厳かな雰囲気があった。

 圭たちが出てきた先は石造りの廊下だった。
 まるでお城の中のような綺麗な廊下で等間隔に松明が設置されていて煌々と燃えている。

 ゲートの外はまだ明るかったのに中は松明がないと辛いぐらいには暗い。

「一方通行か」

 目の前の廊下は先に伸びている。
 後ろにはゲートがあって進むことはできないので実質的に前に進むしかない。

 妙にひんやりとした空気の中を進んでいく。

「外……見えないねぇ」

 ガラスも何もない枠だけの窓を覗き込む。
 何か馬車の情報が分かるかと思ったけれど廊下の外は濃い霧に覆われていた。

 少し不安になるほど濃くて全く周りの様子を窺い知ることはできない。
 進んでいくと広い部屋に出た。

 天井は高く、まるで体育館ぐらいの広さがある。
 そして正面に大きな玉座。

 その上には大きなゴブリンが偉そうに座っていた。
 頭に古びた王冠のようなものを乗せていて、大きな剣を持っている。

『大王ゴブリン

 Eランクモンスター。生き残ったゴブリン特殊な進化を遂げたもの。力が強くなり他のゴブリンよりも強く、長く生き残ることで知恵も身につけた。ゴブリンたちのボスであり周りのゴブリンたちは大王ゴブリンに従うしかない。
 魔石は大きいが所詮はゴブリン。味としては少しマシな程度である』

「あれが大王ゴブリン……」

 Eランクということは等級に直すとD級になる。
 格上の相手。

 大王ゴブリンは圭たちをジッと見つめるとニタリと笑ってゆっくりと立ち上がった。

「デカいな……」

 座っていても大きいことは分かっていたが立ち上がるとさらにデカい。
 身長としては2メートルほどはあるだろうか。

 手に持っている剣も小柄な波瑠ぐらいの大きさもあって圭たちなら簡単に切り裂いてしまいそうだ。
 静かで落ち着いていた空気にピリピリとしたものが混ざる。

 大王ゴブリンから放たれる殺気が肌に刺さるようだ。

「来るぞ!」

 大王ゴブリンが圭たちに向かって大きく飛び上がった。
 持った大きな剣を先頭にいるカレンに向かって振り下ろす。

「んなもん当たるかよ!」

 分かりやすい一撃なのでわざわざ受け止めるまでもない。
 カレンが横に跳んでかわすと空を切った剣が床に激突する。

 石造りの床が砕け散ってその破壊力がうかがえる。

「こっち向きな!」

 カレンが大王ゴブリンに向かって魔力を放ち注意を引く。
 その間に圭と波瑠で大王ゴブリンを左右から挟撃する。

「やっ!」

 力は強いようであるが動きはそんなに速くもない。
 圭と波瑠の攻撃を防ぐこともできずに大王ゴブリンの体が切り裂かれる。

「固いな!」

 しかしその傷は全く致命傷たり得ない浅いものであった。
 ゴブリンだろうという感覚で切ったのだが思っていたより体が固い。

 もっとしっかりと力を込めないと刃が深く食い込まずダメージを与えられない。

「ふっ!」

「カレン!」

「大丈夫。これぐらい」

 横降りの大王ゴブリンの剣を受け止めてカレンが大きく押される。
 力としてもカレンよりも強い。

 けれど連続した攻撃でもなく一撃ずつなら上手く力をいなして受け切ることはできた。

「くらえ!」

 攻撃した直後の隙を狙って夜滝が魔法を放った。
 ドリルのように渦巻く水の塊が大王ゴブリンに襲いかかる。

「ほぅ……」

 大王ゴブリンは剣を盾のようにして魔法を防ぐ。
 意外な知恵を見せてきた大王ゴブリンに夜滝も思わず感心してしまう。

「おっと!」

 魔法を防いでいる間に波瑠が後ろから大王ゴブリンの背中をナイフで突き刺すが大王ゴブリンはそれも意に介さないで振り返りざまに剣を振る。
 波瑠は軽くかわしたけれど体の大きな大王ゴブリンと波瑠の相性は悪そうだ。

 ひとまず無理な攻め方はしない。
 ヒットアンドアウェイで様子を見ながら攻撃を加えていく。

 外にいる重恭を思えばあまり時間もかけられないが焦って攻撃するのもリスクが高い。
 しっかりと相手を観察して適切に戦うことが結果的に早く安全に相手を倒せるのだ。

 大王ゴブリンの攻撃力は高い。
 カレンが盾で受ける以外にまともに攻撃を受ければひとたまりもない。

 剣も大きいために攻撃範囲も思ったよりも広く攻撃そのものの速度も侮れない。
 一方で攻撃の回転というか攻撃が大きいためか次の攻撃に移るまでの速度はそんなに速くない。

 防御はやや甘い。
 夜滝の魔法など破壊力の高そうな攻撃は優先してガードするがそれ以外の攻撃に関しては無視して動くことも多い。

 特に波瑠の攻撃はほとんど気にかけていない。
 回復力も結構高い。

 最初の一撃で切り裂いた傷はもう塞がっていた。

「やっぱり夜滝ねぇの魔法かな」

 ちまちま攻撃しても効いている気配がない。
 攻撃力の高い一撃でなければ効果が薄い。

 となると夜滝の魔法が1番効果的である。
 どうにか大王ゴブリンの気を逸らして夜滝の魔法をぶち当てたいものである。

 しかし夜滝が魔法を使おうとすると圭やカレンの攻撃も無視して防御されてしまう。
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