人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第七章

色々な思い1

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 魔王との出会いというあまりの出来事にあっという間だったように感じたけれど外ではガッツリと時間が経っていた。
 考えの整理も必要なので塔を出てみるとかなみから連絡が来ていた。

 圭を含めたみんなと会いたいということだった。
 後日、日程を調整してかなみと食事に行くことになった。

「太羽島の第一次攻略が決まったの。そこで私も含め大海ギルドも参加することになったわ」

 ちょっとお高めなお店をかなみが貸し切った。
 フィーネもオッケーよ、というのでフィーネも姿を見せての食事である。

 以前よりニュースなどでも聞いていた太羽島の日韓合同での攻略が正式に決まったという話をかなみはした。
 かなみは最後まで参加するかどうか迷ったらしいけれど静江のアドバイスもあって参加することに決めたらしい。

「やっぱりちょっと不安でね……」

 かなみが圭たちに会いたいと言った理由は会いたかったから。
 かなみはA級覚醒者でありギルドを率いるリーダーでもある。

 つまりは立場があるということでなかなか不安を吐露できる相手もいなかった。
 友達は多くなくギルドのメンバーに不安を打ち明けるわけにはいかない。

 伊丹は太羽島攻略の準備などで忙しくて声をかけられず、そんな時に圭たちのことが頭に浮かんだ。
 圭たちならもう友達と言ってもいいのではないかと思った。

 少なくとも圭は友達以上だろうとかなみは考えている。

「それに帰りを待ってくれる人がたくさんいた方がいいでしょう?」

「かなみさん……」

「呼び捨てでいいのよ、圭君」

 いかにA級覚醒者といえど人である。
 太羽島は現在モンスターが溢れる島となっていて危険なゲートがブレイクを起こしている。

 どれだけの準備をしたところで絶対的な安全というものはない。
 不安に思う気持ちも理解はできた。

「まあ私たちもあんたこと嫌いじゃないしな」

「心強い味方だし無事に戻ってきてくれると嬉しいっちゃ嬉しいかな」

 圭に近づこうとするやり方が好きじゃないだけでかなみ本人は悪い人じゃない。
 近づくルートが違っていただけでみんなと同じような出会い方をしていたら普通に仲良くなれただろう。

 今も少しずつだけど仲良くなってはいる。
 みんなもかなみとの関係を聞かれたら友達だと答えてもいいと思う。

「ふふ、みんなありがと。これでお別れってわけじゃないけど少し気分は良くなったわ」

 かなみはワインのグラスを傾ける。
 あたかも余裕でいるようだけど嬉しさで耳が真っ赤になっている。

 意外と可愛らしいところがあるものだと圭は思った。

「そういえば頼まれてたものも用意できたわよ」

「あっ、本当か?」

 お酒も進んで頬をほんのりと赤くしているかなみは色っぽさがある。

「今持ってきてもらうわね」

「ここにあるのか?」

「うん、持ってきちゃった」

 かなみが店員に声をかけると店員が布がかぶせられた大きなものをカートに乗せて持ってきた。

「フィーネ、開けてごらん」

「ピ?」

 かなみがもしゃもしゃと料理を食べているフィーネを持ってカートに近づく。
 フィーネに布を外してみろというのだ。

「ピピ、ピョーン!」

 言われた通りにフィーネが布を掴んで引っ張る。

「なんだこれ!」

「おっ、すごい!」

「ピピピピッ!」

 布の下から現れたのは巨大な肉だった。

「フィーネが食べるんでしょ? どーぞ!」

「ピピ?」

「ああ、いいぞ」

 フィーネがいいのかといった感じで圭を見た。
 もちろんフィーネのために用意してもらったものなのだからと圭は頷く。

 以前からフィーネは高等級モンスターの肉を欲しがっていた。
 何か目的があるようで圭も用意してあげたかったのだけど高等級モンスターの肉は高級品であり、許可を得たレストランや研究機関出ないと手に入れられず個人での入手は難しかった。

 ブラックマーケットという手段も考えていたけれどかなみと知り合うこともできたのでお願いしていたのである。

「先日発生したワイバーンゲートがあるんだけどそこをヴァルキリーギルドと一緒に攻略したの。その時に倒したワイバーンの肉よ」

「ピピ、アリガトウ!」

 フィーネはワイバーンの肉の上に乗っかるとムシャリと食べ始めた。

「すっげ……」

 フィーネはこれまで普通に料理を食べていた。
 カレンはもうお腹いっぱいなのにフィーネは巨大な肉の塊をすごい速さで食べていく。

「すごい食べっぷりね」

「かなみさん?」

 かなみはスッと圭の隣に椅子を移動させて座ると圭の腕に手を絡めた。

「ちょっと酔っちゃって」

「そーいうのが嫌われるんだよ!」

 あんな風に迫ることができるかなみがちょっとだけ羨ましいとは思いつつ唇を尖らせた波瑠がかなみを引っ張って圭から引き剥がす。

「うふふ、波瑠ちゃんも可愛いわよ」

「か、かなみさん!?」

 かなみは逆に波瑠のことを引き寄せるギュウと抱きしめた。
 A級覚醒者の力に波瑠が敵うはずもなくそのままされるがままになっている。

 ほんとに酔っているのだなと圭は苦笑いで様子を見ている。

「モデルになるとね……みんなライバルになるの。仲が良かったと思った子は私の発言をよそに流していたし、可愛がってた後輩は陰で私のこと散々に言ってた」

「かなみさん……」

「かなみでいいよ。薫……君じゃなくて覚醒者協会の薫は昔からの付き合いで変わらない友達……みんなも……私の友達」

「色々大変なんだねぇ」

 よくよく考えればかなみだってまだ若い。
 A級覚醒者だからと責任を負わせられているけれど時としてはそれが辛いこともあるだろう。
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