人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
234 / 515
第五章

最も不幸で、最も幸運な者1

しおりを挟む
 重恭にはゲートを探してもらうがすぐに実戦投入はできない。
 覚醒者として活動するのに必要な知識というものがある。

 波瑠の時にはちゃんとそうしたことを学んだ圭が教えたのだけど、今は覚醒者のベテランがいる。
 薫に必要な覚醒者としての基礎的なルールなどの理論的なことを重恭が、そして実戦で必要なことを和輝が教えた。

 薫も勉強はできる方なので吸収は早かった。
 そして薫も取り巻く環境も変化を迎えていた。

 薫が不登校になっていることは小百合とジェームズも知っていたのだが薫がそうしたいのならと様子を見ていた。
 今回薫がブレイキングゲートにさらわれるなどの事件があったので急遽帰国することになり、薫ともしっかり話し合ったのだ。

 圭の後押しもあって薫は高校を転校してまた学生生活を始めることになった。
 薫に関して説得の手伝いをするのはいいんだけど一々会社の前にゴツいスーツの外国人を送り込むのはやめてほしい。

 最後には見ててください圭さん!と薫は意気込んでいたけれど小百合がどんな説得をしたのか圭は知らない。
 ただ面白いのは転校することになった先の高校は超がつく有名な私立高校で覚醒者活動を認めている全国的数少ない学校であった。

 今のところ薫は覚醒者であることは隠していて、小百合とジェームズもヒーラーであるならそうした方がいいと同意してくれた。
 だが将来的には薫も覚醒者登録するつもりであるし、先を見据えての選択であった。

 頭のいい学校だが薫もそれ相応の学力があるので勉強面では心配していない。

「こちらのゲートはF級で発見は3日前です。ちょっと遠かったので安く落札することができました」

 実際に薫が転校するまでは手続きの都合などがあって少し時間がかかる。
 そこでその前にゲートに何回か戦いに行って慣れておこうと考えていた。

 ちょうどそのタイミングで重恭がいい感じのゲートを見つけてくれたのでそのまま攻略権を落札してもらった。
 車で5時間かかる場所だったので競争相手が少なくてお手頃な値段で権利が手に入った。

 朝から車を運転してゲートまでやってきた圭たち一行。
 着く頃にはお昼になっていたのでご飯を食べたりして休憩しながらゲート情報の確認をする。

「出てくるモンスターはコボルトです。二足歩行で凶悪な犬のような顔をしたモンスターで力は弱いですがすばしっこさと集団で動く性質があります。予想されるボスはボスコボルト。こちらもF級は超えない程度のモンスターですね」

 用意してきた資料を重恭が読み上げる。
 事前にどんなゲートなのかは確認してあるがもう一度チェックしておくのは大事だ。

「モンスターの回収はどうですか?」

「使える部分は主に魔石だけですね。死体は回収する必要がないです」

「じゃあ今回は割と楽そうだな」

 魔石だけ回収すればいいのは楽でいい。

「それじゃあ早速行こうか。シゲさんはテントの準備頼みます」

「分かりました。お気をつけて下さい」

 重恭はサポートなのでゲートには入らない。

「薫君、心の準備はいい?」

「は、はい! 大丈夫です!」

 薫の装備は比較的しっかりしたものとなっている。
 体力値と速度値の才能値が低いので相対的に敵の攻撃に対して脆弱だということになる。

 なので装備で防御力を高めるという手段を取ることにした。

「なんだか奇妙な感じですね……」

 誘拐された時は混乱していた状況だった。
 改めてゲートを通り抜ける時の不思議な感覚に薫は驚いていた。

 圭たちはもう慣れっこであるが最初のころは薫のように驚いたものである。

「割と視界の開けた森……情報通りだねぇ」

 ゲートの中は森となっているが密集したような暗い森ではなく比較的木々の間が開いていて明るい森であった。

「き、緊張します……」

「ピピ、シンコキュウ! ヒッヒッフー」

「フィーネ、それは深呼吸じゃないぞ」

 今回はギルドのメンバーしかいないのでフィーネも来ていた。
 クオルカンティカートとの戦いでフィーネも多少戦えそうなことは分かったし、連れて行ってほしいというので連れて行くことにした。

 ケルテンの思惑からは外れるかもしれないがフィーネ自身が望んだことであり、フィーネの幸せという側面から考えるとこちらの方が適ってはいる。

「ヒッヒッフー……」

「薫もそれ違うからな」

「あっ、少し落ち着いてきました」

「まあ落ち着いたならいいけどよ」

 圭たちの実力ならばF級ゲートで危険なことは少ない。
 今回は薫のレベル上げと能力チェックを兼ねてのゲート攻略なので雰囲気も明るめである。

「こ、声がしますね……」

 森の奥からギャアギャアと鳴き声が聞こえてきた。
 犬というよりも猿などの叫び声に近いような声に薫が怯えたような顔をする。

 薫はまだまだモンスターという存在に対して恐怖心を持っている。
 これは戦っていく中で自身で克服するしかない。

「来たぞ!」

「薫君、少し下がるんだ!」

「わ、分かりました!」

 森の奥からコボルトが走ってきた。
 だらしなく開いた口からよだれをまき散らしながら一直線に圭たちの方に向かってくる。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

処理中です...