人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
352 / 515
第七章

異世界の賢き魔王2

しおりを挟む
 元々モンスター狩りをする人も少ない場所である。
 モンスターが現れないとなれば諦めて出直すことを考える人も多く、わざわざ奥まで行ってみる人は圭たち以外にいなかった。

「ピッピッピッ~」

 最近のフィーネは人がいないとひょっこりと顔を覗かせるようになった。
 ダンテの時もそうであるようにフィーネは人を感知する能力がずば抜けている。

 周りに人がいないことをしっかりと確認して安全そうなら擬態をやめて出てくる。
 今回はいつもの形態で圭の肩に乗っかって機嫌が良さそうに鼻歌を歌っている。

 それぐらいにハーピーがいない。

「一番奥まで来たけど……」

「なんもねぇな」

 最奥の島までやってきた。
 島同士を渡る石の橋も少しずつ斜めになっていて奥に行くほどに島の位置が高くなっていた。

 そのために最奥の空島は一番高い位置にある。
 振り返ってみるとこれまで通ってきた島々がよく見えた。

 けれどハーピーの姿はない。

「しょうがない……今日は帰ろうか」

 いない敵を倒すことはできない。
 これだけ探してもいないのだから粘ったところで無駄だろうと圭は諦めることにした。

 今から帰ればお昼混み始める前にどこかで食べられるなんて考えながら念のためと軽く一周見回す。

『魔王城への道が開かれました』

「はっ……?」

 普段表示は薄く透けた青いものである。
 けれど急に現れた赤い表示に圭は目を見開いた。

「圭!」

「圭君、あれ!」

 表示に気を取られた圭と違ってみんなは別の方を見ていた。
 最奥の空島の奥はただの崖になっていて何もない。

 広い空が広がっているだけなのだが突如として空が歪んだ。
 蜃気楼のようにボンヤリと見えて不思議さを感じていると島が現れたのだ。

 巨大な城が乗っかっていて、どうやって現れたのか見ていても分からなかった。
 みんなに言われて城の乗っている島を見て圭も驚いた。

「なんか……ヤバそうだな」

 ただの城ではなく大きな圧力を感じる。
 いきなり現れたことも含めて尋常ではない気配がある。

「何が見えていたんですか?」

 お城が現れた時に圭が別の方を見ていたことに薫は気づいていた。

「……どうやらあれは魔王城らしい」

 赤い奇妙な表示は圭にしか現れていない。
 島の上にある城がなんなのか詳細は分からないものの表示から得られるヒントがある。

 魔王城への道という言葉だ。
 この表示の言葉をそのまま受け取ると見えている城は魔王がいるお城ということになる。

「魔王城? 魔王っていうとあれか?」

 カレンのいうあれとはルシファーのことである。
 少し前に出会った悪魔のルシファーは自分のことを魔王だと名乗っていた。

 全ての悪魔の頂点ということではなくて強い力や精力を持つ悪魔のことを魔王と呼ぶことがあるらしかった。
 ということはこの城は強い悪魔が住んでいるのかもしれない。

「分かんないけど……あんまりいい雰囲気じゃないことは確かだな」

 魔王城がある空島は最奥の空島よりも一段高い。
 その上に巨大な城があるから見上げるような形になる。

 距離感すら掴めなくなるような光景は圭たちを圧倒していた。

「帰ろう。あんなところに行く必要はない」

 明らかにヤバい雰囲気だが別に行くべき理由はない。

「ウソだろ」

「……どうやらいけないようだねぇ」

 振り返って後ろを見ると一つ前の島に行く石の橋が見えているはずだった。

「橋崩れてんじゃん……」

 確かに少し前までそこにあったはずの橋が無くなっていた。
 橋の根元は残っているので橋そのものはあったのだと分かる。

「来いと言っているようだな……」

 代わりに魔王城がある空島への石の橋が現れた。
 まるで魔王城に招待されているような感じがして圭たちは顔を見合わせた。

「………………行くしかないか」

 もはや退路はない。
 先に進むしかないのであるが本当に進むのか勇気が出ないでいた。

 長い沈黙を破った圭の言葉にみんなが小さく頷いた。
 他の覚醒者なら分からないが圭たちがこんな状況になったということには何かの意味を感じずにいられない。

 魔王城に行くべき理由がある。
 それが罠なのか、圭たちにとって味方となるべき相手なのかは判然としないが。

 武器を手にし、出来るだけまとまって魔王城への石の端に足を踏み出す。
 万が一を考えて石の橋を叩いてみたけれど壊れて落ちるような様子はなかった。

 半ば坂のようになっている石の橋を渡る間もモンスターの襲撃はない。

「意外と遠いですね」

 城が大きいので近く見えていたけれど向かってみると思いの外距離がある。

「うわ、でっけぇ……」

 何事もなく魔王城がある空島にたどり着いた圭たちは大きな城を見上げる。
 まさしくファンタジーというようなお城。

「みんな警戒しろ!」

 いざ来たはいいけれど魔王城の門は固く閉ざされていてどうしたらいいのかと悩んでいた。
 するとなんの前触れもなく門が開き始めた。

 圭たちは武器を構えて警戒する。

「……ハーピーじゃない」

 開いた門から一体のモンスターが出てきた。
 スタスタと圭たちの前まで歩いてきたのはカラスのような頭を持ち全身が黒い羽毛で覆われている人のように二足歩行をしているモンスターであった。

 人型のカラスといっていい姿をしているがハーピーのように腕が翼になっているのではなく、普通に腕があって背中に翼が生えている。
 そしてなぜか執事のような服を身につけていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

処理中です...