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第四章

モンスターイータージャパニーズ3

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「食堂とはまた違う家庭感がクセになるな」

 最初こそ協力を渋っていた新徳であったがサハギンが思いの外美味しく、圭がまともに料理ができると分かってからは普通に夜滝の研究室でご飯を食べていくようになった。
 料理に必要だといえば経費で色々買うこともできたので作る料理もちょっと豪華。

 焼いてみたり煮てみたり、出汁を取ったり乾燥させてみたりと作ろうと思えば色々な調理法がある。
 火を通した段階や煮汁などの毒性検査も行ってサハギンの危険性は低いことも分かった。

 今日はサハギンの背中側の身の煮付けである。

「美味いもんだ。鯛の煮付けに近いな。こうやって煮付けにすれば泥臭さも気にならない」

 夜滝はグルメだなんていうけれど新徳は圭の料理も美味いと言って食べてくれる。
 味の感想は細かくて、ハッキリと言う方ではあるが圭にとっては参考になるからありがたい。

「小さな魚と違って小骨なんかも気にしなくていいから食べやすさもある。俺はサハギンがこれからの食の一部を担ってもいいような気がするな」

 食べ方も綺麗であるしいただきます、ごちそうさまも欠かさない。
 見た目だけなら多少雑な人かと思っていたけれどとても丁寧で好感の持てる人であった。

「これなら食堂から声がかかるかもしれないな」

「えっ、それは困るぞ。私の助手君だからね!」

「俺に言うな」

「でも食堂の人ってみんなちゃんとした経歴の方なんですよね?」

 圭の料理が美味いと言っても所詮は家庭料理レベルである。
 ちゃんと料理人として経験を積んできた食堂の人たちとは比べるのも失礼である。

「そうだが正直負けてもないぞ。何がプロで何がアマチュアかは経歴が決めるものじゃない」

「なーぜ私の助手君を食堂に引っ張ろうとしてるんだい?」

「まあ別に調理担当まで全てってことじゃないさ」

「……どういうことですか?」

「基本的にモンスターを扱えるのは安全上の都合から覚醒者だけだ。許可を取れば一般人でもその限りではないがRSIみたいな大企業なら特に気を使う」

 昔は法的な整備も進んでおらず一般人と覚醒者の境は曖昧だったり過剰に分けられていたが今は大分そうした整備も進んでいる。
 モンスターを扱うのも危険が大きいために基本的には覚醒者が取り行うことになっている。

 けれど大きなモンスター解体工場で全員を覚醒者で揃えたりすることも実質的には不可能なので管理責任者を置いて一般人がモンスターを解体することもあったりする。

「サハギンが実際に食えるものとなって食堂なんかで扱おうと思ったら多分解体できる人が必要になる。村雨君なら覚醒者だし解体も出来る。食堂から声がかかるかもしれない」

「なるほど……」

「望むならそのまま厨房にも立てるかもしれないし、もしかしたら解体だけやってくれなんて話になるかもしれない。あくまでも予想の話だ」

 軽く笑って新徳はサハギンの煮付けを食べる。

「許さないぞぉ……」

「分かってるよ。俺も夜滝ねぇの助手辞めるつもりはないから」

「まあ声がかかればバイト感覚で解体だけでもやってみるといい。この会社は食にも力入れてて食堂の給料は結構良いからな」

「分かりました、ありがとうございます」

「それとなんだが……」

「はい?」

 少し照れくさそうな表情を浮かべる新徳。
 なんだろうと圭は首を傾げる。

「この煮付け……もうちょっと作ってくれないか?」

「そんなことでしたらいくらでも」

 どうやら新徳はサハギンの煮付けが気に入ったようであった。
 こうして新徳の協力もあってサハギン料理を色々と試した。

 そのまま焼いてみたり照り焼きにしたり揚げてみたり蒸してみたり。
 こうしたレポートを夜滝が上に提出すると食堂の人たちからお声がかかった。

 実際に圭がいくつか料理を作って振る舞ってみると食堂の人たちの反応も上々であった。
 正式に圭にはサハギン捌きとアドバイザーとしての要請があって週に何回かサハギンを捌く仕事を請け負うことになった。

 そしてひっそりと裏で手を回した新徳のおかげで圭のサハギンの煮付けは日替わりメニューの一つとなり、レシピ料まで支払われることになった。
 ただ新徳は時々夜滝の研究室に来て圭に煮付けを作るように頼む。

「あの家庭感は食堂じゃ出ないんだよ」

 そう言ってお願いされては圭も断れず夜滝の研究室で煮付けを作っては新徳に提供しているのであった。
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