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第六章

血の争い、偽の女神の平穏4

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 その場にいた覚醒者だけでも対処はできただろうが圭たちがきてくれたおかげで楽になったことは確かだった。

「死傷者が……」

「いや、彼らは我々の仲間じゃない」

 周りを見てみると数人倒れている覚醒者の姿があった。
 もうすでに息がなく、モンスターにやられた捜索隊の人かと思った。

「あっ、あの人」

「知り合いか?」

「知り合いというほどの関係でもないです」

 一度顔を合わせたことがあるぐらいの関係。
 倒れている人は圭たちが薬草をもらう代わりにさっさと次に行く取引をした覚醒者たちであった。

「ここで倒れて見つけてな。状態を確認していたらモンスターに囲まれてしまったのだ」

 つまり捜索隊が来るより前に覚醒者たちは倒れていた。

「状態を見るに……追いかけている覚醒者の仕業だろう」

 覚醒者の死体に目を向ける。
 肩から斜めにざっくりと切り裂かれていて一撃でやられている。

 モンスターにも剣を持っているものがいるが剣はあまりメインウェポンではなかった。
 さらにこの辺りで活動していたことを考えるとD級相当の実力がある覚醒者であったことも推測できる。

 モンスターにやられたのではない。
 覚醒者たちを倒したのはエントランス前で殺人事件を起こした覚醒者なのである。

「血の争いってまさかそういうことなのかねぇ?」

「かもしれないね」

 血の争いという条件がクリアされたからこうした状況に陥っている。
 何の条件なのか全く分からなかったけれど思っていたよりもそのまんまの意味かもしれない。

 エントランス前で大量殺人が起き、ここでも覚醒者たちが殺されていた。
 血の争いとはそのまんま血を見るような殺しが多く発生したということなのではないかと夜滝は考え、圭もそれに同意した。

 しかし条件が分かったところで今はもうどうしようもない。

『シークレットクエストが更新されました!
 忘れられた女神像を探せ!
 忘れられた女神の力を借りて平穏の騎士を倒せ!』

「みんな」

 また表示が現れた。
 圭はこっそりと夜滝たちのことを集める。

「どうやら忘れられた女神像とやらを探す必要があるみたいだねぇ」

 シークレットクエストが追加された。
 忘れられた女神像を探すだけではなく忘れられた女神の力を借りて平穏の騎士を倒す必要がある。

 シークレットクエストとはいうものの今の奇妙な状況を打開するためにはこうしたクエストをクリアする必要があるのではないかと圭は感じていた。

「でも忘れられた女神像がそもそもどこにあるのか分かんないしね……」

「何のヒントもないもんな」

 ただ相変わらずクエストとして与えられた情報は少ない。
 忘れられた女神像がどこにあるのか予想すら立たない。

 探したくともモンスターに加えて平穏の騎士なる存在もいるらしく圭たちだけで単独行動はできない。
 だからといってシークレットクエストがといきなり言い出して説得できるかも微妙である。

 せめて忘れられた女神像がどこにあるのか分かれば頑張って誘導もできるのに。

「ただやはり奥が怪しいと私は思うねぇ」

「どうして?」

「出てくるモンスターだよ。あれは女神が作ったものだと圭が言っていたろ? 奥に進むほどにちゃんとした形で強いモンスターになる。ということは奥の方が女神に近いんじゃないかと考えられると思うんだ」

 エントランスに近いところにいるモンスターは有り合わせだったりパーツが足りなかったりして気持ち悪い形をしているモンスターが多い。
 その分能力も低く弱いのである。

 対して奥に進むと有り合わせであったりもするがパーツの不足がなく、比較的まともな見た目をしていた。
 圭たちはまだ踏み込んでいないけれどさらに奥に進むとさらにモンスターのクオリティは上がって普通に人の形をした石像のようなモンスターになる。

 つまり奥に行くほど石像がちゃんとしていくということなのである。
 さらにモンスターは女神が作ったものであるということは圭の真実の目からわかっている。

 この女神が忘れられた女神なのか偽物の女神なのかはまだ不明であるが、どちらの女神にせよ奥の方に女神がいる可能性が高い。

「なるほどな」

 大体こういう時に大切なものは奥にある。
 なんとなく納得理由もあるし奥に行かねばならないことはみんなの共通の考え。

「んで、どーする?」

「……ひとまず周りがどうするのか見てからにしよう」

 圭たちには名声も実績もない。
 捜索隊の方が等級も高い人がいることであるし、奥に行こうと圭たちが急に主張はできない。

 周りの流れに任せつつ上手く誘導できそうなら奥に向かうべきである。
 もし無理ならば最後にはある程度事情を話して協力してもらうしかなくなる。

「そんなことが……」

 他の覚醒者が捜索隊にゲートの色が変わって移動できなくなったことを伝えると驚いていた。
 やはり天候が少し悪くなったこと以外の変化には気がついていなかった。

「一度散らばったみんなと集まろう。この先の女神像のところに集まるようになっているから早めに合図を出す」

 捜索隊のリーダーが仲間の魔法使いに視線を送ると魔法使いが空に魔法を打ち上げた。
 高く打ち上がった魔法は破裂して小さな爆発を起こす。
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