人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
204 / 515
第四章

やはり塔は謎である4

しおりを挟む
 四階へのエントランスに着くまでにまたウルフに襲撃された。
 弱いけれど感覚が鋭くて多少遠くからでも集まってくるからめんどくさい。

 みんなでそれを身をもって感じていた。

「やっぱりシークレットもないしさっさと倒してしまいたいねぇ」

 強くはないので戦うことに関して困りはしないが常に来るかもしれないと警戒しているのも精神的に疲れてしまう。
 シークレットクエストがないのならこの階は通過点に過ぎない。

 圭たちはウルフのリーダーを探し始めた。
 ただ今回はいない可能性というのもあるので時間を決めて見つからなければ日を改めることは話し合っておいた。

「確かに狩場としては良さそうだな」

 適当に歩くだけでウルフが寄ってくる。
 試練をクリアしたいと思うと煩わしいけれど何もしなくてもウルフが来るので狩りをしたいなら効率はいい。

 ウルフの単価は安いが数が稼げるので根気強く狩りを続ければ多少の稼ぎになりそうだ。

「声が聞こえるな」

 時々フィーネにウルフの魔石を与えつつ塔の三階を探索していると声が聞こえてきた。
 一応声の方を確認しに行く。

 興味本位ではなく狩場が重なっていたりすると怒る人もいるので確認するのである。
 これもまたマナーのようなものである。

「逃すな!」

「そっち追い込め!」

 少し離れたところで覚醒者たちがウルフと戦っているのが見えてきた。
 4人パーティーの覚醒者で対するウルフは倍の8体。

「なんかあれデカくね?」

 圭たちが戦ってきた中で最大の群れは5体だったので群れの規模としてはこれまでの中で1番大きい群れである。
 その中でも気になったのは体の大きなウルフが1体群れの中にいるのだ。

「あれがウルフのリーダーだ」

 大きな群れを率いる大きな体のウルフ。
 探していたウルフのリーダー個体である。

『ウルフ

 鋭い牙や爪を武器とする四足歩行の獣。
 知能は高くないが長く生きた個体ではそれなりに狡賢くなることもある。
 単体での戦闘能力は高くないが群れを成して襲いかかってくることもあるために油断はできない。
 弱者には強く出る一方強者には弱いので上手く環境を整えれば飼育することもできる。
 魔石の質は悪い。不味い。良い肉を食わせて育てたやつはちょっとマシだったけれどあまり食べることはおすすめしない。

 ウルフの群れを率いるリーダーである。』

 念のため真実の目で見てみると確かに体の大きなウルフはリーダーであった。

「そういえば……」

 なぜか知らないけれど魔石のグルメ情報も真実の目では出てくる。
 誰の感想なのか知らないけれど魔石が美味いか不味いかを教えてくれている。

 フィーネもウルフの魔石は微妙と言っていた。
 もしかしたら意外とこの魔石情報は正しいのかもしれない。

「それでどうするの?」

 覚醒者たちがウルフのリーダーと戦っていることはわかった。
 貴重な3体のうちの1体。

 圭たちも倒したい相手であり、倒されてしまうと日を改めなくてはいけなくなるかもしれない。
 だからってウルフのリーダーを横取りするのもマナー違反だ。

「素直に声かけてみよう。すいませーん!」

 こうした時には助け合いの精神である。
 見たところ日本人の覚醒者だったので圭は声をかけてみた。

「誰だ!」

「俺たちもウルフのリーダーを探していまして、倒すの手伝ってもいいですか?」

 圭たちはウルフのリーダーを倒して試練をクリアさえ出来ればいい。
 他の人が戦っているウルフのリーダーでも共闘して倒せれば試練はクリアになる。

 そのためにめんどくさく思う人の中には覚醒者を集めて一気に塔をクリアしていくツアーみたいなものもあるらしい。
 ともかく向こうの覚醒者たちが許してくれるなら一緒に戦ってウルフのリーダーを倒したいと思った。

 相手はいきなり声をかけてきた圭の提案に迷うような顔をした。
 その間にもウルフは覚醒者たちを取り囲んで襲いかかっている。

 狩りをしているにしても塔の試練に挑んでいるにしてもウルフを相手にできるだけの実力はあるのだろう。
 けれど流石に倍の数のウルフがいると厄介度は高い。

「こっちはウルフのリーダーだけ倒せればいいので!」

 横から参加して魔石なんかを持っていくつもりはない。

「じゃあ助太刀頼む!」

 圭の言葉を受けて覚醒者たちのリーダーっぽそうな人が大きく頷いた。
 相手としても助けてくれるのならその方が楽に戦える。

「行こう! フィーネ、隠れてるんだよ?」

「ピピ、ワカッタ」

 向こうの許可も得られたので圭たちは武器を手にウルフの方に走り出す。

「来い!」

 カレンが魔力を放ってウルフを挑発する。
 こうした行為も慣れてきて、上手く魔力を調整してウルフ全てを挑発するのではなく半分の4体に向けて魔力を放った。

 上手くカレンの挑発が成功して4体のウルフの視線が圭たちの方に移る。

「ラァッ!」

 飛びかかってきたウルフをカレンがメイスで叩き落とす。
 防御力も低いウルフの頭はカレンの力によって砕けて絶命する。

「やっ!」

 波瑠が素早くウルフの間に突っ込んでいってナイフを振るう。
 1体は首を、もう1体は足を切り裂いてそのまま駆け抜けて離脱する。

 足を切り裂かれたウルフはバランスを崩して地面を転がる。

「おりゃ!」

 圭が残る無事なウルフに切りかかる。
 初撃はかわされたけれど、そのまま大きく足を踏み出して追撃。

 ウルフの胴体を大きく切って倒した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

処理中です...