人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第五章

薫、怒りの決戦!3

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「グフっ!」

「カレン、薫君!」

 正面から拳が迫ってカレンはなんとか盾を構えた。
 しかし踏ん張りが効かずに吹き飛ばされてしまう。

 後ろにいた薫がカレンを受け止めようとしたけれど力が足りなくて2人で転がっていく。

「うっ……すまねえ、薫」

「僕は大丈夫です! カレンさんの方こそ……」

 あまりに攻撃の衝撃が強くてカレンの鼻から血が垂れていた。

「これぐらい大したことない」

 カレンは手の甲で鼻血を拭うと立ちあがろうとした。
 カレンの離脱を圭がなんとかフォローしてくれている。

 早く戻らなきゃいけないとカレンは思った。

「おっと」

「大丈夫ですか? やっぱり……」

 しかし足がふらついて薫が慌てて支える。
 上から殴りつけられたので踏ん張っていた足が思いの外ダメージを受けていた。

「平気だ、すぐに治る」

「……待ってください」

「薫……何を」

 薫はちょっと怒っていた。
 この状況は自分のせいだと思っていた。

 モンスターにさらわれたから圭たちが苦労していて、今だって薫を守るために戦ってくれている。
 覚醒したばかりの薫では何もできない。

 そんな焦りや申し訳なさが胸を締め付け、何もできない自分に怒りが湧いてくる。
 覚醒者の能力について、覚醒したからと説明してくれる人はいない。

 しかし時に特殊な能力を持っている覚醒者がいる。
 では誰も何も教えてくれるわけじゃないのにどうやって自分の能力を使うのか。

 本能的にできることが分かるのである。
 何か自分にできることはないかと思った瞬間に薫は自分がすべきことを悟った。

 薫は膝をつくとカレンの足に手をかざした。

「お前それ……」

 薫の手から柔らかな光がカレンの足に広がっていく。

「こりゃすごいな……」

 突っ張ったような感じがしていた足がほぐれて痛みがなくなっていく。
 魔力を集中させて回復させようと思っていたのにその必要が一切なく足の調子が戻ってしまった。

「うん、いい感じだ。助かったぞ薫」

「まだです」

「まだ?」

 立ちあがった薫はまたカレンに手を向けた。
 薫の手が一瞬ぽわっと光り、次にカレンの体全体も同じように光った。

「おおおっ?」

 その瞬間体から力が溢れてきてカレンは驚いた。

「僕にできることはこれぐらいです」

「これぐらいなんてもんじゃねえさ。凄いじゃねえか!」

 今ならいくらでもボスクオルカンティカートの攻撃を受けられそうな気さえしてくる。

「みんなにもやれるか?」

「……多分できます!」

「じゃあ頼むぜ!」

「分かりました!」

「おりゃああああっ!」

 カレンが走り出す。
 体が軽くて気分までいい。

「カレン!」

 横なぎに広く振られたボスクオルカンティカートの腕をかわしきれないと圭は剣でガードしようとしていた。
 少しやばいかもしれないと思っていたらカレンが間に入ってきた。

 盾でボスクオルカンティカートの攻撃を受けても一歩も引くことがない。

「大地の力ぁ!」

 カレンがメイスを振り下ろして地面を叩きつける。
 すると地面が一気に盛り上がってボスクオルカンティカートの腹に直撃する。

 壁を作り出すことを応用した攻撃である。

「みなさん、受け取ってください!」

 後ろの薫が手を伸ばす。
 両手が光に包まれて、圭や波瑠の体もポッと光る。

「なんだ……?」

 まるでゆっくり休んで絶好調になった時のように体が力強さを感じる。

「薫の力だ!」

 腹を押さえながらも立ちあがってくるボスクオルカンティカートを睨みつけながらカレンが答える。
 細かくはなんだか分からないけれど薫がやってくれたことだということは分かっている。

『村雨圭
 レベル29
 総合ランクF(E)
 筋力E(D)(英雄)
 体力E(D)(伝説)
 速度E(D)(英雄)
 魔力F(E)(一般)
 幸運D(神話)
 スキル:真実の目、導く者
 才能:類い稀な幸運』

「これは!」

 真実の目で見てみたら圭の能力が伸びていた。
 括弧書きのところは装備や能力でのバフで伸びているところなので薫の能力によって一段階能力値が伸びているのだとすぐに分かった。

「圭! 来るぞ!」

 ボスクオルカンティカートは怒りで雄叫びを上げる。

「こっちに来い!」

 カレンはより集中して魔力を放つ。
 尖らせて魔力で突き刺すようなイメージ。

 ボスクオルカンティカートが不快に思ってカレンから魔力を向けられているのだと意識するように強い挑発を行う。
 カレンの魔力に当てられてボスクオルカンティカートの頭に血が昇る。

 大きく飛び上がってカレンに向かって両拳を振り下ろす。

「効かねえぜ!」

 先ほどまでならかなり厳しかっただろうが今度は真正面からでも受け止められる。
 ボスクオルカンティカートの拳を受け止めたカレンがニヤリと笑った。

「食らえ!」

 その隙に圭がボスクオルカンティカートの腕を切り付けた。
 最初よりも深く剣で切り付けられて、ボスクオルカンティカートが鋭い痛みに後ろに下がった。

 攻撃は通りそうな感じになったが腕が太くて硬いので切り落としたりするのは大変そうだ。
 やはり倒そうと思ったら弱点を狙いたいところである。

「圭、腰を狙ってみるのはどうだい?」

 夜滝はふと圭が読み上げたクオルカンティカートの特徴を思い出していた。
 二足歩行の影響で腰が悪い個体がいる。

 ボスクオルカンティカートは体がデカい。
 そうなるともしかしたら腰への負担も大きいのではないかと思ったのだ。
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