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第四章

大王ゴブリン戦3

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 腕で魔法を防御した大王ゴブリンであったが傷付けられた両足が痛んで踏ん張りがきかず後ろに倒れる。

「痛えじゃねえか!」

 吹き飛ばされはしたけれど盾で受けたので大きなダメージはなかったカレンが怒りの表情を浮かべて床に手をつける。
 再び大地の力を発動させて大王ゴブリンの体を拘束する。

「あんまり長くは持たないぞ!」

「少しで十分だ!」

 圭はすでに剣を振り上げながら飛び上がっていた。
 狙うのは王冠。

「食らえ!」

 圭は真っ直ぐに剣を振り下ろした。
 王冠に剣が当たって一瞬火花が散った。

 甲高い音を立てながら王冠が真っ二つに割れる。
 そして勢いのついた圭の剣はそのまま大王ゴブリンの頭に達する。

 思いの外軽い感触に圭は驚いた。
 大王ゴブリンはゴブリンにしては肉質が硬くて切るのにも苦労した。

 ましてや頭など頭蓋骨があるので硬いところの代表みたいなものである。
 なのに普通のゴブリンの体ぐらい簡単に頭も切り裂いて、剣が床に突き刺さってしまった。

『シークレットクエスト達成!』

 4人の前に表示が現れる。

『貢献度
 1位村雨圭
 2位平塚夜滝
 3位八重樫カレン
 4位弥生波瑠

 ヒドゥンピースの条件達成!』

「えー! なんでー!」

 貢献度というものが現れて波瑠がなんで自分が4位なのかと不満そうな声をあげる。

「なんだ、ヒドゥンピースって?」

 貢献度も謎なのであるが表示の最後に現れたヒドゥンピースの条件達成というのも意味が分からない。

『シークレットクエストの達成報酬を配布します』

「達成報酬……うおっ!」

 急に圭の前に光がさした。
 そしてその中に宝箱が現れる。

 見ると他の3人の前にも光がさしていて、その光の中に宝箱が現れている。
 圭は恐る恐る宝箱に手を伸ばす。

 宝箱そのものを取ろうとしたけれど宝箱は動かない。
 なのでそっと宝箱を開いてみると音もなくスッと宝箱の蓋が開いた。

「鍵……?」

 圭の宝箱の中には二つのものが入っていた。
 一つは鍵だった。

『□□□の鍵

 □□□への入り口であり、出口である。』

「えっ、説明これだけ?」

 真実の目で見てみたけれど説明の一部は伏せられているし説明文そのものも一文だけしかない。

「うーんまあいいか」

 とりあえず精査するのは後回し。
 鍵をポケットに入れてもう一つ箱の中に入っているものに目を向ける。

「剣の柄か?」

 鍵の横にあったのは剣の柄であった。

『折れたラクスの剣

 女神ラクスの力が宿りし剣。
 かつていたラクスの代理者が使用していたものであるが悪魔との戦いで剣は折れてしまった。
 強い神性を宿していて悪しき力を払う効果がある。
 使用者の幸運によって発揮できる力が変わる。
 
 剣が折れてしまっているために本来の性能を発揮することができない。
 神が作りし武器であり品質は非常に高く魔力の流れや魔法を補助してくれる。

 適性幸運等級:A
 必要幸運等級:C』

 取り出してみると本当にほとんど柄だけであった。
 本来あっただろう刃は根元にわずかに残っているのみで武器としてはとてもじゃないが使い物にならなそう。

「うーん……」

 真実の目でも見てみたけど折れていて効果が発揮できないとあるし良いものであるのか圭には分からない。
 ほとんど刃もない剣をどうしろというのだ。

 鍵と折れた剣。
 使いどころも分からない二つの物を手に入れて圭は困惑していた。

 中のものを取ると宝箱と光がパッと消えてしまう。

「あっと……みんなはどう? ケガとかもないかな?」

「私は平気だぞ!」

 目の前に現れるものだから先に宝箱を確認してしまった。
 夜滝たちの状態も確認する。

 多くの攻撃をカレンが引き受けてくれたのでカレンの様子をちゃんと見ておくけれどピンピンとしている。
 夜滝と波瑠もケガはない。

「何が出てきた?」

「私はこれだ」

「なにこれ?」

「知らん」

 カレンが持っていたのは石だった。
 手のひらぐらいの大きさの石で持っているカレンもそれを見ている波瑠も不思議そうな顔をしている。

「えーと」

 しょうがないので圭が真実の目で鑑定する。

『ミスリル鉱石

 純度の高いミスリルが多分に含まれた鉱石。
 ドワーフのチビも欲しがるほどの一品』

「ミスリル鉱石……だって」

「ミ……うおっ、あぶねっ!」

 驚いてカレンがミスリル鉱石を落としかけた。
 ミスリルはゲートや塔などで採れる金属であり、地球上には存在していない。

 魔力との親和性が高く、覚醒者用の装備を作るのにうってつけの素材である。
 しかしこれまでの産出量は少なく、非常に高価な金属として取引されているのであった。

 ミスリル鉱石なのでミスリルそのものではない。
 けれどちゃんとミスリルを取り出せばそれなりの量が取れそうだ。

 ただの石にも見えるけれど金塊を手にしているようなものである。
 特にカレンは鍛冶職人である。

 一度は加工してみたいと思っていた。

「むっっっっちゃいいもんじゃん!」

 カレンは興奮に頬を赤らめてミスリル鉱石を掲げる。

「2人は……おっ?」

 カレンがもらったものが良さそうなものであることは分かった。
 夜滝と波瑠は何をもらったのかなと思っていたら急に地面が揺れ出した。

「そうか、ここもゲートだったな」

 大王ゴブリンが倒されたからゲートは攻略された。
 そうなると後はゲートは崩壊して消滅するのみである。

「とりあえずここから出よう!」

 確認は後回しにして圭たちはゲートに向かって走り出す。
 揺れが大きくなり始めて走りにくいがゲートの中が崩壊する前に外に出なければならないのでなんとか走り続ける。

 天井も割れ始めてパラパラとホコリが落ちていく。

「飛び込め!」

 大王ゴブリンがいた部屋が崩壊する音が聞こえてきた。
 圭たちは最初入ってきた時よりも小さくなっているゲートに飛び込んだ。
 
 ゲートに飛び込む前、窓の外の霧が晴れてボロボロになった町が圭には一瞬だけ見えたのであった。
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